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気になる平均年収、正しい見方とは

ホンネの就活ツッコミ論(26)

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今回のテーマは「年収」です。5年ほど前、「よーく考えよ~、お金は大事だよ~♪」という生命保険会社のCMがありました。そう言われなくても就活生からすれば、志望企業でいくら給料がもらえるのか、気になるところです。株式上場をしている企業であれば、平均年収を公表しています。この数値がYahoo!ファイナンスなどのネットや、『就職四季報』などの就職ガイドにも掲載されています。では、この平均年収を調べれば、事足りるのでしょうか?

平均年収を高く出す~ブラック企業

平均年収を高く出す、と言えば一部のベンチャー企業を中心とする、いわゆるブラック企業です。以前、合同説明会を見学した時、「営業職は入社1年目で年収1200万円!」「事務職でも年収800万円を保証!」と、宣伝している企業ブースがありました。

さすがに引っかかる学生はいないだろう、と思いきや盛況だったので驚いたのを覚えています。出てきた学生に話を聞くと、「もちろん、ウソとはわかっていますが、どういうからくりか、ちょっと知りたくて」とのこと。ただ、わかっていない学生もいるようで、他人事ながら心配になりました。

極端な好条件を示す企業は、必ず裏があります。極端に長い残業時間込みとか、過大な営業ノルマを達成した場合のみ、など。こうした付帯条件は会社説明会の時点で伝えない、という企業もあります。こうした企業はブラック企業である可能性が高く、敬遠した方がいいでしょう。

平均年収が高く出る~ホールディングス

ブラック企業でなくても、平均年収が実勢よりも高く出る企業があります。いわゆるホールディングス方式を採用している企業です。本来なら事業部であるところを個別の企業として独立。それを統制する持ち株会社としてホールディングスとする企業があります。

この場合、ホールディングスには部課長ないし、本部長以上の役職者しか在籍していません。グループ全体の社員数に比べて、ホールディングスの社員数が少ない場合は、役職者しかいないことを示しています。その役職者の平均年収なのですから、それは高く出るに決まっています。

平均年収が高く出る~航空会社

平均年収が高く出る業界としては航空業界があります。ホールディングスでなくても全社員平均が高く出て、総合職の実勢を反映していないのですが、さてどうしてでしょうか? 答えは、「パイロットがいるから」です。旅客機のパイロットは訓練時間が長くかかることで知られています。年収の高いパイロットを含めるので全社員の平均年収は高く出るのです。

日本航空の有価証券報告書には平均年収が859万円(従業員数1万1449人・平均年齢39.6歳)とあります。この記載のすぐ下の参考情報には、こうあります。

地上社員 559万円

運航乗務員 2086万円

客室乗務員 539万円

他の航空会社もパイロットの分を抜いた平均年収がいくらか。出している企業、そうでない企業にそれぞれ分かれますが、航空業界志望の学生は調べてみるといいでしょう。

平均年収が低く出る~商社、メーカーなど

一方、平均年収をあえて低く出す企業があります。株式を上場している企業は企業活動を明らかにする義務があります。平均年収も同じなのですが、実は数値の出し方は法律で定められているわけではありません。そのため、あえて低く出す企業があるのです。

理由としては、具体的には株主・取引先への対策です。平均年収が高すぎると、株主の一部はこう主張します。「社員への給料を高くするくらいなら株主に還元しろ」。あるいは、取引先だと、「へー、おたく、いい給料だねえ。だったらうちとの契約、うちの取り分を増やしてもらおうか」と。

もちろん、平均年収を低く見せることで就活生にマイナスの影響が出てしまうこともあります。その典型が、アパレルメーカー大手の某社でした。2002年、平均年収は約450万円と公表したのですが、あまりにも低く条件が悪すぎる、と学生の間で騒がれました。ではこの数値、どうしてか、と言えば、従業員数に臨時社員、つまりパートなども含んでいたからです。その後、この企業はホールディングスに移行、2016年の平均年収は616万円となりました。

経団連会長を多数輩出している某メーカーの2016年の平均年収は625万円。絶対にこんなに低いわけはないのですが、注釈を見ると「役職者は除く」。つまり、課長クラスないし部長クラス以上の役職者は平均年収の対象外としているわけです。

有価証券報告書の付則を読むしかない

では、こうした情報を学生はどのようにして調べればいいのでしょうか。実はそれほど難しい話ではありません。上場企業であれば、IR情報・株主向け情報のタグを作っています。そこから有価証券報告書をクリックしてみてください。その中に、「従業員の状況」という項目があり、そこに平均年収が掲載されています。有価証券報告書の中では前半が定位置。この平均年収の付則を見ていくと前記のようなからくりが見えてきます。なお、企業ページ以外では、EDINET(http://disclosure.edinet-fsa.go.jp/)という金融庁のサイトからも検索・閲覧が可能です。

非上場企業は教えてくれる?

株式を公開していない、非上場企業だと、数値は表に出てきません。中には、『就職四季報』などに回答している企業もありますが全体としては少数派。非上場企業の場合、上場企業の同業他社と比較してどの程度か、類推するしかありません。

それから大手の子会社・グループ会社で親会社が上場していれば、そこから判断していく、という手もあります。非上場企業だと、会社説明会ないし選考中に、標準賃金・年収モデルを示す場合があります。ただ、これも人事評価で高評価を取り続けた場合など実際のところは不明瞭です。

お金の先にあるものは

上場・非上場問わず、平均年収はあくまでも現時点でのものです。業績が大きく伸びた分だけ、平均年収が上がる企業があれば、その逆もあります。10年後、20年後なんてわかりません。目安程度にした方がよさそうです。お金はお金で大事ですが、それよりは一緒に働けるかどうか、そちらの方がより重要ではないでしょうか。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
 1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。

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