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平均給与1000万円以上の
上場企業は60社 広がる格差

平均給与1000万円以上の上場企業は60社 広がる格差

 ソニーの平井一夫社長の2016年度の役員報酬が5億1400万円だったことが6月15日に分かり、話題を呼んだ。日本でも報酬1億円超の経営者が増えてきたが、一般従業員ではどうだろう。平均給与をみると1000万円以上に達する上場企業は60社。上位にはテレビ局や商社、金融などの大手企業が並ぶ。こうした企業は人手不足の中でも高い収入を売りに優秀な人材を集め、中小・中堅企業との格差は開いている。

1000万円以上の上場企業は全体の2%

 東京商工リサーチ(TSR)が過去と比較できる上場企業3000社超を対象に、16年1~12月期決算分の有価証券報告書から平均年間給与を算出した。1000万円以上は60社で11年の調査開始以来で最多となった。上場企業に占める比率は2%だった。給与は本体ベースのもので連結子会社などの従業員の給与は含まれない。また、持ち株会社制度の場合は人数が少ないホールディングスの従業員の給与だけが反映されるため、数字が高めに出ている場合がある。

給与が最も高かったのはM&A(合併・買収)助言業務を手がけるGCAで、2139万円だった。調査対象企業で唯一、2000万円を超えた。企業のM&A意欲の拡大により受注が好調で、この数年は給与が右肩上がりで増えている。

上位20社を見ると、在阪民放の朝日放送(5位)、東京放送ホールディングス(6位)、フジ・メディア・ホールディングス(10位)、日本テレビホールディングス(11位)などテレビ局が6社入った。いずれも給与は1200万円を超える。インターネットの台頭などで一昔前に比べテレビ離れが進んだといわれるが、各社の業績はそれほど悪化しておらず高収入である状況は変わっていない。

商社も存在感がある。最も高いのが三菱商事(8位)の1445万円で、伊藤忠商事(14位)、三井物産(15位)、住友商事(18位)、丸紅(22位)と五大商社はそろって上位に入った。16年3月期は資源価格の下落などで業績が悪化したが、三菱商などは給与が増えており従業員の懐はそれほど痛まなかったようだ。

製造業で群抜くファナック

 テレビ・商社以外の業種で給与増が目立ったのが産業用ロボットのファナック。1571万円と前年(15年3月期)に比べて約300万円増えて3位になった。中長期的に工場の自動化への需要が高まっており業績は拡大基調にある。従業員数は約3000人と3年前に比べて15%増加した。高収入を呼び水に優秀な人材の獲得を急いでいる姿がうかがえる。

 このほか、ヒューリックや三菱地所、三井不動産など大手デベロッパーも高かった。12年のアベノミクス以降の不動産価格の上昇の恩恵を受けているとみられる。日銀のマイナス金利政策で逆風が吹いている三菱UFJフィナンシャル・グループなど金融関連も依然として高収入を維持している。TSRの調査対象には含まれていないが、過重労働で問題になった広告代理店の電通も1247万円と高かった。

 TSRによると、上場3000社超の平均では605万円だった。11年の調査開始以来、5年連続の増加で初めて600万円を上回った。海外景気の拡大や人手不足などが賃金上昇を後押ししている。ただ、一部の企業がけん引しているのが実態で、500万円未満の企業も約23%あった。「上場企業の給与は二極化が進行している」(TSR情報部)面があるという。上場企業と未上場の中小企業との格差も開いているようだ。
(栗原健太)[日経電子版2017年6月16日付]

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