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career-働き方

曽和利光の就活相談室内定辞退はメールでいいか、
会って断るべきか

authored by 曽和利光
曽和利光の就活相談室 内定辞退はメールでいいか、会って断るべきか

 就活生の皆さん、こんにちは。人材研究所(東京・港)の曽和利光です。皆さんは面接で自分からよくしゃべるタイプですか、それとも質問されるまで待ち構えるタイプですか。短い時間で面接官に自分のことを的確に伝えるにはどちらがいいのか。就活相談室に集まってくれた3人の疑問に答えながら探っていきましょう。

前回から引き続いての参加者
▽南沢恵さん(福岡大学薬学部6年)
▽山本圭太さん(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部4年)
▽渡辺菜々さん(東京大学工学部4年)
※希望する方の氏名を仮名にしてあります。

「間」は与えなくていい

 今回はまず、山本さんに「学生時代にがんばったこと」について話してもらいましょう。

山本さん はい、私はスノーボード用品店のアルバイトに注力してきました。お客様のニーズに応えるという視点をおいて頑張ってきました。

 具体的にはどんなことでしょうか。

山本さん 私が働いていたのは競合他店が多い激戦区でした。その中で接客したお客様が他店の袋を持っていて悔しい経験をして、「なぜ私が売れなかったのか」と考えるきっかけになりました。その中で私が思ったのはお客様の質問に明確に答えられていなかったのが課題だと思いました......。

 続けてください。

山本さん 店員とお客様の求めていることの食い違いがあると感じて、メーカー主催のセミナーに自ら参加することでカタログにない商品知識を身につけ、親身な答えを返せるようになりました。この経験を続けることで「あなたに接客してもらったから買った」との一言をもらえ、気持ちを込めて一人ひとりに合ったサービスをする大切さを学びました。

 実際の成果はどうでしたか。

山本さん 12月から3月の間ですが、10人のバイトの中で売り上げが2位でした。

 売り上げはいくらくらいですか。

必ず質問されることや疑問に思われることは、聞かれる前に言ってしまおう(模擬面接する曽和さんと就活生)

山本さん 覚えていませんが2位でした。昨年と同じ12月に対して店全体の売り上げが3%伸びたといわれているので、少なからず貢献できたと思っています。

 はい、ありがとうございました。だいぶ私は山本さんに質問をしましたが、どういうことかおわかりでしょうか。どうやら山本さんは話を小出しにしすぎているようです。「スノボのアルバイトを努力してきました......」とそれで止まっちゃダメです。もう少し自分からしゃべってしまっていいですよ。

山本さん 間を与えたほうがいいかなと思って。

 行動について述べられただけで、その背景について触れられなければ、「なぜやったのですか」と聞くのは当たり前です。この当たり前のやりとりが時間のロスになってしまいます。絶対聞かれること、必ず疑問に思われることは、聞かれる前に言ってしまったほうがいいでしょう。本来伝えるべき情報が面接官に伝わらないまま面接が終わってしまう可能性があります。

 それともう少し、アルバイトについてイメージできる情報を与えましょう。例えば店の大きさやバイトの在籍人数、バイトすることになったきっかけなどです。山本さんの話を聞いてもあまりイメージが湧きませんでした。山本さんを知る上で手掛かりとなる情報が十分ではないと面接官は質問しづらくなってしまいます。

渡辺さん そんなにたくさんこちらからしゃべってしまっていいのでしょうか。インターンシップの1次面接で思うがままにどんどんしゃべったら、「あなたはしゃべりすぎだ」と言われてしまいました。

 よく「面接では会話のキャッチボールが大切」といわれますが、これは半分正しくて半分嘘です。そもそもコミュニケーション能力の高い面接官でないとキャッチボールはできません。その面接官はデキる人だったのかもしれませんが、本当にどんな面接官にも通用するのは、しゃべってくれる学生です。質問しなくて済むので楽ですから。キャッチボールを意識せずに落ちるリスクより、情報量が足りないで落ちるリスクのほうがよっぽど大きいです。どんどんしゃべったほうがいいでしょう。

「難易度」をきちんと伝えよう

行動にいたった理由を分析して話すことも重要だ

 山本さんが、「メーカー主催セミナーに行った」のは良い行動だと思います。ただ、それだけで面接官は「すごいね」とは思わないでしょう。ほかのお客さんが他店の袋を持っていてなぜ悔しいと思ったのか、解決策としていろいろな選択肢がある中でなぜセミナーに行くことを選んだのか、その行動の「理由」を伝えることが重要です。そうすれば、学生の論理的思考が分かり、面接官の判断材料になります。やったことにも増して、そこに至った思考のプロセスが大事なのです。

 やったことの「難易度」を伝えることも重要です。特に最終面接の場合、企業側は、2次面接など中期面接を経て学生のタイプ分けができています。例えば、肉食タイプが欲しい会社なら中期面接までにそれ以外の人を落としてきて、最終では肉食タイプの中でも猫レベルなのか、ハイエナレベルなのか、ライオンレベルなのかをみます。その結果、ハイエナ以上を採用、などとするのが最終面接なのです。山本さんなら難易度をどう表現しますか。

山本さん カタログにない知識を身につけようとするなら、製品を作っているメーカーの方の話を覚えるしかないと思いました。例えばゴーグルのグラスの細かな技術などをお客様に伝えるのが難しかったです。

 あと一歩というところですね。今聞いただけだとそれほど難しいようには聞こえません。確かに難しさを伝えることは難しいと思います。それを伝えるには、相手に情景を浮かばせることができるかどうかにかかっています。

 もう一つ言っておくと、山本さんはちょっと早口かなという印象を受けました。面接官はパッと初めて会った人の人生を聞いて、イメージしていきます。聞いている間には次の質問も考えなければいけませんから、ある程度ゆっくり話したほうが理解してもらえるし、的確な質問が飛んできます。特にアタマの回転が早い人や、面接の練習してきた人はどうしても速くなってしまいます。気をつけたほうがいいですね。

南沢さん エントリーシート(ES)に書いている内容をそのまま面接でしゃべっても意味ないのかなと思っています。やはり、ESに書かれた以上のプラスアルファの情報を言わないとだめなのでしょうか。そもそも面接官はESをしっかり見ているのでしょうか。

 あんまり見ていないでしょう。みなさんによく聞かれるのは「1次、2次、3次で同じ話をしていいのか」という質問。これについては同じことを聞いてくるのなら同じことをしゃべっていいと思います。だって「学生時代がんばってきたこと」がころころ変わっていたらおかしいですからね。

 一言一句同じことを言わないようにするには、ESに書き切れなかったことを言ってみてはどうでしょうか。例えば行動の理由や、試行錯誤したこと、やったことの難易度などは800字でそこまでは多くは書けないでしょう。

正しい内定辞退の方法は

内定辞退の方法は自分の気持ち次第で決めていい

南沢さん 内定を複数もらった場合、辞退するには直接会ったほうがいいのでしょうか、それとも電話でいいのでしょうか。

 その内定先とのどれくらいの関係性があるかどうかによりますね。それほど望んでいないのに、向こうが勝手にくれたというようならメールや電話でもいいと思います。就活の相談をするなどして世話になった、受けた当時は第1希望だったがその後気が変わって他社に決めてしまった、などという場合なら、会いに行ったほうが人としてよいともいえます。

南沢さん その内定先はインターンシップからお世話になっていました。

 自分の気持ちで行けばいいと思います。行かなかったからといって失礼とも限りません。企業側が学生に「お祈りメール」を送るような時代ですから。なぜ学生がわざわざ行かなきゃいけないのか、という考え方もあります。

 もっというと男女の話に置き換えますと、別れるときに「おまえの嫌なところはこれとこれとこれだ」と懇切丁寧に説明されたら嫌じゃないですか。どうせ別れるなら、ひと言で関係を断って、それで嫌われるくらいがやさしさともいえます。よりを戻す可能性がなく、後ろ髪を引かれることもないのが前提ですけどね。

 ただ、音信不通はさすがによくありません。他の学生を落として内定を獲得してきたわけです。とくに少人数しか採らないような中小・ベンチャー企業にはきちんと考えて対応しましょう。

曽和利光(そわ・としみつ)
 1971年生まれ。京都大学教育学部卒。リクルート人事部ゼネラルマネージャー、ライフネット生命総務部長などを経て2011年、主に新卒採用を対象にしたコンサルタント事業の人材研究所を設立。著書に「就活『後ろ倒し』の衝撃」(東洋経済新報社)、「『できる人事』と『ダメ人事』の習慣」(明日香出版社)などがある。
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[日経電子版2017年6月28日付]

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