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チェック!今週の日経(27)EVシフト加速 自動車の未来は?

authored by 日経カレッジカフェ 
チェック!今週の日経(27) EVシフト加速 自動車の未来は?
航続距離を400キロにまで伸ばした日産自動車の新型「リーフ」

 日経の研修・解説委員や日経カレッジカフェの編集スタッフが、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」。先週はiPhoneXの発表や北朝鮮のミサイル発射など、大きなニュースが目白押しでした。そんな中、自動車メーカーの中長期の戦略をめぐって様々なニュースがありました。今回はこれを取り上げてみましょう。

ルノー・日産連合がEV加速

紙面
9月16日朝刊

 9月16日の朝刊1面に次のようなニュースが掲載されました。

クルマ 異次元競争突入 ルノー・日産、22年に完全自動運転/販売の3割 電動車に(9月16日)

 ルノー・日産連合の今後6年間の中期経営計画を報じた記事です。見出しにあるように柱は2つ。22年に完全自動運転を実現するとともに、販売の3割を電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)など電動車にするというものです。完全自動運転の実施時期を明記するなど、かなり大胆な経営計画に見えますが、パリで記者会見したカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)の発言からは、その本気度とやり抜く確信が率直に伝わってきます。「自動車産業を大転換させる革命が近づきつつある」「カーメーカーに選択の余地はない。やらざるを得ない」。高い技術が必要とされた内燃機関を軸に据えたビジネスモデルが根底から覆り、自動車産業最大の変化がこれからの6年で起きることを正面から受け止めた経営計画といえます。

 この記事を受けて総合面では、自動車の基幹技術の大転換を「CASE」というキーワードを使って解説しています。

クルマ、異業種と融合 つながる車や自動運転 基幹技術を大転換(9月16日)

パリで記者会見したカルロス・ゴーン氏
パリで記者会見したカルロス・ゴーン氏

 CASEは新たな基幹技術を表す4つの言葉の頭文字をつなげた造語で、Cは「つながる車(コネクティッド)」、Aは「自動運転(オートノマス)」、Sは「シェアリング」、Eは「電動化(エレクトリック)」を表しています。それぞれに異業種の有力企業が台頭してきており、そうした異業種と手を組むことでビジネスモデルを組み替えることが、これからの自動車市場をリードしていくカギになるとしています。既存の自動車大手がそのままでは生き残れなくなる変化が起こる。これはもはや共通認識といっていいでしょう。
ルノー・日産連合以外の動きもこの日の2日前の朝刊1面トップの記事が伝えています。

VWもEVシフト

VW 25年にEV300万台 全体の4分の1、中国は150万台(9月14日)

VWコンセプトカー
フランクフルト・モーターショーでVWが公開したEV専用ブランド「I.D.」の試作車

 独フォルクスワーゲン(VW)のマティアス・ミュラー社長への単独インタビューを掲載した記事で、全体の4分の1をEVにするという、これまた大胆なEVシフトです。全体の3割を電動車化するルノー・日産連合と規模感もほぼ同等。ということは、世界の自動車ビッグ4のうち2つの市場見通しがほぼ一致しているわけです。

 この前提になるのが各国政府によるガソリン車規制の動きです。VW社長のインタビューが掲載された2日前には世界最大の自動車市場、中国での規制の動きが報じられました。

中国、ガソリン車禁止へ 英仏に追随、時期検討 最大市場、EVシフト(9月12日)

 中国政府がガソリン車などの製造・販売禁止の導入時期を検討する作業に入ったことを伝えるニュースです。欧州市場の有力国、英国とフランスは7月に相次いで2040年までに内燃機関搭載車の製造・販売を禁止することを表明しました。最大市場の中国がこれに加わったことで脱ガソリン車の流れは押しとどめようがない状況です。ルノー・日産連合の中期経営計画のような速度で本当に進むのでしょうか。

日本は出遅れ組?

 19日朝刊の「EVシフト 日本の選択」では、3人の識者に見通しを聞いています。これによれば、昨今の動きや報道の過熱は「騒ぎすぎ」といいます。「EVへ移行するといわれている地域でも(エンジンを併用し充電もできる)PHVなどは除外していない」とは、本田技術研究所所長の松本宜之氏の着眼点です。

 英仏が禁止時期としている2040年までに「車は4回程度の全面改良を経る」とコンサルティングファーム、ローランド・ベルガーの長島聡氏は言います。早大名誉教授の大聖泰弘氏も移行期間は意外に長いと指摘、その要因として「環境対応と両立するエネルギー源の確保」などを挙げます。「50キロワットの急速充電器を使って1度に2万台を充電するには、原子力発電所1基分の発電設備が必要だ」。これを火力発電で賄っては二酸化炭素(CO2)排出量は減らせません。課題解決には自動車そのものの基幹技術だけではなく、そこを取り巻く広範な技術の進歩と具現化が必要なのです。

 それでも脱内燃機関へ向かう動きは進むでしょう。EVなのか、PHVなのか、燃料電池車(FCV)なのか。そのすべてが共存していくのか。新興国市場ではどうなるのか。大きな変化の時代のおもしろさは、自動車メーカーだけでなく、部品メーカー、電機、IT業界、さらにサービス産業や規制当局まで巻き込んでいくことは間違いなそうです。

(企画委員 水柿武志)

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