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チェック!今週の日経(19)KDDIが通信料値下げ
格安スマホ台頭でメガキャリアは?

authored by 日経カレッジカフェ 
チェック!今週の日経(19) KDDIが通信料値下げ格安スマホ台頭でメガキャリアは?

 日経の研修・解説委員や日経カレッジカフェの編集スタッフが、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」。今回は大手携帯電話会社の価格戦略の記事を紹介しましょう。

格安スマホに値下げで対抗

発表会見の田中社長
新料金プランを発表するKDDIの田中孝司社長

 7月7日の夕刊3面に次のようなニュースが掲載されました。

KDDI、格安スマホに流出阻止 通信料2~3割下げ発表(7月10日)

 KDDIが7月14日から提供する新しい料金プランについて報じた内容で、端末購入の割引をなくす代わりに、通信料金を2割程度から最大で3割ほど値下げするというのが新料金プランの骨子です。企業にとって提供する商品やサービスの価格を決めることは経営戦略の大切なポイント。今回の値下げで利用者への還元額は200億円といいますから、かなり巨額な値引き策になります。

 この背景にあるのは格安スマホの台頭です。格安スマホは大手携帯3社から確実に顧客を奪い、現在は1割ほどのシェアを持っています。そこへの顧客流出の影響を最も受けているのがauブランドでスマホ展開しているKDDIなのです。同社の発表を伝えたこの日の夕刊の記事に続いて、翌11日の朝刊では、次のような解説記事を掲載して同社の価格戦略の背景を詳しく読み解いています。

紙面

KDDI、苦渋の「格安」 新興勢に押され値下げ(7月11日)

 「(顧客の流出は)想定以上の水準。世の中の動きに合わせる必要がある」。記事が伝えるKDDIの田中孝司社長のひと言が同社の危機感をストレートに伝えています。同社は今年2月に契約回線数の内訳を初めて公表。回線数全体は伸びているものの、重複を除くユーザー数が少なくとも15年6月末以降、減少している実態が明らかになりました。15年は格安スマホが市場で存在感を高めていった時期。ユーザー数の減少は今も続き、18年3月末には2477万件と今年3月からさらに37万件減る見通しです。

 NTTドコモの場合、格安スマホの事業者に通信回線を貸すことで通信料が入ってきます。この回線料収入で自社ブランドの契約者減をある程度補うことができます。一方、ソフトバンクは格安スマホ首位のワイモバイルを傘下に持っているため、グループ全体での落ち込みは軽微です。KDDIもソフトバンクと同じくUQモバイルで格安スマホを展開していますが、ワイモバイルに比べると店舗数が少なく本体の落ち込みをカバーするにはいたっていません。この違いがKDDIを真っ先に通信料値下げの決断を促しました。これまでの価格競争では、1社が新しい料金プランを発表すると、他の2社が追随する構図が続いてきましたが、今回は各社で事情も違い、KDDIも「今回は単純に追随できない仕組みを盛り込んだ」としているため、大手3社ならどこでも同じという構造が崩れていくかもしれません。

 

Yモバイル
ソフトバンク傘下のワイモバイルは豊富な店舗網で格安スマホ首位を走る
UQモバイル
KDDI傘下のUQモバイルは大型キャンペーンなどを進めるが、顧客獲得が伸び悩む

 高い通信料で利益を確保しても顧客が減ってしまえば事業規模はどんどん縮小してしまい、新しい投資や事業を進めることが難しくなってしまいます。競争環境が整い、価格競争で顧客の移動が目に見えて大きくなった今は、携帯電話事業の勝負どきといえそうです。

関連生活サービスに活路

 それにしても、事業の本丸というべき通信料収入で、稼ぐ力が落ちていかざるを得ない現実を前に、携帯電話事業者、いわゆる通信キャリア会社はどんなビジネスモデルを追求していけばいいのでしょうか。モバイルに詳しいジャーナリスト、石川温氏による日経電子版の連載記事「モバイルの達人」は、次の記事でそんな通信以外での成長戦略をめぐるKDDIの動きをリポートしています。

スマホの次より副業 KDDIが上海で訴えた通信業の未来(6月30日)

 この記事によれば、KDDIのユーザー1人当たりの収入を比べると、2012年と16年で通信収入は0.7%しか増えていない。一方コンテンツやサービスによる収入は11%も伸びているということです。その本業以外のコンテンツやサービスのメニューとして、auIDを核にしたプリペイド・クレジットカードのサービス(「auWALLETカード」)や銀行業(じぶん銀行)、保険業、ネット通販事業など多彩な生活サービスを生み出しています。記事は、世界最大規模の携帯機器の見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」のアジア版「MWC上海」の基調講演で、本業以外でいかに稼ぐかを語ったKDDIの田中社長に焦点を当てています。

 講演後のインタビューで田中社長は、海外キャリアの幹部が特に関心を示したのが、銀行業であるじぶん銀行だったと語っています。通信で囲い込んだ顧客にどのようなサービスを提供して稼ぐ力を強くしていけるか、本業の価格戦略と合わせて、この勝負どころでの通信会社の経営戦略は一筋縄ではいかないようです。

(企画委員 水柿武志)

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