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「社会のために役立つ」仕事選びを考える

僕ら流・社会の変え方(26)

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就活解禁から1カ月半、既に納得のいく結果が出た人や「まだ続けるぞ!」という方など、様々な人がいると思います。3年生はそろそろサマーインターンなどを始める頃でしょうか。

僕のところにも広告会社やNPOへの就職希望の学生を中心に、様々に相談が来ます。中でも最近、特に多い相談は「社会のために役立つ仕事に就くにはどうすれば良いか」というものです。先日は立教大学で、「ソーシャルアクションとキャリア形成」をテーマに講義も行いました。

そこで今回は、学生時代の「ソーシャル」な思いや経験をどう今後のキャリアに活かしていくかについて、皆さんにお伝えしたいと思います。

NPOに就職する

「社会に役立つ」仕事をする方法として分かりやすいものの一つに、NPOへの就職があります。確かに、NPOは企業が担うのには儲からないけど、あるいは行政が行うにはニッチで先駆的だけれど、社会を良くするのに役立つ事業を行っています。

例えば、僕たちが経営しているNPO法人グリーンバードは、まちの清掃活動やまちづくりのサポートを行う団体です。現在は、国内に73カ所、海外に12カ所、計85カ所に展開していて、ごみのポイ捨てを減らす活動や、高齢者の見守りを行う活動、耕作放棄地を有効活用する活動、それに町会や商店会を盛り上げる活動などしています。合言葉は、「Keep clean,keep green.」「自分たちのまちは自分たちの力で良くしていこう!」という人を一人でも増やすために、日々活動しています。

僕たちの国内外のチームが活動するため、年間約4000万円のお金がかかっています。清掃道具の購入費などに加え、事務局には常勤の職員が3人、非常勤の職員が1人いて、彼らに給料を支払っています。しかし、ごみ拾いをしたからといって、その行為自体で儲けられ、経費を払えるわけではありません。

必要なお金は、コカ・コーラさん、JTさん、Jeepさん、キッザニア東京さん、ユナイテッドさん、大都技研さんをはじめとした企業からの協賛金、日本財団さんからの助成金、それに個人からの寄付でまかなっています。NPOは、一般に、企業のように、商品やサービスに対する直接の対価としてではなく、その活動に共感を持ってくれた多くの企業や個人から寄付という形でお金を集め、活動資金に充てているのです。

日本のNPOが抱える問題としてよく言われるのが、資金調達のしづらさです。主な収入源は寄付ですが、日本の寄付市場はアメリカなどと比べて、まだまだ小さいという現状があります。Giving USAの調査によると、2013年におけるアメリカの寄付金総額は約35兆円でした。ちなみに2010年に行われた理想の就職先ランキングでは、グーグルやアップルといった企業を抑え、NPOが1位になっています。

一方、日本ファンドレイジング協会が出版している「寄付白書2015」には、日本の寄付市場は年間1.5兆円程度とあります。そもそもの原資が少ないため、当然、日本のNPOは一般に資金的に潤沢ではなく、それに伴って、NPOで働く人の平均年収も低くなっています。独立行政法人労働政策研究・研修機構が2014年に行った調査によると、正規職員の平均年収は260万円程度となっており、400万円超の一般企業と比べると、かなり少ないことがわかります。NPOの年収だけでは家庭を養うことが難しく、従ってNPOの正規職員は若年であることが多いのです(平均年齢が低いことが、平均年収の少なさに影響しているという見方もあります)。

しかし、近年では一般企業に比べてNPOの賃金が上昇傾向にあり、その差は縮小しています。さらに、「クラウドファンディング」という個人から資金を集める仕組みが普及したり、「社会的インパクト投資」(投資家がある社会課題の解決のために活動するNPOなどに投資をして、目的が達成されたら政府や自治体などからリターンを得、できなかったらリターンを得られないという仕組み)など、新たな資金調達の流れがNPOに生まれたりしています。今後はNPOの職員の平均年収のさらなる増加が想定される一方、「働き方改革」に伴って、企業とNPOの2つの名刺を持つ人が増えることも予想され、賃金の多寡が必ずしも就職先に影響しない時代が来るかもしれません。

企業で「社会のために役立つ」

もちろん、社会のために仕事をするために、必ずしもNPOに就職する必要はありません。CSRやCSVという言葉は聞いたことがあるでしょうか? 最近では、企業の儲けと社会的な価値の向上を同時に追求することを企業ビジョンにし、事業をする会社も増えて来ました(製薬や医療機器を扱うジョンソン&ジョンソンはCSRという言葉が出る半世紀も前から「Our Credo」という社是を持っていたことで有名です。ここには、「会社はまず自分たちの製品・サービスを使ってくれる顧客のためにある。その次に、社員。次に、自分たちが一緒に暮らしている社会のため。会社はこの社会において有益な社会企業でいなければならない。そして最後に、株主。」と記してあります。日本にも古くから「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」という考え方がありました)。少子高齢化が進み、社会的な課題がどんどん増加していく日本においては、企業は「便利さ」ではなく、「課題解決力のある商品やサービス」を追求しなければ生き残っていけないと主張する人もいて、企業のソーシャル・コミュニケーションは今、どんどん大事になってきています。

2011年に起きた東日本大震災の後に、ある就活サイトのセミナーに登壇させていただいた際、通信会社の人事の方は、「今、優秀な社員をどんどん東北にボランティアに行かせている」とおっしゃっていました。東北には、これからの日本社会が抱える社会課題が詰まっている。社員がボランティアに行く中で、あるいはそこで必要なサービスの開発に努めることで、そうした課題を先取りして競争力のある商品やサービスを開発できる。だから、社員を派遣しているんだと。

これはすなわち、「社会志向」の強い就活生にとっては、自分の思いを今後、企業の中で活かせる機会がより増えるということですし、逆に言えば、学生時代のボランティアやソーシャルビジネスの起業体験などが、自分の就職や社会的価値の向上に役立つとも言えるでしょう。もちろん、企業によっては、「社会志向」のあまり強くない世代が要職に就いていて、時代の流れに追いつけていないケースもあります。就職したら、自分の考えるソーシャルな事業が企業や社会にどれだけの価値を生むのか、またどれだけお金を生むことにつながるのかをよく考え、提案を重ね、上司を説得することが大切です。

就活の、その先に

とはいえ、僕は、大学3、4年生、あるいは大学院1、2年生で、自分が一生をかけて取り組みたいことや、これからの社会にとって本当に必要なことが見つかるとは、必ずしも思っていません。今の僕だって、探している途中です。そこで就活では、自分が今気になっている社会課題は何か、またそれを解決するために自分ならどんなことができるのかを、自分の経験と照らし合わせながら探ってみることが大切になります。

僕の場合は、9.11で大切な友人の親戚をなくし虚無感に苛まされた結果、頭で考えてばかりでなくとりあえず動いてみようと、国際問題の解決に取り組む様々な活動に参加しました。仲間と学生団体を立ち上げ、イベントも行いました。動いてみると様々な反響を得られ、メディアにも取り上げられました。活動の中で、NPOのPR力を高めることをやりたいと思い、広告会社の博報堂を選びました。

結局一番大切なのは、自分が心から解決したいと思える社会課題を探し続け、そこに挑み続ける姿勢だと思います。高齢者や障害者、外国人、LGBTなど、社会的に課題を持ちやすい人たちと積極的に出会い議論することは一つの方法かもしれません。とはいえ、課題は就職する前に見つかるかどうか分かりません。見つからなければ、とりあえず今の時点のベストを選べばいい。自分の尊敬する先輩がいきいきと働けている会社を選べばいいと思います。就職してビジネスを学び、AIなどの最新技術を学び、コミュニケーション能力を身につけ、自分の武器を研ぎ澄ましてからだって、いくらでも見つけ、提案できる機会はあるんです。

横尾俊成(よこお・としなり)
 NPO法人グリーンバード代表/NPO法人マチノコト代表/港区議会議員(無所属)/慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 後期博士課程に在籍中。早稲田大学大学院修了、広告会社の博報堂を経て現職。まちの課題を若者や「社会のために役立ちたい」人の力で解消する仕組みづくりがテーマ。第6回、第10回マニフェスト大賞受賞。月刊『ソトコト』で「まちのプロデューサー論」を連載中。著書に『「社会を変える」のはじめかた』(産学社)、『18歳からの選択 社会に出る前に考えておきたい20のこと』(フィルムアート社)。
HP:http://www.ecotoshi.jp
Twitter: @ecotoshi

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