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ロボット大国担う若者へ(2)【PR】研究者インタビュー
「これからはロボットと共生する時代に」

ロボット大国担う若者へ(2) 【PR】研究者インタビュー「これからはロボットと共生する時代に」

 自律移動ロボットの世界大会「ロボカップ世界大会」の@ホームリーグで、2008年と2010年に優勝した玉川大学チームを率いる岡田浩之教授に、ロボット研究の楽しさや今後のロボットの可能性などを聞きました。

【ロボカップ】 ロボカップとは、「2050年、サッカーのワールドカップチャンピオンチームに勝てる、自律型ロボットのチームを作る」ことを目標に、日本の研究者らによって提唱された。1997年に第1回が開催され、今年で21回目となる。最初はサッカーから始まったが、今ではサッカーに加え、災害救助用のレスキュー、家庭用の@ホーム、産業用のインダストリアル、11歳以上19歳以下の次世代研究者候補が参加するジュニアのリーグに分かれている。

特定非営利活動法人ロボカップ日本委員会専務理事・玉川大学学術研究所 先端知能・ロボット研究センター主任 岡田浩之氏

――会場はすごい熱気ですね。

「そう、すごいでしょ。子どもから大学生、研究者まで、42カ国392チーム(日本チームは54)、2521人が参加しています。私たち玉川大学チームは@ホームに参加します。各チームはトヨタ自動車が開発したHSR(障がい者や高齢者などの家庭内での自立生活をアシストする生活支援ロボット)を使い、家庭のキッチンやリビングを模した競技場で"ビールを持ってくる"などといった与えられたタスクをこなします。ロボットのハードウエアは共通なので、いかに良いプログラミングができるかが勝負。この春に入学した1年生から博士課程まで14人のメンバーが朝から晩まで頑張っています。朝6時に会場入りしてから夜22時までここで作業し、帰ってからもホテルで続けているので、徹夜しているの学生もいるんじゃないかな。それぐらい、みんな真剣に取り組んでいます。試合直前には私も学生に話しかけられないほどです」

――先生が研究を始めてからロボットはどう変わっていますか。

 「実は、私が研究を始めた当初からハードウエアはそれほど大きくは変わっていないのです。何ができるか、どうすればできるかということは分かっていて、それにコンピューターが小型化・高速化し価格も安くなり、今いろいろなことが実現できている状況です」

――ロボカップは2050年にサッカーワールドカップの優勝チームに勝てそうですか?

 「ある研究者が自動運転のF1カーを開発しました。でも、人間と一緒に走ることはできない。なぜなら、命を失うことを恐れないAI(人工知能)が時速300キロで車を運転しているんです。怖くて一緒に走る人間はいませんよね。これと同じように、サッカーもすでにスピード・パワーは人間を上回っています。試合をやれば勝てるんです。ただ、時速100キロで走るようなロボットと人間が試合をするわけにはいきません。これからは人間にケガをさせないで勝つことができるロボットを開発しなければなりません。人と協調して何かをするという段階に来ています」

岡田先生の横にあるのが競技で使用するHSR

――日本のロボット・AIのレベルは世界的に見てどのような状況にありますか?

 「高校まではロボット教育はとても熱心で、世界でもトップレベルにあります。ところが、大学ではあまり盛んではない。理由の1つとしては、高校ではロボカップなどに出場すれば、大学の推薦入試などでは評価されるというメリットがあります。一方、大学の出口となる就職では、日本の企業がロボットを研究した学生をあまり必要としていない。大学教育は産業界のニーズに応えるという面もありますので、企業が求めなければ大学もそれほど力を入れないということになります」

 「ところが海外の企業はロボット研究に力を入れており、外資は優秀な学生をスカウトするためにロボカップに来ています。ある米国企業は、優勝チームのメンバー全員を採用したという話もあるほどです。日本企業の一部もようやくロボカップ出場者を獲得しようと動き出していますが、ほとんどの企業は昔と変わらず"数学の点数が良い学生を"なんて言っている。企業にはロボット研究や、競技会出場という実績をもっと評価してほしい。そうしないと大学での研究も盛んになりませんし、日本企業は世界から遅れてしまいます」

 「ただ、国がロボット研究に力を入れ始めており、2020年にはワールドロボットサミット(WRS)が開催されます。これはロボットが人間と共生することを念頭に置いて、ロボットの社会実装と研究開発を進めることを目指しています。2018年にはプレ大会も開かれます。WRSに向けて企業や大学がロボット研究を加速させてくれるでしょう」

――先生の研究の楽しさとは?

 「私はロボカップ日本委員会の専務理事をしているのですが、このロボカップを運営するという楽しさがあります。こうやって世界中から参加者が集まってくれるんですから、運営側としてはありがたいことです。もう1つはプログラミングの楽しさです。ロボットの研究は何か新しいものを作るわけではなく、ロボットで何かをしたいという目標があり、そこに近づけるように努力することです。さっきも言ったようにコンピューターが小型化・高速化しているから実現しやすくなっています。この過程を見られることが楽しいですね」

――ロボットやAIによって人間の仕事が奪われると言われていますが。

 「そんなことはない。いくつかの仕事はロボットやAIが代わりにやってくれるでしょうが、その何倍もの仕事が生まれてくるので、人間が仕事を失うようなことはないでしょう。また、単純な仕事をロボットやAIがするようになるとも言われていますが、それは間違い。時給900円の仕事をさせるために1億円もするロボットを使うかと言えば、そうはならない。コストの高い仕事をロボットにさせるようにするのが経済的にも合理的です」

競技直前の学生たち

――ロボットやAIを学ぶ学生に求められるのはどのような知識・能力でしょうか。

 「プログラミングの知識は必要ですが、それだけではダメです。人間がしている、あらゆることに関心を持つことです。ロボットはコンピューターが進化すればさらにできることが増えていきますが、先に説明したようにこれからのロボットは人間と共生することが必要になってきます。だから、ロボット・AIの専門知識だけでなく、いろいろなことに興味・関心を持つことです。例えば、ロボカップでは良いピザの調達係がいるチームは強いんです。それは気の利くメンバーがチームにいるということなんですね。競技会に出るチームも、仕事でも、仲間と一緒にプロジェクトに取り組む際には、メンバー一人ひとりに役割がある。自分の役割がわかって行動できる人になってほしいです」

リビングルームを再現された競技場を動くHSR

サッカーの競技風景

――先生は協働ロボットの活用アイデアコンテスト「ABB YuMi® Cup 2017」の審査員も務めていますが、学生にはどんなことを期待していますか。

 「いろいろな競技会があるのはいいことです。学生には熱意を持ってどんどん挑戦してもらいたい。主催する企業側も熱意をもって開催しており、学生にはそれに負けないような熱い気持ちを持って参加してほしい。ロボカップもそうですが、開催する側、参加する側の両者が熱意を持っていれば、競技会は盛り上がり継続されます」

 「YuMiは人間とロボットの協働を謳う新しいタイプのロボットです。工場などの生産現場だけでなく、私が興味を持っている家庭におけるサービスロボットの分野でも利用できる可能性を秘めたロボットがYuMiだと思っています。このアイデアコンテストを通じて、今までの常識にとらわれない新しい発想が出てくることを期待します」

ロボットの可能性にチャレンジ!

ABB YuMi® Cup 2017
協働ロボット活用アイデアコンテスト


人と一緒に働くロボットYuMiに触れ、現在の市場や技術の一端を知り、その先の未来を自由に発想するための実践的な学習機会として本コンテストへぜひご参加ください。
皆さんの自由な発想を楽しみにしています。
公式サイト
※2017年8月18日をもちまして、コンテストへのご参加は締め切らせていただきました。
公式サイトでは、引き続きコンテストの内容を公開しておりますので、ぜひご覧ください。