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電車で困った!
遅延や痴漢トラブルの対処法

電車で困った!遅延や痴漢トラブルの対処法

 天候不順や人身事故による遅延・運転見合わせ、痴漢トラブル――。普段何気なく利用している電車でトラブルに巻き込まれた場合、どう行動すればよいのだろうか。防止策も含め適切な対策を専門家に聞いた。

混雑する電車ではトラブルが起きやすい

 電車の遅延は日常的に遭遇しやすいトラブルの一つだ。欠かせない会議がある日は、ゆとりを持って早めに出勤することが大前提。それでも遅延が発生した場合、まずは振り替え輸送などを利用し、できるだけ早く目的地に着くようにする。その上で、仕事に関係する人に必ず連絡する。

 ビジネスメールの専門家である日本ビジネスメール協会(東京・千代田)の代表理事、平野友朗さんは「業務に支障が出そうな場合は、上司や関係先と、なるべく早い段階でメールで状況を共有しておく」と注意を促す。

 伝えるべきポイントは「現状」と「到着の予測時刻」だ。「電車が人身事故で止まっています。私は○○駅付近にいます」「30分以上遅れる見込みなので、早くても到着は午前9時30分ごろになりそうです」と具体的に説明する。「少々遅れそうです」といったあいまいな表現は避ける。

 状況によっては対策を相談する必要もある。「会議資料の配布を誰かにお願いしたいのですが」「○○様のご都合もあると思いますので、改めて打ち合わせの日程をご相談できれば幸いです」といった具合だ。「上司、同僚がそばにいないだけに、とっさの判断力が問われる」(平野さん)

 日ごろ、仕事で交流サイト(SNS)を使っていれば併せて活用するといい。「ただし、メールやSNSのメッセージを必ずしも相手が読んでいるとは限らない。『駅に到着したら連絡します』と書き添え、後で必ず直接電話しよう」(平野さん)

 痴漢も通勤電車で起こりがちなトラブルだ。警視庁生活安全部生活安全総務課の川崎和己警視は、「女性が被害に遭わないための最良の対策は混雑を避けること」と強調する。女性専用車両があれば利用する。無い場合は、階段やエスカレーター付近に乗降口がある車両は混雑しがちなので避ける。同じ車両内でも乗客の多い扉付近は立たないようにする。

 痴漢に遭っていると感じたら、触っている手を確実につかむのがベスト。背後からの犯行の場合、この方法なら人違いをせずにすむ。つかむのが難しい場合もある。警視庁のサイトは「袖口や腕時計、指輪など犯人の特定につながる特徴を確認」と注意喚起している。

 触っているのか、手やカバンが当たっているだけなのか判断しづらい場合は「『当たっているのでどけてくれませんか』と伝える。勇気を出して声にすることが肝心だ」(川崎さん)。

防犯アプリ「Digi Police」を使えば、声を出さなくても被害を周囲に伝えられる

 声を出しづらければ、警視庁の防犯アプリ「Digi Police」をスマートフォン(スマホ)でダウンロードして使用する方法もある。トップ画面から「痴漢撃退」のボタンをクリックすると、画面に「痴漢です 助けてください」の文字が表示される。隣の人に画面を見せることもできるし、タップすれば、「やめてください」という音声が繰り返される。

 痴漢をした相手とは、最寄り駅のホームに一緒に降りる。自力が難しければ周囲の人に協力を求め、駅員を呼んで被害状況などを説明する。

 男性の側も痴漢トラブルに巻き込まれない用心が必要だ。そばに女性がいる場合は、そちらに向いたり、後ろに立ったりすることはできる限り避ける。つり革やカバン、スマホなどを持ち、どちらの手もふさがった状態にしておくようにする。

 「痴漢と間違われた場合、すぐその場から逃げるべきだ、という意見もあるようだが、かえってよくない結果を招く」と話すのは春田法律事務所(東京・港)の代表弁護士、春田藤麿さん。潔白でも一度逃げると、再逃亡の恐れがあると判断され、逮捕、勾留されやすくなる。線路に飛び降りて逃走するのは危険なので絶対にやめるべきだ。

 駅のホームに降りるよう女性に促されたら、誤解であっても声を荒らげたり相手を批判したりせず、冷静かつ誠実な態度で接しよう。自分は痴漢行為をしていないことを伝えたうえで、被害内容を尋ねスマホで録音するかメモをとる。

 駅員が来たら携帯電話の番号を教え、運転免許証、名刺など身元のわかるものを提示。自分が潔白であること、必要があれば捜査に協力することを述べる。「警察の方が来たら私に連絡をください。あらためて日程を調整して伺います」と伝え理解を求める。「ネットで調べ、弁護士に電話をかけ現場に来てもらうのも一策」(春田さん)

 なお、飲酒して記憶を失ってしまうと「やっていない」と主張しても信用されない。「電車に乗れないほど泥酔しない」を鉄則にすべきだろう。
(ライター 西川 敦子)[日本経済新聞夕刊2017年7月24日付、日経電子版から転載]

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