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夢が大学生を悩ませる ~就活でどこまで追求するか?

ホンネの就活ツッコミ論(22)

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NIKKEI STYLE

石渡嶺司・大学ジャーナリスト

今回のテーマは「夢」です。台風シーズンの夏になると、天気予報でよく台風の進路が紹介されます。「この後、台風は北北西に進路を取り...、西日本に上陸予定」。この天気予報に落ち込むのが進路未定の高校生、大学生です。「台風はいいよな、進路が決まっていて」。そこまで思い詰めないでも。

進路未定の高校生、大学生を追い詰めるのが、高校や大学で展開されているキャリア教育です。キャリア教育とは、職業観を深めるものであり、様々な働き方を知るきっかけになります。2000年代に入り、小学校から大学までそれぞれ導入されていきました。それはいいのですが、このキャリア教育でやたらと強調されているのが「夢」です。「夢を持とう、夢を実現しよう」と訴えかける結果、高校生や学生からすれば、夢を持たなければ、と強迫観念を持つことになってしまうのです。

「夢」に合う専門職、合わない一般職の違い

「夢を持とう」

この響きはいいものです。が、ともすれば、「夢さえ持てばいい」との極論、あるいは「夢がない自分なんて」との自己否定論に学生を追い込んでしまいます。夢があっても、そこに至る努力をしなければ、単なる妄想です。自己否定も強すぎると、就活にも悪影響です。

キャリア教育で語られる「夢」、実は専門職と一般職では意味合いが異なります。もっと言えば、一般職への就職希望者とキャリア教育で語られる「夢」には大きなかい離があります。専門職とは、スポーツ選手、医師、漫画家など専門的な職業です。一般職とは、企業に勤務する会社員、中央省庁・自治体に勤務する公務員などを指します。なお、就活では総合職・一般職(事務作業など総合職の補助業務が中心)という区分けをしますが、本稿での一般職には総合職も含みます。

さて、専門職の場合、目指す人は夢・希望(趣味・嗜好と志望する職種が一致)をもって目指すのは当然です。そのうえで、才能、技術、人間関係などが作用しながら生き残る人、そうでない人が選別されていきます。「夢」を持つことが大前提であり、そのうえで努力を重ねていけるかどうかが問われます。すなわち、現代のキャリア教育が語るところの「夢」に合っている、と言えるでしょう。

その点、一般職の場合はどうでしょうか。夢・希望(入社意欲)はもちろん大事ですが、専門職ほどではありません。それに、入社意欲は重視されても、趣味・嗜好と志望業界・企業が結びつくかどうかは別問題です。いわゆるBtoBのメーカー・商社だと知名度の低さから、大学1年生から志望している学生はまずいないでしょう。

企業側もそのことはわかっていますし、それを問題にする企業はまずありません。これは知名度の高い企業でも全く同じです。夢・希望よりも、コミュニケーション能力、教養や判断能力などが重視されます。この専門職、一般職の違いを混同したままのキャリア教育が学生をさらに混乱させ、惑わせているのが現状です。

「好き」にこだわりすぎVS軽視しすぎ

「夢」は一般企業への就活だと「好き」に転化します。「××が好きだから志望しました」。このようなアピールがエントリーシートや面接でよく登場します。食品や文房具、映画、鉄道など学生から人気の業界に属する企業だと、8割近くの学生がこのようなアピールをすることで落ちていきます。

企業からすれば、いくら学生が製品やサービスを好き、と話したところで、「だったらずっと、うちのいいお客さんでいてください」となってしまいます。このあたり、詳しくは第7回と第9回をどうぞ。

では、「好き」が全くなくていいのか、と言えばそうでもありません。採用担当者からすれば、企業の製品やサービスに愛着が持てるかどうか、あるいはその企業に合うかどうか。つまり、「好き」が全くないのも困るからです。「うちの製品や社風がどうでもいい、という学生は優秀な方に多いですね。ただ、初期選考はともかく、中盤ないし終盤で落とします。仮に内定まで出しても内定辞退されそうですし。入社してもすぐやめる確率が高い、と判断してしまうからです」(専門商社の採用担当者)

「好き」は出発点、その先は?

3年生夏の段階であれば、「何となく好き」というレベルの業界や企業があることでしょう。問題はその「好き」が全てではないことです。「好き」はあくまでも出発点であり、マッチングも含めて働けるかどうか、考えていくべきです。

そのためには、好きな業界・企業に関連したイベントはもちろんのこと、さほど興味が持てない業界・企業についてもイベント・インターンシップなどに参加してみるといいでしょう。意外な面白さに気づいて、志望業界・企業が変わっていく学生は例年多数います。3年生の夏から秋・冬にかけては、「好き」以外の業界・企業も見ていくと視野が広がります。

「好き」が見つからないなら、極論二択から探す

「好き」で言えば、なかなか好きな企業・業界が見つからない、という意見もよく聞きます。「いろいろな業界、企業のセミナーやインターンシップに行きます。どれも良さそうに思えるのですが、どうすれば志望企業を絞り込めるでしょうか?」。確かに。どの業界、企業でも生き生きと働いている人がいます。まして就活関連のイベント、インターンシップでは生き生きと働いている、エースクラスを企業は出してきます。学生が迷うのも無理ありません。

ここでおすすめの方法をご紹介する前に、読者のあなたに恋人がいるとしましょう(いや、すでにいるかもしれませんが)。今度、食事に行くことになったとき、あなたが相手に、「今度の食事、何を食べようか?」と聞いたところ、「何でもいいな」「任せる~」との返答がありました。そこで、さらに、「×ちゃんの好きなところに行こうよ」「えー、でも何でもよくて」「......」。こういう展開、お互いに困ると思いません?

聞く側(男でも女でもどちらでも)はわからないから聞いているのですが、何のことはない、聞かれる側も特に考えていないからわからないですし、だから「何でもいい」なのです。たかが食事ではありますが、下手をすると、質問する方もされた方も、相手のことを優柔不断などとネガティブに考えてしまい、別れ話につながることもあります。

この「何が食べたい?」質問、ちょっと気の利くタイプだと、単に聞くだけではありません。「重いものがいい?それとも、軽めの方がいい?」「この間、焼き肉に行ったから、今日はイタリアンか中華でどう?」など、選択肢を提示していきます。これだと、聞かれる側も答えやすいですね。さらに気が利くタイプだと、「この間のデートのとき、気にしていた店があったよね。そこに行かない?」などと誘ってきます。

なぜ、就活のコラムで、恋愛ネタを出したか。「好き」が見つからない学生は「何でもいい~」「任せる~」状態だから、見つからないのです。何しろ、どんな企業・業界がいいのか、わからないのですから。ではどうすればいいか。恋愛において気が利くタイプの真似をすればいいのです。ただし、問いかけるのも問いかけられるのも自分。一人二役なわけですが。

扱う商品・製品・サービス、給料、働き方...、何でも構いません。大きな軸を2つ、立ててみてください。その軸で、どちらにより魅力を感じるか、選んでいくと、志望企業は定まっていくのではないでしょうか。もちろん、そのためには、インターンシップ・セミナーなど色々と見ていく必要があります。

「夢」も「好き」も変わる

こういう話をすると、「夢(好き)がそう簡単に変わっていいのか?」との質問を学生からよくいただきます。結論から言えば全く問題ありません。これも恋愛と同じです。ある時点で好きだった、愛し合っていた相手がそのまま続き、結婚まで行けば、それはそれで幸せでしょう。が、結婚にまで至らず、別れることも珍しくありません。別れたあとに、なおも相手に執着し続けることを世間では何と言うでしょうか。世間では、それをストーカーと呼びます。

「夢」「好き」ではじまったとしても、長い就活のあいだに変わることもあるでしょう。変わったのであれば、その変化を学生は受け入れるべきです。仮に変わらなくても、当の企業が落とせば、それまでです。「夢」「好き」にこだわりすぎるより、現実的な選択をしていく方が自然です。

こだわることも大事ですが、一方で変化に対応していくことも大事です。3年夏から秋・冬にかけての就活序盤戦では、企業を選ぶだけでなく、自身の変化も見つめることに注意してみてください。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
 1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。

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