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ボランティアの架け橋(3)学生だからこそできる、各活動の意義について

authored by 青山学院大学ボランティアセンター
ボランティアの架け橋(3) 学生だからこそできる、各活動の意義について

 みなさんこんにちは。青山学院大学4年の今野友彰です。期間が空いてしまいましたが、今回が連載の3本目となります。初回で僕自身のことやこの団体についての内容を執筆し、前回は実際のプロジェクト実施までのサイクルと、その中で僕が意識していたことについて書きました。

 プロジェクトの大きなサイクルを前回までにご説明したところで、今回は実際の詳しい活動内容についてご紹介していければと思います。特に"学生がやる"という点を深く考えながら書いていきます。

活動内容は二本柱

 実際の活動内容ですが、こちらも多岐にわたっています。その中でも「教育支援」と「経済復興支援」に大別され、毎年活動を行っています。以下は私がリーダーを務めていた年に行った活動です。

【教育支援】
・保育(2015年)
・学童保育(2015、16年)
・サマースクール中学校支援(2015、16年)
・けやき教室(2015、16年)
・防災ディスカッション(2015年)
【経済復興支援】
・漁業支援(2015、16年)
・農業支援(2016年)
・草刈り支援(2015、16年)
・PR動画作製(2015、16年)
・お祭り支援(2015、16年)

 このように多くの活動を企画し、行ってきました。それでは個々の活動について、次の項目で紹介していきます。

毎日夜にはミーティングを行い、その日の活動を振り返ります

学生が活動をするということ

 上記のようにプロジェクト内で多くの活動を行っていく中で、しっかりとそれぞれの活動についての意義や目的を持っていなければいけません。そんな中で「学生の立場でやる意義」や「学生らしさ」といった視点はメンバー間の会話やミーティングでもよく飛び交い、強く意識していた点でした。そこも交えながらご紹介していきます。

◆保育、学童保育

 震災の発生を機に、例えば家庭環境が変化したり(家計の圧迫により両親共働きになるなど)、または言葉には出さなくても、子どもたちは大きな不安やストレスを感じていることもしばしばです。そんなときに限られた期間であれ、私たち大学生のような普段接することのない人間が近くにいることで、子どもたちが笑顔になってくれたり、普段とは違う時間や体験を提供することができます。

 また、近年待機児童の問題が強く叫ばれていますが、実際に現場を見てみると先生方の人手不足や負担の大きさを感じる局面もあります。国や行政が行うような社会課題の根本的な解決は難しいですが、私たちがボランティアに入ることで先生方の負担軽減や、普段子どもたちの対応に追われて後回しにしていた事務作業の時間を確保していただくといった狙いもあります。

 そのような活動をしていると、こんな感動的な出来事もありました。塩竈市内の学童保育にお子さんを預けている保護者の方から大学へ、一通のメールが届きました。内容は「子どものケアを通し、私たち保護者のケアをしてもらったようなものです」というものでした。その方は震災で身内の方を亡くされたり、ご実家が津波で跡形もなくなってしまったり。仕事も忙しくなっていた中で子どもに辛い思いをさせ、学童保育にも預けるか迷っていたそうです。それでもお子さんが、その後テレビで青山学院大学が取り上げられているのを目にし、そのお母さんに学童保育で大学生と接し楽しかった思い出をお話ししたそうです。「どんな状況でも、子供が笑ってくれたら親は幸せです」というご連絡をいただき、私たちの活動は目の前の子どもたちだけでなく、保護者の方々や地域にまで広がっていくのだなと強く感動し、活動が報われた思いでした。その子は「僕、青山学院大学に入る!」とご両親に宣言したそうです。頑張ってほしいと思います!!

中学生の学習支援をしている様子

◆サマースクール中学校支援

 元々学力が全国的に見ても低い水準にある宮城県の中で、震災が起こり、学習環境の悪化や経済的な面で学習塾に通えなくなるなどの問題が出てきました。そこで夏休み中の自主学習期間(サマースクール)を利用し、子どもたちの学習支援を行うのがこの活動です。こちらも生徒と年が近い私たちだからこそ親近感を持って分からない部分を質問できたり、大学生がサポートに入ることで新たな刺激を与えることもできます。また、午後からは部活動にも一緒に参加し、距離を縮めていきます。

 特に塩竈市には大学がないので、大学生とはどんな存在なのかを近くで感じてもらうことで、その後の学習意欲やモチベーションにも繋がっていくと考えています。

◆けやき教室

 けやき教室とは、様々な理由で学校に通えなくなってしまった子どもたちが集まる教室です。例えば人とコミュニケーションを取るのが苦手だったり、自分をさらけ出すのが得意ではなかったり。そんな子どもたちに対し、普段から指導員の先生方が一緒に過ごし、学習面や生活面のサポートをしています。

 ただやはり子どもたちも年齢的には思春期であったり、反抗期の子も中にはいます。日常空間に飽きを感じてしまったりしている子どもたちに対して、私たち大学生が入ることで非日常を体験してもらいたいという思いがあります。そのため、毎年先生方と相談しながら独自のイベントを企画したりもしています。そういった取り組みを通して、子どもたちの社会復帰を後押ししていこうという活動です。

 宮城県は全国的に見ても不登校の子の割合が高く、その中でも塩竈市の数字の高さは顕著です。この状況に対し、市も課題感を持って動いており、昨年には新たな受け入れ施設も完成しています。こういった市の課題に対し、教育委員会の方々等とも協力しながら少しでも解決に力を尽くせたらと考えています。

◆防災ディスカッション

 この活動は特にオリジナリティー溢れるものとなりました。2015年のプロジェクト実施に向けた2月の教育委員会との打ち合わせで、市内の生徒会組織と一緒に何かできないかという話になり、「もう一度同じ震災が起きたら自分たちに何ができるか」というテーマで大学生をファシリテーターにおき、ディスカッションをしました。活動当日はやはり生徒会メンバーということもあり、積極的に意見が飛び交い、円滑に進んだことを覚えています。最終的には一枚の模造紙にまとめ、各校で発表後、持ち帰ってもらいました。この活動は後に市の広報誌にも取り上げられ、大変好評なものとなりました。

浦戸諸島野々島にて

◆漁業、農業、草刈り支援

 続いて経済復興支援です。塩竈市には私たちが宿泊拠点としている離島地域である浦戸諸島があり、日本三景松島湾に浮かんでおり大変風光明媚な場所です。(一度是非足を運んでいただきたいです!)この地域では第一次産業も盛んで、野々島や桂島といった地域では漁業が行われておりますが、漁師さん方の高齢化や人手不足が進んでいる現状があります。そこに対しサポートに入ることで、負担軽減を目的とし活動を行っています。

 また寒風沢島という地域では寒風沢米の栽培が行われているのですが、ここも大きな田んぼの面積に対し、普段から手入れをしているNPOの方はわずか3名という状況がありました。最終的に「寒風沢」という日本酒になり、今年も出荷できたというお話をいただいた際にはとても嬉しい気持ちになりました。また、草刈り支援という活動もあります。こちらは先述したような美しい景観を保護し、同時に島民の皆さんの生活環境の維持を図るために行っています。いずれの活動も若い大学生の力を活かすことで、マンパワーの面で貢献することができているのではないかと思います。

◆PR動画作製

 震災の影響は観光面にも及びます。風評被害で減少してしまった観光客を呼び戻そうと、大学生の視点から行っているのがこの活動です。具体的には塩竈市の様々な魅力に焦点を充て、第三者の目線からインタビュー・撮影を行い、編集を経た上で1本の動画として作製します。実際には仲卸市場や市内の寿司店(塩竈市は1平方キロメートルあたりの寿司屋の数が日本一です!)、浦戸諸島の自然などを取り上げました。完成したものは市に納品し、駅前の観光案内所で流してもらっている他、SNSで発信したり学内イベントで放映することでアピールを続けていきます。こちらの活動も毎年新聞やテレビに取り上げられるなど、大きな注目をいただいているものとなっています。

◆お祭り支援

 最後にお祭り支援です。浦戸諸島の野々島と桂島で行われる夏祭りの準備や当日の参加、後片付けをお手伝いしています。離島という地域特性上、お祭りの持つ意味はとても大きいと感じていますし、若い力で盛り上げていきたいという思いがあります。私たちも毎年お手伝いさせていただく中で、島の皆さんの温かさを感じています。

僕も農業支援の活動に顔を出しに行きました!(大学2年)

そして各活動を越えた意義

 このように塩竈市内数多くの場所で、様々な活動を継続させていただいています。教育という継続しなければ成果を実感しづらいものもあれば、作業的なお手伝いでその場の変化を実感しやすいものまでありますが、共通しているのは活動の部分以外にも私たち大学生が東京から行くことでとても喜んでもらえるということです。ハード面の復興が進み、目に見える変化が得づらくなりつつある今、私たちが毎年忘れずに足を運ぶことこそがソフト面での支援になっていると言えるかもしれません。

 もしかすると私たちの活動は「学生にしかできない」ことばかりではないかもしれませんが、「学生だからこそできる」ことをやり続けられているのではないかと思っています。