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大学生観光まちづくりコンテスト番外編事業化リポート 
2015青森ステージ 千葉商科大学チーム
弘前ウエディング、実現に向けて進行中!

authored by 日経カレッジカフェ 
大学生観光まちづくりコンテスト番外編 事業化リポート 2015青森ステージ 千葉商科大学チーム 弘前ウエディング、実現に向けて進行中!
 「大学生観光まちづくりコンテスト2017」(観光庁、文部科学省など後援)に参加している皆さん。各ステージの発表までもうすぐですが、準備は順調に進んでいますか。これまで19回にわたって、コンテストの参加リポートを掲載してきましたが、今回は番外編です。皆さんの先輩が作ったプランが、実現に向けて大きく動いている例があります。昨年、明治大学「市川ゼミ」チームによる大阪府箕面市の観光プランを紹介しましたが、今年は2015年の青森ステージ(当時)で青森県知事賞を獲得した千葉商科大学「チームA」です。対象に選んだ地域を訪ね、どこまで事業化が進んでいるかリポートします。

新郎新婦役はコンテストの参加学生

左から千葉商大の中野君、堀田さん、弘前大の八島さん

 8月上旬の青森県弘前市。夏の最大のイベントである「弘前ねぷたまつり」の熱気も冷めやらぬ市内の名所、弘前城で、婚礼衣装をまとったカップルの写真撮影が行われていました。弘前城天守をバックに長身の美男美女がカメラに向かって何度も微笑みます。この撮影は実は弘前を舞台にした「弘前ウエディング」というツアー企画のプロモーションのためのもの。新郎役は2015年のコンテストでこの企画を提案し見事、青森県知事賞を獲得した千葉商科大学「チームA」でリーダーだった中野智仁君(人間社会学部4年)、新婦役は今年度の弘前城ミスさくらグランプリで弘前大生の八島愛美さん(人文学部4年)です。八島さんは翌16年のコンテストに弘前大チームとして参加し、本選進出はならなかったものの、ポスターセッションで優秀賞を受賞した、いわばコンテスト仲間なのです。

 「撮影はとても楽しかったです。企画の事業化に向けてプロの方や行政の方の仕事に触れられ、これからの自分の仕事人生のイメージができました」(中野君)、「ミスさくらとして地元のPRに携われるのがとてもうれしい。自分の結婚式の気分もちょっと味わえました」(八島さん)。ふたりともちょっと照れくさそうに感想を語ってくれました。

リンゴと弘前城で「永久の愛」誓う

2015年の青森ステージで青森県知事賞を受賞した

 千葉商科大チームのプランは「愛ひろがり 愛さきほこる 弘前ウエディング」という名前です。現在、チームの中心メンバーで事業化の推進役である堀田知里さん(人間社会学部3年)は弘前市を地域活性化プランの舞台に選んだ理由を、「弘前は有名な弘前城の桜の季節以外は観光客がとても少ないのです。そもそも、関東では弘前を『ひろまえ』と読む人が少なくないほど知名度が低い」と話します。プラン名で「ひろさき」という読み方を強調するのも、知名度を上げたいという思いからだそうです。

 ツアーの売り物は弘前城で人前結婚式を行うことですが、もうひとつ、ご当地の名産品も絡んできます。それは「リンゴ」。リンゴの花言葉は「永久の愛」で恋愛を、摘花や摘果を重ねる果物なので選ばれた者同士の出会いを、連想させます。プランによると、カップルでリンゴを植樹してもらい、5年後には子供をつれて初めての収穫、20年以上経てば収穫したリンゴで地元の醸造家が作ったシードルで乾杯、といったその後のストーリーが用意されています。「弘前を家族の思い出の地にして、何度も訪れるようになってほしい」(堀田さん)という仕掛けです。地域の魅力ある資源を生かした新しいウエディングプランというわけですね。

実現には課題も山積していた

コンテストの直後に弘前市長を表敬訪問

 15年の青森ステージでの県知事賞受賞後、プランはさっそく実現に向けて動き出しました。コンテスト当日に弘前市の葛西憲之市長がいきなり「会って内容を詳しく聞きたい」と連絡をくれたそうで、翌日に市長室での面会が実現。市長から「これはぜひ事業化したい」と持ちかけられ、思いもかけず行政を巻き込んだプロジェクトがスタートします。ただ、役所の担当者を相手に具体案を詰める段になると、「市が管理する弘前城の敷地内で結婚式ができるのか」「植樹したリンゴの木の管理は誰がするのか」「そもそも、弘前で結婚式を挙げたいという人がいるのか」といった課題や疑問が続出しました。でも、中野君、堀田さんたちのチームはフィールドワークの成果をもとに実現性を熱く訴え、行政も徐々に本気モードになって行きます。

 一方、地元の観光業界の反応は暖かいものでした。「とにかく大歓迎。ありそうでなかったプランで、県外の若い人の発想は素晴らしい」と言うホテルニューキャッスルの波岸正会長は、応援役を買ってでてくれました。地元の婚礼業者や写真店なども乗り気です。学生たちの相談役でもある市の産業育成課総括主査の工藤俊介さんも、「今年度から事業化は本格化し、弘前ウエディング研究会という組織を立ち上げました」とバックアップします。6月23日に千葉商大チームも参加して行われた事業説明会には、約15社の地元関連業者が集まりました。

プロジェクトは後輩に引き継がれる

「弘前ウエディング」の撮影は和やかに行われた

 当面、9月中に堀田さんがプロデューサー役でPR用のビデオを作る計画で、完成すれば、8月に撮った写真などと合わせ具体的なプロモーションも動き始めます。県内の財団からの活性化資金も得られることになり、事業化に弾みが付きました。ただ、今のチームだけでは実現化まで見届けることは時間的に難しい。千葉商大チームの指導役である朝比奈剛人間社会学部学部長は、「後輩である今の1、2年生にプロジェクトを引き継いでもらうつもりです」と学部を挙げて取り組む決意を話してくれました。早ければ、来年度中にもウエディング第1号が誕生するかもしれない、それほどプランの熟度は上がっているのです。
(日経カレッジカフェ 若林宏)

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