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謝罪会見から自己PRのリスクを考える

ホンネの就活ツッコミ論(29)

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今回のテーマは「自己PRのリスク」です。自己分析を前提とした自己PRは重要なもの、と就活市場で定着しています。私も最重要とまでは言いませんが、ある程度の有効性を否定するものではありません。しかし、この自己PR、使い方によっては大きなリスクが伴うことを学生は理解していません。その好例が有名人の謝罪会見です。今回は最近起きた事件を題材に、自己PRのリスクについて考えていきます。

豊田真由子議員の謝罪会見と短所ネタの書き方

秘書への暴言・暴行で政治ニュースだけでなくワイドショーでも一躍有名となったのが、豊田真由子議員です。サバンナ・高橋茂雄は「芸人的観点から見れば『エンタの神様』即戦力」と評するほど、お笑い芸人のネタにもなってしまいました。

この豊田真由子議員が9月19日、騒動が起きた6月以来、3カ月ぶりに表に出て謝罪会見を開いたのです。謝罪会見と称してはいましたが、実際にはほぼ謝罪になっていませんでした。タイミングが遅すぎる、ということもありますが、会見内容に絞っても自己PRが多すぎたのです。謝罪会見というわりに自己PRが多すぎると、聞き手の大半は自己弁護としか、思えません。

例えば、豊田議員は騒動の背景として「永田町の格差社会の底辺で、厚労省プロジェクトアクションだったら行けたことを一般の社会に当てはめたのがダメだった」「あれほど少ない人数で、あれほど多くのことをしようとした自分」などと話しています。これをまとめると、「厚生労働省だったらできたことでも、秘書は能力が低かったからできなかった」「少ない人数でも私は頑張った」との自己PRと、とらえることができます。どう考えても、豊田議員の秘書への暴言・暴行は異常ですし、それについて真摯に謝罪するべきでした。

さて、この豊田議員の会見から、学生のエントリーシートの例を2つご覧ください。お題は「あなたの短所」です。

学生例1:私の短所は感情的になりやすいところです。以前、いい加減な仕事をしたくない、との思いからアルバイトの仲間にきつい言い方をしてしまいました。思いを伝えるにしても言い方があった、と反省しています。(95字)

学生例2:私の短所は感情的になりやすいところです。以前、アルバイトの仲間にきつい言い方をしてしまったことがあります。ただ、仕事をきちんと進めない仲間にも非があるので私が間違えているとは思っていません。(95字)

例1も例2も感情的になりやすいことを短所に挙げています。大きく異なるのは例1では「言い方があった」と自分の非を認めて終わらせています。つまり、自己PRが入っていません。その点、例2は「仲間に非がある」と断じています。自分は悪くない、との自己PRでしょう。この一文があるため、例2の学生は短所を認めていない、潔さがない、との印象を持ってしまいます。例2の学生は豊田議員のように、自分の非を認められない、と誤解され大きなマイナス評価を受けるのではないでしょうか。

完全無欠な人間などいない

短所ネタのエントリーシートを添削すると、学生からこんな質問を受けました。「だったら、短所を書いた後、その改善ポイントもまとめたらどうですか?」。先ほどの例だと、こんな書き方でしょうか。

例3:私の短所は感情的になりやすいところです。以前、アルバイトの仲間にきつい言い方をしてしまったことがありました。伝え方に問題があるので以降は穏やかに話すように工夫をしています。(86字)

一見すると、良さそうです。が、この書き方、何がまずいか、と言えばお題に答えていません。お題はあくまでも「あなたの短所」です。「あなたの今までの短所と、それをどう改善したのかをまとめなさい」であれば、この例3は良いまとめ方と言えます。

しかし、「あなたの短所」というお題ではどうでしょうか。感情的になりやすく伝え方に問題があるので、穏やかに話すようにした、これはもう短所ではなく、長所です。別の学生からは、「短所ネタで自分の短所だけで終わらせると、マイナスに見られそうで怖いです」との感想が出ました。

その気持ちはわかりますが、短所を短所として認めず、自分の美点だけを書くとどうなるでしょうか。エントリーシートの上では完全無欠な学生となります。完全無欠さをアピールしたところで、多くの採用担当者は嘘くさいと感じるか、一緒に働きたくないと感じるか、どちらにしてもマイナス評価となることでしょう。

人間であれば、社会人だろうが学生だろうが、誰もが長所があり、短所があるものです。克服できる短所もあればそうでない短所もあるでしょう。そうした短所を学生自身が把握できているかどうか、知りたいからこそ、あえてエントリーシートの設問に「あなたの短所」を盛り込む企業があるのです。

プライドの高さと自分の非を認めることは両立可能

短所や自分の非を認める、ということを難しく感じる学生もいるでしょう。大丈夫、社会人にもそうした方はいます。心なしか、プライドが高い方に多いですね。ただし、本来はプライドの高さと自分の非を認めることは両立が可能です。いや、仕事や自分自身にプライドを高く持っていればこそ、問題点があれば潔く自分の非を認めるはずです。それができないと、小さな問題でも、大きな騒動となってしまうことがよくあります。

その典型が舛添要一・前都知事でしょう。2016年、海外出張での過剰な支出(ファーストクラス使用)や公用車私用疑惑、正月の家族旅行流用疑惑など問題が次々と噴出。結果として辞任に追い込まれてしまいました。詳細は省略しますが、いずれの問題も他の自治体、他の地方議員・首長の中には同じような疑惑を抱えている方がいます。舛添前知事からすれば、「他がさんざんやっているのに何で俺だけ責められるのか」との心境だったのでしょう。

定例の記者会見では終始、強気な姿勢を崩しませんでした。確か、中国服の私的流用については、「書を書くとき、その方が落ち着くので」と弁解していました。いずれの疑惑も、本来なら、そこまで大きな話ではありません。知事の振る舞いとしては不適当ながら、汚職というほどでもなく、あまりにもせこい話でした。

ただ、記者会見などで指摘されたとき、その非を認めて、早いうちに謝罪していれば辞任まで追い込まれなかったはずです。それを強気で対応、つまり自己PR含みで弁護に終始したため、騒動が拡大。辞任に追い込まれてしまいました。

面接でも非を認められるかどうか

非を認めるかどうか、自己PRを混ぜないのか混ぜてしまうのか、それはエントリーシートだけではありません。面接でも同じです。面接で、学生の考え方の甘さや間違いなどを指摘する面接担当者がいます。特に中盤から終盤にかけては個人面接などが増えて、学生一人当たりにかける時間が増えてきます。しかも、面接担当者は部長クラス・役員クラスと上がっていき、社会経験も豊富。どうしても、学生のアラが見えてしまいます。

ここで、素直な学生であれば「私の不勉強でした」などと言って、その指摘を受け入れて引き下がります。ところが、自己PR、もとい、自己弁護が好きな学生だと、討論に持ち込んでしまいます。

「いや、私の研究ではそんなことはありません。たとえば~」

「ご指摘いただいた点もあるのですが、でも~」

こうなると、もう面接どころではありません。この「討論」に勝ったところで、残るのは選考不合格の通知のみです。自己PRを混ぜずに引き下がればよかったのですが、こうした事例も自己PRのリスクと言えるでしょう。

自己PRは現代の就活にとって必要なものです。ただし、使い方を間違えれば学生の人間性が大きく誤解される、劇薬と化してしまうことは指摘しておきたいと思います。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
 1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。

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