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大学生観光まちづくりコンテスト2017北陸ステージ~伝統と食、人々が魅力に

大学生観光まちづくりコンテスト2017 北陸ステージ~伝統と食、人々が魅力に
壇上に並ぶ各チームのリーダーたち

 大学生が考えた地域観光振興のアイデアを競う「大学生観光まちづくりコンテスト」(観光庁、文部科学省など後援)。2017年は全国4会場で開催され、最も早い9月5日に開催された「北陸ステージ」の様子を紹介します。

会場外で練習をするチームも(金沢大学・金沢工業大学の「KITこうせなAcanthus」)

12チームが本選でプレゼン

 能楽の「鼓」をイメージして作られた「鼓門」が来訪者を迎える金沢駅。その目の前にある金沢ポルテ金沢市アートホールで北陸ステージ本選が開催されました。北陸ステージのエントリー数は54チームで、この中から書類による予備審査を通過した12チームが本選に臨みました。

 各チームは対象地域である北陸3県(富山・石川・福井)の2県以上の2市町村を対象に、「文化振興を促す観光まちづくりプラン」と「若者を呼び込む観光まちづくりプラン」のどちらかのテーマを選び、自分たちのプランを発表。学生たちは何度も北陸の地に足を運び、アイデアを練り上げ、この日を迎えています。当日は朝から会場付近でプレゼンの練習をする姿も見られ、コンテストにかける学生たちの意気込みが十分に感じられました。

 来賓あいさつ、審査員紹介、コンテストの概要説明の後、各チームのリーダーが壇上に上がり、それぞれが本大会にかける思いを語ります。最後に参加者全員で、掛け声と共に拳を突き上げ、成果発表スタートです。

地域の人々との触れ合いから世界遺産まで幅広く

福井工業大学の「三寺ゼミ with a」

 トップバッターは福井工業大学の「三寺ゼミ with a」。タイトルにある「"態々(わざわざ)"を読める人いますか? (読めていない表情を見て)表情を見る限り、皆さん読めていますね(笑)」と、会場の雰囲気を和ませました。富山と福井に走るトラムを移動手段に使った観光ルートをアプリで紹介するアイデアを発表しました。

 カメラを片手に登壇したのは山梨英和大学の「ブランディング研究会」です。「フィールドワークで撮影した写真の枚数は4000枚。記念すべき4001枚目です!」と壇上からパシャ。世界遺産の富山県五箇山の相倉(あいのくら)・菅沼(すがぬま)集落の相倉合掌造り、世界農業遺産の能登の里山里海、2年後に無形文化遺産に登録を目指す福井県・越前和紙をネットワーク化し、海外の富裕層をターゲットにした体験型旅行を提案しました。

 ピンクのTシャツにたすきをかけた女子5人組の獨協大学「チーム関東女子」は、関東の女子大生を対象に、石川県志賀町と福井市越前海岸地区の人々との交流観光を考えました。自分たちが地域の人々とのふれあいで得た感動体験を交えながら、プランの実現可能性を訴えました。

山梨英和大学「ブランディング研究会」

獨協大学「チーム関東女子」

千葉商科大学「Bチーム」

 千葉商科大学「Bチーム」は、観光によって「空き家問題」「人口減少」「後継者不足」など5つの社会的課題の解決を目指すことにしました。その解決策として、都市部の若者に人の触れ合い、就業、観光を体験してもらう観光プランを提示。これによって移住者が増え、課題解決につながると考えたのです。

 観光客が少なくなる冬場の誘致策を考えたのは武蔵大学の「ときめき目時」です。冬に利用されない公園に圧雪ブロックを積み上げて作る半球状の家屋「イグルー」に宿泊する体験型旅行案を披露。色とりどりのブロックで作られたイグルーは「インスタ映え間違いなし!」とアピールしました。

 「コケ=北陸」を世界に浸透させたいという想いを伝えたのは福井県立大学「コケの仲間」。外国人観光客に苔の魅力を訴えるプランを紹介しました。苔寺として有名な福井県勝山市の平泉寺や、苔の里として知られる石川県小松市の日用町などを巡るプランを考えたのです。

武蔵大学「ときめき目時」

福井県立大学「コケの仲間」



中京大学「伊藤ゼミ」

 金沢大学と金沢工業大学の「KITこうせなAcanthus」は、雨が多く水に恵まれている北陸の風土に着目し、地域を流れる川の流域に残る伝統工芸をテーマに、若者を呼び込むプランを考えました。輪島塗や越前和紙の体験型観光を通して地域の良さや伝統工芸の魅力を理解してもらい、移住者を呼び込むという内容です。

 「カニだけ福井」の脱出を訴えたのは中京大学「伊藤ゼミ」。福井には越前ガニだけではない豊富な食材があることに目をつけ、食文化を観光客誘引の切り札と考えたのです。中京圏の富裕層をターゲットに、まずは名古屋に福井料理のアンテナレストランの出店、来店客を福井に誘い出す計画を立てました。

 「本日は北陸新幹線をご利用いただきありがとうございます」と始めたのは、上智大学、千葉大学、法政大学、立正大学の学生4人が集まった「北陸新幹線attendants」。全員が北陸新幹線で車内販売のアルバイトをしているという。北陸3県の幸福度の高さを首都圏の大学生にアピールする就業体験、生活体験を実施し、就職者を増やすことを提案しました。

 北陸先端科学技術大学院大学の「謎の国立機関JAIST」は、福井市と能美市でのフィールドワークで見つけた地域課題を解決するバスツアーを企画。福井市のシカやイノシシによる獣害被害、石川県能美市のユズ農家の後継者不足を解決するために、イノシシとユズを使った丼をツアーの目玉にする提案をしました。

上智大学、千葉大学、法政大学、立正大学「北陸新幹線attendants」

北陸先端科学技術大学院大学の「謎の国立機関JAIST」

 観光でありながら生産者と消費者の両方を体験できるプランを紹介したのは首都大学東京の「8代目ツーリス」です。職人と一緒に工芸品を作り、その工芸品を販売したり、消費したりするという体験プランです。これをきっかけに若者が北陸での就職や移住を考えるようになるというアイデアでした。

 ラストは浴衣姿で登壇した女子3人組、東京国際大学「チーム熊熊」。結婚式の前に自分たちで自由に撮影する"セルフ前撮り"を北陸ですることを提案しました。バラの生産で知られる富山県小矢部市では恋人の聖地「クロスランドタワー」やメルヘン建築など、金沢市では日本らしさが伝わる東茶屋と兼六園といった前撮りスポットを紹介してくれました。



首都大学東京の「8代目ツーリス」



東京国際大学「チーム熊熊」

山梨英和大学「ブランディング研究会」が観光庁長官賞

「ポスターセッション優秀賞」を受賞した跡見学園女子大学「村上ゼミTEAM北陸」

 全12チーム発表後は、惜しくも本選に出場できなかったチームによるポスターセッションです。16チームが発表7分、質疑応答3分の計10分を使い、本選参加チームにも負けない発表をしました。

 この日のプログラムも最後の表彰式を残すだけ。国土交通省北陸信越運輸局や北陸各県の観光団体、日本政策投資銀行などからの審査員による審査の結果、「観光庁長官賞」には、山梨英和大学の「ブランディング研究会」が選ばれました。同チームは他に、とやま観光推進機構賞、北陸広域観光推進協議会賞、JTBクリエイティブ賞も受賞し、4冠となりました。

 山梨英和大学「ブランディング研究会」のメンバーからは「4年生最後のまちづくりコンテストで観光庁長官賞をもらえて嬉しい」「フィールドワークでずっと車を運転していて1000km以上は走ったと思う。本当に良かった」「大学生最後の思い出として一生忘れません」といった喜びの声と、嬉し涙がありました。

 北陸ステージの本選出場チームと審査結果は以下の通りです。他の地域のコンテスト本選の様子も順次、日経カレッジカフェで紹介します。

・金沢大学、金沢工業大学/KITこうせなAcanthus「川の恵に誘われて」(石川県観光連盟賞)
・首都大学東京/8代目ツーリス「北陸クラフティングツアー~つくる×つかう=つーりずむ~」
・上智大学、千葉大学、法政大学、立正大学/北陸新幹線attendants「しあわせきっぷ」(アソビュー賞)
・千葉商科大学/Bチーム「北陸 住まいる」
・中京大学/伊藤ゼミ「地味だがスゴイ!食文化がぁる:育てるブーメランプロジェクト『隠れ家ふくい』」
・東京国際大学/チーム熊熊「2人らしさを撮りに行こう~新たな人生のスタートに~」
・獨協大学/チーム関東女子「まちこい 私たちの第二の故郷はあなたの誇れるまち」(北陸経済連合会賞、パフォーマンス賞)
・福井県立大学/コケの仲間「日本の心、コケの世界」(福井県観光連盟賞)
・福井工業大学/三寺ゼミ with a「態々~移動も目的とした北陸の旅~」
・北陸先端科学技術大学院大学/謎の国立機関JAIST「日常文化に触れるときめきプラン―11月の七夕 いのししがゆずに恋をした―」
・武蔵大学/ときめき目時「おいでよイグルーの街」(北陸イメージアップ推進会議賞)
・山梨英和大学/ブランディング研究会「観光が育む北陸の文化と自然 世界遺産がつなぐ人的ネットワーク」(観光庁長官賞、とやま観光推進機構賞、北陸広域観光推進協議会賞、JTBクリエイティブ賞)