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[ career-働き方 ]

髪形はもちろん体臭も
新就活生向けイベント盛況

髪形はもちろん体臭も新就活生向けイベント盛況

 厳しい暑さの中、来春卒業予定の学生が就職活動を続けている一方で、2019年卒業予定の「新就活生」が動き出した。ある調査では、早く就活を始めた学生ほど、希望する企業の内定を獲得できる傾向があるという。夏から秋にかけて続々開かれるインターンシップに照準を合わせ、新就活生をサポートしようとするイベントを取材した。

内定者がコツを直接指南

就活を終えたばかりの内定者が面接官役になり、新就活生を直接指導した(東京都渋谷区)

 「コンサルと金融に内定しました。答えられることは何でも答えるのでどんどん質問してください」

 6月中旬。人材サービスのビズリーチ(東京・渋谷)は、この6月までに企業から内定を獲得した来春卒業予定の学生を招き、新就活生に体験談を伝えるイベントを開いた。土曜日にもかかわらず、同社のオフィスビルには80人ほどの新就活生が集まり、壇上に立ち誇らしげに話す内定者の話に耳を傾けていた。

 プログラムの目玉は模擬面接。新就活生はインターンシップへの参加選考を念頭に置いた模擬エントリーシート(ES)をあらかじめ記入し提出。これをもとに、内定者が面接官役になり、本番さながらの面接を体験した。

 「学生時代に頑張ったことは何か」「自分の強みや弱みは何か」――。面接官役が繰り出す質問に緊張した面持ちで話す姿が目立った。「もっとハキハキ話したほうがいい」「もっと具体的に話したほうがいい」など面接官からその場でアドバイスを受けると熱心にメモを取っていた。

 プログラムは6時間超。模擬面接の後は大手電機メーカーの人事部で採用活動に携わっていた経験を持つビズリーチの社員による講義を聞き自己分析や自己PRの方法などを学んだあと、内定者を交えた懇親会に参加した。

 指導役を務める内定者は20人集まった。内定先の職種はコンサルタントや金融、ベンチャーなどが多く、中には5~6社の内定を獲得した人もいた。慶応義塾大の学生は「ついこないだまで就活に明け暮れてきた。『こうしたほうがいい』『ああすればよかった』というような教訓が山ほどあるので、みんなに伝えたくて仕方がない」と話した。

 新就活生の出身校は早稲田大や慶応大のほか明治大や立教大などを含む「MARCH(マーチ)」と呼ばれる首都圏の有名私大が大半を占めた。コンサルやベンチャー企業への就職を考えている私大3年の男子学生は「インターンに参加しようとしているが、面接で何を言ったらいいのかわからなかったので、体験談を聞けてよかった」と満足げだった。

 ビズリーチが18年卒業予定の学生を対象に6月に実施したアンケート結果によると、第1志望の企業から内定を獲得し、就活を終えた学生のうち、「大学3年生の6月以前からキャリアに関する情報を収集していた」と答えた学生は54%に達していた。同社の小川晋一郎氏は「インターネットなどを通して得られる情報には、真偽不明なものも多い。そのためOB・OG訪問のように、信頼できる生の情報を学生自身が実際に人に会って取りに行く動きが増えている」と話す。

まず身だしなみで意識改革

布に体臭のサンプルを振りかけ臭いをかぐ新就活生。特に夏場の面接では対策が不可欠だという(千葉県習志野市の千葉工業大)

 就活を始めるにはまず身だしなみを――。学生の8割超を男子が占める千葉工業大学は、化粧品メーカーのマンダムと共同で、6月下旬に3年生を対象に「男の就活身だしなみセミナー」を開いた。

 まず、講師であるマンダムの片岡東氏が強調したのは「オシャレ」と「身だしなみ」の違いだ。オシャレは自分に対して行うもの。就活で必要なのは自分をオシャレに見せることではなく、「他人や社会に対して行う『身だしなみ』を整えることが重要だ」と訴えた。

 集まった学生の中には髪を染めていたり、長髪だったりする学生もいた。こうした髪形は学生の世界には通用するが、社会の入り口である就活では通用しないという。その流れで「先輩や上司から見た印象がいい髪形ランキング」を紹介し、アナウンサーのようなさわやかさのある短髪が印象が良いことを伝えた。

 もう一つ、強調したのが体臭だ。体育会の部活や運動系のサークルに所属する学生は汗を流した後に面接に向かうケースもある。日本人男性は外国人に比べ体臭が少ないと思われがちだが、独特の腋臭(わきが)があると指摘。「嗅覚のなれ」により自分の臭いに気づきにくいので、対策が必要だと訴えた。

インターンシップの面接などを控える3年生約40人が集まった(千葉県習志野市)

 学生向け情報サイトの「マイナビ学生の窓口」が人事採用担当者240人に実施したアンケートで「学生の身だしなみは選考にどの程度影響するか」を聞いたところ、「かなり重要」「まあまあ重要」と答えた人が9割に達した。マンダムの片岡氏は「面接官は外見を通じて人となりを感じ取る」と言う。参加した学生は「中身ではなく身だしなみで面接官の印象を悪くしたくないので、きょう学んだことを生かしたい」と語った。

中小や地方企業がインターン強化

 すでに新就活生たちの就活は事実上始まっているといえる。リクルートキャリアによると、「リクナビ」に登録された19年卒業予定の学生が参加できるインターンシップの応募可能企業数は6月1日時点で約8400社。昨年の同時期に比べて約1.5倍に達している。経団連指針による19年卒予定の学生の面接解禁は来年も今年同様、6月になる見通しだが、企業は学生との接点を増やそうとインターンシップに力を入れている。

 中でも今年目立っているのが、中小企業や地方企業だ。従業員300人未満の中小企業の登録数は全体の52%と、昨年同時期に比べて3ポイント上昇した。目的は業界や企業理解をさせるのが目的だが、学生が参加しやすく、企業の費用負担も軽いことから、1~2日など短期間のケースが多いという。

 事実上就活の開始時期が早まりつつあることについて、ある有名私大の就職課の担当者は「本来大学3年生の夏休みは、就活のことは考えずに長期間の休みでしか体験できないことをしてほしいのに」と企業の前のめりな動きを嘆く。別の私大の担当者は「4年生ですらまだ就活のエンジンがかかっていない学生が一定数いる」という。就活を始める時期を巡って、学生の二極化がさらに進みそうだ。
(鈴木洋介)[日経電子版2017年7月22日付]

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