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[ career-働き方 ]

給与増えた企業ランキング
首位は浪速の実力企業

給与増えた企業ランキング首位は浪速の実力企業

 過去5年間で給与が増えた企業はどこか。有価証券報告書(有報)をもとに東証1部の企業をランキングしたところ、トップは工場の自動化用センサーなどを手がける浪速の実力企業、キーエンスだった。上位にはファナックやアルバックなど市場拡大の波に乗る企業が入った。再開発ラッシュの恩恵を受けるゼネコンも伸びた。反対に、下落した企業は電力会社や商社が多い。経営危機に直面する東芝も低迷する。給与の増減は企業の栄枯盛衰や産業構造の変化を映し出している。

 約1000社を対象に直近決算(2016年度)の有報と5期前の有報の平均給与を比べた。持ち株会社はホールディングスの従業員のみの給与が記載されるため省いたほか、従業員数が少ないと期ごとの変化額が大きくなるため500人以上の企業だけを集計対象とした。

キーエンスは年収1800万円超え

 増加額トップのキーエンスは2017年3月期までに540万円増えた。平均給与は1860万円と金額自体も約1000社のうち最も高かった。2位の三菱商事(1380万円)に500万円近くも差を付けている。平均年齢は36歳とソニー(43歳)や日立製作所(41歳)などに比べて若く、実力があれば若手のうちからバリバリ稼ぐことができる環境だと言える。

 高収入の背景には独自の報酬体系がある。会社の営業利益の増減が月収やボーナスに反映される仕組みを採用している。9カ月の変則決算だった17年3月期は実質的に過去最高益を更新し、業績連動の報酬が膨らんだ。高収入で優秀な営業員を呼び寄せ、自動車、電機、食品などあらゆる業界の製造現場に食い込む。顧客も気付かなかったような潜在ニーズを掘り起こし、高性能な製品を販売する。そうした好循環が続く限り、高収入を維持できそうだ。

 2位以下には成長市場で稼ぐ力を高めている企業が多い。3位のミスミグループ本社は270万円増の690万円となった。自動車や電機業界で広がる自動化の需要を取り込み、業績は右肩上がりで推移している。6位のファナックも同様の自動化投資が追い風となり240万円増。11位の有機EL向け装置のアルバックや、13位の半導体切断装置のディスコも大きく増加した。

再開発ラッシュでゼネコン活況

 内需産業では建設業の躍進が目立つ。再開発ラッシュで業績が拡大し、人手不足も給与増を後押しする。2位は新潟県地盤の福田組だった。一時はボーナスをカットするまで業績が悪化していたが、首都圏のマンション建設など民間需要の獲得で復活。給与は440万円増えて950万円に達している。安藤ハザマや東急建設などのゼネコンに加え、空調工事の日比谷総合設備など幅広い企業に給与増の動きが広がっている。

 ソフトウエア開発のトレンドマイクロも給与が大きく増えた。企業のIT(情報技術)投資やセキュリティー対策需要の拡大が給与増につながっている。

下位には電力会社や商社

 逆に、給与が減った企業は電力・ガスが多かった。電力各社は11年の東日本大震災後、原発の運転中止が相次ぎ、業績悪化によってボーナスの支給が見送られてきた。関西電力は120万円減と下落額が5番目に大きかった。円安による輸入コスト増に苦しんだ北海道ガスも110万円減った。

 三井物産は140万円減と3番目に大きいなど商社の落ち込みも目立つ。12年3月期は新興国の需要増で鉄鉱石や原油など資源価格が高く好業績だった。1000万円は軽く超えるほどの高収入を維持するものの、当時に比べると給与は落ち込んでいる。下落額トップは旭化成で、子会社の従業員を吸収した影響が出た。

 10日に有報を提出したばかりの東芝の給与は710万円で、減少額は80万円と大きい。16年3月期には820万円だったが、米原子力子会社の巨額損失による経営悪化で1年間で100万円超も減った。従業員数も約4000人減少した。

 集計対象企業の平均は約680万円で5年間で30万円ほど増えた。日本企業の業績は過去最高水準で推移しており、17年度も増加基調が続きそうだ。

ランキング3位のミスミグループ本社コーポレート・リレーション室から15日、「5期前の平均年間給与の対象者には時給制の有期雇用社員を含めておりましたが、15年度以降は制度を見直し、正社員の平均給与を開示しております」との説明がありました。正社員だけの比較では給与増加額が縮小されるとのことです。

(栗原健太)[日経電子版2017年8月14日付]

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