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[ career-働き方 ]

チェック! 今週の日経(22)トヨタが「脱時間給」に踏み込んだワケ

authored by 日経カレッジカフェ 
チェック! 今週の日経(22) トヨタが「脱時間給」に踏み込んだワケ

 日経の研修・解説委員やカレッジカフェ編集スタッフが、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」。今回は皆さんが社会人になってしばらく経ったら直面する賃金制度の変化についてです。

競争激化で生産性向上を迫られる

 8月2日付の日経新聞1面トップを飾ったのは、トヨタ自動車についての特ダネでした。ただ、他メーカーとの提携や新型車の開発とかではなく、トヨタに働く人の賃金制度が変わるという話。一企業での制度変更ですが、日本最大の企業であるトヨタの「決断」だけに、他社・他業界への波及も予想されます。

トヨタ、裁量労働を実質拡大 一定の『残業代』保証(8月2日)

 トヨタが導入する方針を決めた新制度では、所定労働時間(週40時間)を守れば1日の労働時間は自分の裁量で決められ、月に45時間までの残業なら実際の残業時間に関係なく、45時間分の残業代を手当てとして支給するというものです。対象は事務や研究開発に携わる主に30代の総合職社員で、この年代のホワイトカラーの大半が該当する模様。ただ、総人数は7800人に限られ、本人の申請をもとに会社が承認するとのことです。

 この記事の見出しが「裁量労働を実質拡大」とあるのは、こうした自由な働き方を認める裁量労働がすでにトヨタでも、企画・専門業務を対象に導入されていたから。この働き方では、1日の労働時間を9時間とみなし、残業代の代わりに月10万円程度の手当てを出していました。これは労働時間が所定の週40時間以内でも、それを大幅に超えても、1日9時間働いたとみなされるわけです。新制度では月45時間は「残業代」として保証し、それを超えたら別途支給されるので、いままでの裁量労働をもっと拡大した制度というわけですね。

トヨタ自動車の豊田章男社長

 裁量労働制は労働基準法で認められた働き方で、デザイナーや弁護士といった専門職や、企業の本社で企画・立案に携わる企画業務職といった、働いた時間の多寡では賃金が決まりにくい人が対象になります。ちなみに新聞社の記者職もこれに該当します。時間や場所にとらわれない自由な働き方を推進しようという政府の働き方改革では、より拡大する方針ですが、実際はこの制度を導入している企業は、専門型で2.1%、企画型で0.9%にとどまっています。そんな中でトヨタが導入を決めた新制度は、残業代を保証するという現行の賃金制度の中でも「脱時間給」の要素を取り入れたものと言えるでしょう。

今回の制度は若手社員は対象とならない(トヨタの入社式)

 どちらかというと働く側に有利にみえそうな制度で、実際に総人件費が増えることも予想されます。それでもトヨタが新制度を決めたのは、自動車業界が異業種も交えた競争激化の中にあるから。自動運転技術や電気自動車の進歩・拡大が予想され、技術職でも事務職でも生産性と創造性を高める必要に迫られています。画一的な時間管理の働き方では、もう対応できないというわけです。

 トヨタを巡っては4日にも日経朝刊に大きなニュースが載っていました。

トヨタ、マツダに出資 EVを共同開発(8月4日)

 トヨタとマツダは2015年に環境や安全技術の分野で包括提携を結びましたが、今度は両社が互いに出資しあうという一歩進んだ内容です。両社の本気度がうかがえます。自動車業界を巡っては、本業でも、社員の働き方でも、これからも大きなニュースが出ると思いますので、注目してください。
(研修・解説委員 若林宏)

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