面接を通過できない人へ(上) ~あいさつ、動作、表情をチェック
就活リポート2018(4)
新聞などでは内定を持っている人が8割を超えていると報じられる一方で、内定を得られずに就活を続けている人もまだいます。未内定者の中には、「このまま内定を得られないのでは?」「自分に合った仕事が見つからないのでは?」、さらには「社会から必要とされていない」とまで考えている人もいるかも知れません。でも、そんなことはありません。必ず内定は得られます。今回のレポートでは2回に分けて、未内定者向けに面接のチェックポイントと改善方法を紹介します。
面接を通過できない人にはそれなりの理由があります。その原因を突き止めて改善しなければ、これまでの面接と一緒で、自分の良さや仕事に対する想いを面接担当者に伝えることはできないでしょう。まずは、身だしなみや面接のマナー、発声などを確認してみましょう。
【身だしなみ】「クールビズで」の対応は?
暑い夏に気を付けたいのが汗です。汗によって髪型が乱れたり、シャツに汗ジミができたり、シワが寄ったりします。ネクタイを緩めたまま面接に行ってしまったという男子学生の話もあります。夏場は髪型が暑苦しく見えないように男性は短かめ、女性は1つにまとめるなど、清潔感を維持するようにしてください。他にはハンカチはもちろんのこと制汗シートを持ち歩くなど汗対策も万全に。面接担当者に不快な印象を与えないことが重要です。
夏は多くの企業が「クールビズでお越しください」と言ってくれます。クールビズは「ノーネクタイ・ノージャケット」が一般的ですが、役員など年配者の中には「面接を受けるのにクールビズはあり得ない」と考えている人もいます。実際、昨年の就活生からは「採用担当者からクールビズで良いと言われたのに、役員面接で"面接なんだから服装はネクタイと上着では?"と言われた」や「最終面接のみノークールビズ(上着着用)と言われた。古い体質の会社だと思った」という報告がありました。
では、どうすればいいのか? 「そんな考え古い会社では働きたくない」と言えるのであれば、クールビズでもいいでしょう。ただ、リスクを排除したいのであれば、ジャケットは持って行く、男性ならネクタイも着用したほうがいいでしょう。また、半袖のシャツはどうでしょうか。ビジネスの現場では「好ましくない」という声も多いので、これも避けたほうがいいでしょう。
【あいさつ・動作】の動作を区切る
初対面の人と会って最初にするのがあいさつです。これは面接だけではなく、面接の受付時でも同じこと。会社によっては受付時のあいさつの有無や態度などをチェックしているところあります。面接は受付前から始まっていると考えてください。面接担当者が不採用の学生について「あいさつすら、まともにできない」という話を何度も聞きました。「こんにちは」「よろしくお願いします」「ありがとうございます」などのあいさつは、しっかりと相手の目を見て、大きな声ではっきりと言えるようにしてください。これは普段の生活からあいさつをするように心がけ、鏡の前などで練習してから面接に行くようにしてください。
あいさつ時にもう1つ注意したいのは、ダラダラとした動きをしないこと。具体的には、ドアを開けながら「失礼します」や、会釈しながら「こんにちは」など、「ながら動作」をしないように。1つひとつの動作を区切ることが大事です。具体的には、「失礼します」と言ってからドアを開ける、「こんにちは」「よろしくお願いします」と言ってからお辞儀をするなどです。1つひとつの動作を区切るだけで、テキパキとした動作に見えます。
【声の大きさ・表情】模擬面接でチェックしてもらう
同じ回答でも、声の大きさや表情によって面接担当者が受け取る印象は異なってきます。自分ではほど良い声の大きさや笑顔だと思っていても、相手には声が小さい、自信がなさそうに見えるなどといったマイナスの印象を与えていることがあります。
面接を通過できない人はキャリアセンターの職員の方に模擬面接をしてもらい、声の大きさ、話し方、表情などもチェックしてもらってください。もし注意された点があれば、良くなるまで練習することです。練習の際には、相手がいても、1人でもスマホで撮影するといいでしょう。自分で自分の話している姿を見ることによって、指摘された部分を理解でき、修正しやすくなります。
面接担当者が質問することは、学生の皆さん自身についてです。自分のことを自信を持って笑顔で話せるようにしてください。面接担当者は、自信がなさそうな人を採用して仕事を任せようとは思いません。
【緊張しすぎる】回答を丸暗記しない
緊張してしまい、「うまく話せない」「頭が真っ白になってしまう」という人もいるでしょう。どんな人でも緊張はしますが、その度合いが強すぎる人がいます。この緊張を一発で治す方法があればいいのですが、それは残念ながらありません。やはり慣れるしかないのです。数をこなせば、ある程度は緊張の度合いも薄らぎます。とは言え、慣れるまでには時間がかかりますので、まずは緊張する自分を受け入れることです。自分は緊張したら「こうなる」ということを理解するだけで、焦ったりパニックになったりすることは少なくなります。
では、緊張してもうまく話すにはどうすればいいのでしょうか? まずは、うまく話そうと自分でハードルを上げないことです。話すのは下手でもいいので、自分の良さ、意欲を伝えることを優先する、と思うようにしましょう。次に、回答を丸暗記しないこと。回答を文章として準備するのはいいのですが、それを丸暗記して話そうとすると、緊張で頭が真っ白になると何も出てこなくなる恐れがあります。文章を作ったらポイントだけを覚えて、面接の場ではそのポイントを文章にする練習をしましょう。
また、回答を準備していない質問が来た場合も頭が真っ白になりがちです。一生懸命考えながら、あおれもこれもと「~で、~で、......」と話していると、途中で何を質問されて何を答えようとしていたのかが分からなくなってしまうことがあります。あまり長くならないように、1つ質問には短めの文章で回答するようにするといいでしょう。
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以上が主な面接での外見的な注意点です。この他にも髪型、メガネ、女性なら化粧などで印象は大きく変わります。分からないことがあれば、専門家のアドバイスをもらい、不安を解消することです。また、最近では懇親会や食事会などもありますが、そうした場では食事のマナーなどもチェックされていることもあります。最低限のマナーは身につけておいてください。
次回は、面接での回答についてチェックポイントと修正方法をご説明します。
日経HRコンテンツ事業部長、桜美林大学大学院大学アドミニストレーション研究科非常勤講師。91年入社。高齢者向け雑誌編集、日本経済新聞社産業部記者を経て98年より就職関連情報誌・書籍の編集に携わり、2005年日経就職ナビ編集長、2015年日経カレッジカフェ副編集長、2018年から現職。著書は『これまでの面接vsコンピテンシー面接』『マンガで完全再現! 面接の完璧対策』『面接の質問「でた順」50』など。
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