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[ career-働き方 ]

曽和利光の就活相談室一度落ちた会社 
夏・秋採用でリベンジは可能か

authored by 曽和利光
曽和利光の就活相談室 一度落ちた会社 夏・秋採用でリベンジは可能か

 就活生の皆さん、こんにちは。人材研究所(東京・港)の曽和利光です。複数の内定を持っている人でも、入社する会社は1社。自分で決めなくてはいけません。皆さんは何を基準に決めますか。「就活相談室」で出た相談を基に考えてみましょう。

今回の参加者
▽小川絵里さん(立教大学文学部4年)
▽藤井康平さん(筑波大学大学院2年)
※希望する方の氏名を仮名にしてあります。

一般職ってどんな仕事?

バリバリ働きたいなら、その気持ちを尊重しよう(就活生の質問を受ける曽和さん)

小川さん 総合商社の一般職の内定をもらっています。商社の一般職って、どうなんでしょうか。

 営業はやらず、営業の社員を支えるなど仕事が限定されています。でも商社の一般職は給与がかなりいいです。普通の会社の総合職くらいはあると思ってもいいかもしれません。でもいいことばかりではありません。その1つが「天井」です。天井とは昇進の限界。つまり課長や部長になるのは難しいです。

小川さん 一部の商社では一般職から総合職に職種転換できる制度があると聞きました。一般職でしばらく働いて職種転換を目指すか、メーカーの総合職で初めからバリバリ働くかどちらがいいでしょうか。

 小川さんはバリバリ働きたいのですか、それとも安定して働きたいですか。

小川さん 海外でその国のために大きな仕事をバリバリやりたいと思い、ほかの商社は総合職で受けましたが、全て最終や2次で落ちてしまいました。でも1社だけ、たまたま一般職で受けて通ってしまったんです。商社に憧れがあって、内心うれしかったんですが......。

 最近、「女性活躍推進」なんて言葉をよく聞きますよね。人口が減っていく中で、女性が総合職的な働き方をしないと労働人口が追いつかないとして、政府も力を入れて対策を取り始めました。そのような流れでいけば、20年後には一般職という職種はなくなっているかもしれません。

結婚を機に会社を辞めて子育てをして、「もう一度仕事したい」と思っても、職が見つからないケースが非常に多い

 ただ、それは将来の話で、現実は一般職でやれる仕事は制限されます。小川さんは海外に行きたいんですよね。一般職だと難しいかもしれません。小川さんは電機メーカーの総合職の内定ももらっていましたね。

小川さん はい。

 仮に商社に一般職で入ったとしましょう。初めは「海外でバリバリ」なんて思っていても、人間って「慣れ」っていうのがあって、10年くらいたつと、そんな気持ちは薄れてくるでしょう。そのときに突然、会社側が一般職と総合職を一緒にする、となったとき、一般職と総合職の仕事の違いにがくぜんとして辞めざるを得なくなる、ということもあり得ますよ。

 有名企業の一般職だった女性が結婚を機に会社を辞めて子育てをして、「もう一度仕事したい」と思っても、職が見つからないケースが非常に多いです。バリバリやりたい気持ちあるなら、それは大事にしたほうがいいし、社会もそれを求めていますよ。

公務員受験、民間の「受け」は悪い

藤井さん これから公務員の面接を受けます。どんな点に注意したらよいですか。

 前回の模擬面接で藤井さんは「公務員は金もうけしないから性に合う」という趣旨のことを言っていましたね。ただそうした考えはあまり受け入れてもらえないかもしれません。北海道の夕張市が破綻したように、公務員安泰説も揺らぐ時代です。基本的には税金を集め、交付金を使う仕事です。無駄遣いをしてまた税金投入、というようなことにならないように、公務員にも経営センスが求められます。

公務員にも経営センスが求められている

 また、民間企業も受ける場合には注意したほうがいいです。民間の面接で「公務員を受ける」と言うと人事は萎えてしまうということを覚えておいてください。なんてったって公務員は「大人気企業」です。「ウチが内定を出してもこない」と思う可能性が高いです。嘘はつかないほうがいいのが前提ですが、あえて自分からは言わないほうがいいかもしれません。

夏・秋採用は狭き門

小川さん これから人気企業を受ける際のハードルは高いでしょうか。

 かなり狭き門だと思ってください。企業側の心理としては、採用活動の始めのころは早く定員を埋めたいので、数を確保することを優先します。しかしある程度定員が埋まってくると厳選して採用し始めます。要求水準のハードルが高くなるわけです。

 わざと一定数の席を残しておく企業もあります。夏採用や秋採用です。大学入試の後期日程で、前期日程では受けてこないような面白い人が受けに来るのと同じように、海外大学の出身者や外国人、異能人材をターゲットにして枠を作るわけです。小川さんを見ていると私は「異能」というよりは、様々なことにきちんと取り組む「バランスタイプ」だと思います。夏・秋採用で頑張るよりは、今ある内定の中で決めていくのがいいのでは。もちろん可能性はゼロではないので、受けてもいいと思いますが。

小川さん 一度落ちた第1志望の商社にもう一回申し込んだ場合はどうなりそうですか。

 システマチックに1回落ちた人は自動的に落とす会社もあるくらいです。落とすなら最初から応募資格がないと言ってほしいところですが、そこは本音と建前。「幅広く門戸を開いている」という体裁上、やむを得ないのかもしれません。人気企業は相当の人数が受けますので、どう減らすかを人事はいつも考えています。一度受けた学生に再度チャンス与えるくらいなら、新しく来た人にパワーをさきたいのが本音。ですから就職浪人とか、受けたところを再受験するのはあまりお勧めしません。その会社はどの段階で落ちたのですか。

小川さん 3次が最終選考で、2次で落ちました。

 初期でさっと落ちているほうがまだ可能性があるかもしれませんね。初期に面接官となるのは現場社員で、2次以降の中期面接で管理職や人事担当、最終面接は経営者などが出てきます。人を見る目は徐々に厳選されていくわけですから、中・後期の面接で落ちた人が再チャレンジして突破する可能性は、初期面接で落ちた人より低いと考えたほうがいいでしょう。

曽和利光(そわ・としみつ)
 1971年生まれ。京都大学教育学部卒。リクルート人事部ゼネラルマネージャー、ライフネット生命総務部長などを経て2011年、主に新卒採用を対象にしたコンサルタント事業の人材研究所を設立。著書に「就活『後ろ倒し』の衝撃」(東洋経済新報社)、「『できる人事』と『ダメ人事』の習慣」(明日香出版社)などがある。
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[日経電子版2017年7月26日付]

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