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資生堂
すっぴんでもテレビ会議OKのアプリ

資生堂 すっぴんでもテレビ会議OKのアプリ

 資生堂が接客に使うメーキャップのシミュレーションソフトを応用し、在宅勤務しやすい環境を整備しようとしている。日本マイクロソフト(MS)と協力し、テレビ会議の画面に映る顔の見栄えをよくするアプリを開発した。モニター越しでも表情をきれいに見せたいという女性の気持ちに応える。

 「テレビ会議で表情の暗さや毛穴が目立つことを嫌う女性が多いらしい。資生堂の技術を使って解決できないか」。2015年春、社内で色彩工学の専門家として知られる吉川拓伸氏(現EC事業推進部マネージャー)のもとに、宣伝・デザイン部からこんな相談が寄せられた。

 問い合わせを受けた吉川氏は「できると思う」と即答した。念頭にあったのはメーキャップのシミュレーションソフト。同社に約1万人いる美容部員が、百貨店などの店頭でタブレットにインストールした同ソフトを接客に活用している。

 資生堂は1999年ころから、カメラで撮影した顧客の顔写真に化粧を施す同ソフトを開発・運用してきた。目や眉、口などのパーツを自動検出し、同社の化粧品を使った画像パターンを瞬時に重ねあわせる。実際にメークしなくても化粧品の使い心地を確認できる。この技術を応用できると気づいた。

 16年までに吉川氏が主導して開発を本格化させた。「ナチュラル」「クール」「フェミニン」といったベースとなる4種類のメークパターンをそろえ、顔色を補正したり、顔以外の部分をぼかしたりする機能も加えた。目元や口元のメークの濃淡も調整できる。

資生堂のテレビューティーの操作画面

 完成したアプリは「テレビューティー」と名付けた。「美容ノウハウと顔パーツの検出などのIT(情報技術)を兼ね備えている企業はごくわずか。資生堂にしかできないソリューションだ」。吉川氏は胸を張る。

 日本MSとも協力し、同社のテレビ会議用通話ソフト「Skype for Business」にテレビューティーの機能を搭載した。16年9~11月、日本MSの女性社員約100人に利用してもらった。すると9割が機能に満足し、再び使いたいと回答した。

 資生堂と日本MSを含めて8社がテレビューティーを社内会議などに試験運用している。いずれも評判は上々という。テレビ会議のためだけに化粧をする手間を省けるうえ、自分らしい美しさを表現できることへの評価が高い。

 資生堂は自社で利用する以外に、事業化も検討している。「働き方改革の機運が高まって在宅勤務が増えれば、テレビューティーの活用場面は増える」(同社)。通勤時間を省略できる在宅勤務は、育児中の女性からのニーズが高い。仕事と家庭の両立支援に取り組んでいる企業への販売が期待できそうだ。

 3月には米国のスタートアップ企業向けイベント「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」にも出展した。「SXSWで関心の高かったスマートフォン(スマホ)向けアプリの制作も検討する」(吉川氏)。海外展開も視野に入れている。
(松井基一)[日経産業新聞2017年6月16日付、日経電子版から転載]

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