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[ career-働き方 ]

曽和利光の就活相談室面接でこじつけはダメ、ぶっちゃけていい

authored by 曽和利光
曽和利光の就活相談室 面接でこじつけはダメ、ぶっちゃけていい

 就活生の皆さん、こんにちは。人材研究所(東京・港)の曽和利光です。6月の面接解禁以降、面接をたくさん受けてきた人も多いでしょう。面接でよく聞かれるのが「あなたはこれまでどのような就職活動をしてきましたか」です。どんな答え方がいいのか、探っていきましょう。

今回の参加者
▽小川絵里さん(立教大学文学部4年)
▽藤井康平さん(筑波大学大学院2年)
※希望する方の氏名を仮名にしてあります。

面接官は「学習能力」を知りたい

 まず、小川さんに聞きます。これまでどんな就職活動をされてきましたか。

小川さん はい、私の軸は3つあり、これに基づいて活動してきました。1つは新興国に住んでいる人たちの幸せの幅を広げること。2つ目はそれに付随して将来海外で働けること。3つ目は高い士気や目標を持っている人と一緒に働ける環境だということです。

学べる人は何からでも学べる(模擬面接する曽和さんと就活生)

 その軸に最初に当てはめたのが総合商社でした。きっかけはミャンマーにインターンに行ったとき。商社の方の活躍を見て、将来そのような働き方をしたいと思いました。でも総合商社は全部落ちてしまいました。「新興国」という軸はずらしたくなかったので、インフラを整える仕事を探し、総合電機メーカーなどに絞りました。

 総合商社がダメでも、専門商社で新興国を手がけているところはたくさんあります。そこは受けなかったのですか。

小川さん はい、受けませんでした。総合商社を選んだのは1つの国の社会問題に対して多角的に問題解決に取り組んでいるからです。あとは長期的な視野に立っているのも理由のひとつです。

 はい、ありがとうございます。このような就活を振り返ってもらう質問は、なぜされると思いますか。

小川さん 就活の軸と、就活の中でどう成長したのか見たいのでしょうか。

 その通りです。就職したら、さまざまなプロジェクトを通じて何を学んで、どう成長したのかが重視されます。学生の皆さんにとって一大プロジェクトである就活での成長の過程は企業としても知りたいところです。

無理な正当化は避けよう

 ただ、自分が就活している企業や業界について、「なぜそこなのか」を明確にしようと、正当化しようとする気持ちが強いようです。これは小川さんに限らず、多くの就活生が陥るワナです。小川さんの場合、「新興国」という軸なら総合商社以外もありそうです。「専門商社より総合商社は多角的」と言いましたが、「多角的だとすごくて、多角的じゃないとすごくないから嫌だ」というのはやや無理があると感じます。総合商社でも一つの分野をやるわけですから。「専門と総合商社では規模や影響力で全然違う」といった本音があるはずです。実際どうですか。

小川さん 専門商社はあまり興味がなかったので......。

就活というのは迷いながらやるはずのもの。それを恥じなくていい

 それは結果を述べているにすぎません。「なぜ興味がなかったのか」の理由がないのなら、「ない」と伝えればいいのです。「そうですね。なんか総合商社を受けるのが当然と思っていました」くらいで大丈夫。「多角化しているから」などとこじつけると、面接官に「なぜ多角化しているほうがいいの」と聞かれたときに答えに詰まってしまいます。

 おそらく皆さんには、一貫性がないとすごいマイナス評価をつけられるという恐怖心があると思います。でも就活というのは迷いながらやるはずのもので、「最初に思っていたのは単なる憧れ」などと、軽い気持ちで始まるのは仕方がないことだと思います。答えがないなら無理やり答えを入れる必要はありません。「ちょっと考えていませんでした......」などと頭をかきながらさらりと答えればいいのです。たまたまなものはたまたま。もっとぶっちゃけていいのです。

必ず理由を盛り込もう

 では今度は藤井さんです。

藤井さん 幅を狭めて考えてはダメだと考え、いろんな業界、いろいろなことを知ろうとインターンシップも垣根なく受けてきました。利益を追求するのは会社が生き残る上で重要だと思いますが、それ以外に公共性を忘れていない企業が自分に合っていると思いました。安定収入があってチャレンジできる企業はどんなところかという観点で見てきました。

 社会性とか公共性が大事だとなぜ思うようになったのでしょうか。

藤井さん 父が公務員だというのが理由の一つです。もう一つは、日本の産業がシュリンクしていく中でどう自分や社会を発展させていくかを考えたとき、ある程度の公共性を持っていろんな人にサービスをするほうが、よりやりやすいという思いがあるからです。自分は、あまり金もうけに興味ないとも気づきました。「これを頑張ってなし遂げて出世したい」と思えなかったこともあります。

 はい、ありがとうございます。「金もうけに興味がない」とぶっちゃけたのはいいですね。正直な感じがします。ただ、気になったのは、「公共性が合っている気がした」の理由が明確でないところです。

 これまで何度も言っていますが、面接はどんな質問も、あなたはどんな人ですかということの変形なわけですね。となると「WHY(なぜ)」が入ってこないと、藤井さんがどんな思考を持つ人なのかわかりません。「父が公務員だから」というのも理由にはなりません。「父にこういう影響を受けて公務員がいいと思っていたので......」と説明するのならわかるのですが、藤井さんの言い方だと、父が公務員の人はみんな公務員を目指すのかと思ってしまいます。

 2人とも、もう少し、就活で世の中と触れて感じたことはないですか。

就活は社会への入り口。学んだことは多いはずだ

小川さん いままで学生だったので社会人と話す場がありませんでした。実際に会社で働く社会人の話を聞いてどういう思いで働いているかをストレートに聞いて、自分の考えていることより、視点が高いことが分かりました。ビジネスというのは1つの部署に配属されてスペシャリストとして専門性を高めていくことも重要ですが、それにプラスして、周りを知ることでジェネラリストにならなくてはならないということを聞いてとても勉強になりました。

藤井さん 大学院という世界にいるので、スピード感、時間の感覚が違うと感じました。大学院ではみんな、いいものを仕上げるためには何年もかかると思っています。企業はお金を稼ぐタイミングを逃さず、いかに素早くキャッチできるかで生きているので、時間の使い方が違うと感じました。

 もう一段レベルアップさせるなら、それに加えて社会に対して感じたことも述べてほしいと思います。就活は社会の入り口で、いろんな業界の話を聞いて、少子高齢化や海外情勢など学ぶことが多かったと思います。学んだことを整理しておいて披露すれば、面接官が「ウチの会社で勉強したら学習していろんなことをゲットしてくる人だ」と思ってくれるかもしれません。

曽和利光(そわ・としみつ)
 1971年生まれ。京都大学教育学部卒。リクルート人事部ゼネラルマネージャー、ライフネット生命総務部長などを経て2011年、主に新卒採用を対象にしたコンサルタント事業の人材研究所を設立。著書に「就活『後ろ倒し』の衝撃」(東洋経済新報社)、「『できる人事』と『ダメ人事』の習慣」(明日香出版社)などがある。
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[日経電子版2017年7月5日付]

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