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学生の視点は企業に新鮮 製品開発で課題解決力養おう

学生のための実践マーケティング(1)

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NIKKEI STYLE

同志社大学 商学部でマーケティングを担当している高橋広行と申します。この連載では、企業と協力し新製品開発などの企画提案を実施している私のゼミナール活動を中心に紹介します。企業が抱える課題やその解決策を考えぬくことで、実践的なマーケティング思考が身につけば、キャリア形成だけなく、企業に入ってからもスムーズな成長が期待できると考えています。

マーケティングとは、簡単に言えば、「モノが売れる仕組みを作る」ことです。私のゼミでは、特に消費者がブランドをどのように認知し、理解しているかを把握したうえで、ブランドやサービスのマーケティング戦略を考えることを目的にしています。

具体的な活動内容は、常に企業の方々とコラボレーション(産学連携)しています。企業の方から実務の現場やブランドが直面している課題を共有していただいて、ゼミ全体でその課題の解決案を企画提案しています。現場の課題とはいえ、今日、明日で解決すべき緊急を要する喫緊(きっきん)の課題ではなく、学生が一緒になって考えさせていただける中長期的な課題を共有していただくようにしています。少なくとも、3ヵ月ほどの期間をいただいています。より良い提案のためには、できるだけ現場に行かせてもらい、実際の仕事を見て、肌で感じることが大事だと考えています。

課題を自分ごととして考えぬく

この活動の様子からわかるように、私のゼミが目指しているのは、「実学」としてのマーケティングともいえます。実学というと「現場で役立つ学問」と思われがちですが、それだけではありません。現場で役立つだけであれば、医学でも、化学でもなんでも役立ちます。しかし、実学のもう一つの点は、相手の立場に立ち、自分ごとのように課題をとらえ、解決策を考えぬくことだと思います。

このように、当ゼミでは、実務の現場の方が直面している課題や困っていること、悩んでいることを「当事者に成りかわって、本気で解決していくこと」を大切にしています。普段から様々な企業の方々にゼミに来てもらい、現場の話を聞かせてもらう機会や実務の方とディスカッションさせていただく機会を大事にしています。私(教員)の役割は、実務の現場の方々の生の声を聴ける機会を作ることで、その議論の中から、学生が関われそうなテーマ(課題)を見つけることです。

例えば、大手アルコール飲料メーカーが抱えている課題は何だと思いますか?それは「若者のビール離れ」です。彼らは、どうすれば、若い世代、とくに若い女性がビールを飲みたくなるのかを常に考えています。そこで、実際の消費者行動を考えたときに、同世代の学生のアイデアや視点が役に立つわけです。しかも、学生たちからは、新鮮な(スレていない)意見が色々と出てきます。企業の社員たちは、ブランドのことや飲料のことを四六時中考えているので、ある意味、感覚がスレている。ところが、消費者がそのブランドについて考えるのは、店頭でのほんの10秒か、20秒程度にすぎないかもしれません。そこに消費者とのギャップがあると考えています。そのギャップがあるから、企業の方は消費者に何をアピールすれば響くのか、わからなくなってしまうのです。そうした場面で、学生からの新鮮な視点やアイデアが得られるという点は、企業側においても価値があり、学生にも自らの意見が現場に役立つという喜びにつながります。そういうコラボレーションこそ、意味があるのです。

実務家の視点を学ぶことが就活に役立つ

企業の方とのコラボレーションは、学生にとっても嬉しいことです。なぜなら、実務の最前線で働く方々と触れ合い、意見を聞かせてもらえることで、より積極的に企業の活動に関わっていくことができる。そうすると、学生でありながらも、実務家の(ビジネスの)視点を学ぶことができるのです。こういった経験は、就職活動においてもかなり役立つことでしょう。実際に私のゼミの様子を企業の人事の方々に見ていただくと、多くの人事担当者の方は興味を示してくださいます。

逆に、企業の方々にメリットを感じてもらうためには、中途半端な企画提案は失礼になります。担当者の方には、業務の時間を割いて頂き、お付き合いをしてもらうわけですから、関わっていただくことで新しい知見があったり、提案した内容に市場性や実現可能性を感じてもらえるだけの成果を出さなければなりません。もちろん、我々ゼミ側もかなりプレッシャーを感じることもあります。そのため、学生にも、ある程度の苦労を伴うことを前提に取り組んでもらわなければいけません。

それでは、実際にどのようにゼミを運営しているかお話しましょう。普段のゼミ活動は、2コマを使って活動しています。1コマは学生が自分で選んで読んできたマーケティングや消費者行動、ブランドに関する本の中身について発表し、テーマを決めてディスカッションしています。もう1コマは、企画提案の準備・作業の時間にしています。いただいた課題に対して常に「なぜ?」「なぜ?」を繰り返し、考えぬいてもらいます。課題について考えぬいた深さが、コンセプトの深さにつながります。

先ほどの若者のビール離れという課題に対して、考えられる理由は何十通りもあるでしょう。例えば、ビールを飲まない理由として、「ビールそのものの味に慣れていない」「ビールを飲む機会が減った」「カクテルやチューハイといった商品が増えた」など、ディスカッションを通じて、様々な学生の意見が出てきます。考えぬいたビール離れの理由をグループで整理したり、似た理由をまとめたりしながら、考えられうる「仮説」(仮の答え:おそらくこういった理由が原因である、それを解明すれば、課題解決になるだろう。あるいは、こういった企画案が世の中で受容されれば、解決課題につながるだろうという案)を作っていきます。その仮説に沿って確認していく視点を企画提案に組み込んでいきます。企画提案に入れるべき要素は、5W2H(Who,What,Why,When,Where,How,How much)が基本です。商品企画なら、提案の骨子をしっかり作り、より具体的な内容を盛り込んでもらうのが前提です。

私のゼミでは、ゼミ外で準備してきてもらい、ゼミでは積極的なプレゼンテーションとディスカッションの時間が主な活動内容になります。発表を繰り返すことでプレゼンテーション能力を養い、他の学生がコメントすることで、ディスカッション能力も磨いていきます。

「データを使い、より深みのある提案に」

なぜこんなことを繰り返すと思いますか?

理系の学生は具体的で専門的な分野における知識と技術(スキル)が身につきます。文系の学生が大学で習得すべき能力は何だと思いますか?それは、現場の課題に対して考え抜く力、その企画を組み立てる力、立てた企画を伝える力、そして、取引相手なり上司、チームを動かし、ひいては会社を動かしていく力です。

先ほどのビール離れを防ぐ企画提案の機会を下さったのはサントリー酒類の方ですが、その提案を行った学生からは、「自分たちで集めたデータを効率的に使うこと、そして、データを使って説得力のある企画提案は本当に難しく、かなり悩みました。けれども、この企画を通じて、企画全体を客観的にみる力はついたと思っています!」(中畔由貴)というコメントがありました。

「詰めの甘さを実感」

さらに、提案させていただいた企業様からのコメントや指摘を頂き、学生にとっても様々な「気づき」があったようです。

「サントリー酒類様に確実に利益が還元されるような提案をすべきだったことに気づかされました。また、人口の減少により日本のマーケットが縮小しているという現状や、生涯顧客価値を高めることの大切さも再認識しました。」(今城早貴)

「自分達の提案がまだまだ表面的なものであり、本質をつけてないということを気づかされた点、提案内容で不足している点を具体的にフィードバックしていただけたことで、今後の課題を明確に認識できたという点で成長できたと思います。」(西尾尚倫)

「現状の課題を分析することの難しさ、またアイデアやひらめきだけでは不十分であることに気づきました。」(土谷葵)

「自らの考えの詰めの甘さを実感しました。一般的なビールの活性化ではなく、なぜサントリー酒類様のビールでなければならないのか、という根本的な目的を押さえた上での提案ができていなかったことに気づかされました。」(樽真央)

今後、企業の方からお題をいただく場合、「学生目線は維持しつつもその企業の売上につなげることまで考慮する」「企業の方が、どのような思いで、どのような背景があるのかという点をしっかりと考えられるようになった」などの点で成長できたようです。

実際、こういった能力を身につけた学生は、就職活動においてもその能力を発揮し、自分の志望する企業から内定をいただいています。さらに、就職した後も自らの能力を磨き続けることで、企業内で重要な仕事を担当している卒業生もいます。

高橋広行 研究室ホームページ

http:// takahashi.sweet.coocan.jp /

高橋広行(たかはし・ひろゆき)
 同志社大学商学部准教授。博士(商学),専門社会調査士/1級販売士。専門はマーケティング(特に消費者行動論・ブランド論)。『カテゴリーの役割と構造 -ブランドとライフスタイルをつなぐもの-』(関西学院大学出版会,2011年,日本商業学会賞・日本広告学会賞),『ケースで学ぶケーススタディ』(同文舘出版,共著,2015年)など。実務経験があり,マーケティングが専門であることから,現場感覚を大切にしながら,研究面でも教育面でも現場に役立つ学問「実学」を目指す。趣味は,映画とスイーツとカフェ巡り。

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