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チェック!今週の日経(28)米トイザラスが破産申請
小売業に広がる「アマゾン恐怖症」

authored by 日経カレッジカフェ 
チェック!今週の日経(28) 米トイザラスが破産申請 小売業に広がる「アマゾン恐怖症」
米トイザラス店舗

 日経の研修・解説委員やカレッジカフェ編集スタッフが、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」。今回は皆さんが子供のころ、おそらく何度も行ったことがある玩具専門店「トイザラス」の米国本社が破産申請を行ったというニュースを取り上げます。日本をはじめ、世界38カ国で店舗展開しているこの有名小売りチェーンの本丸が、なぜ経営破たんに追い込まれたのでしょうか。

ネット通販に押され、4期連続の最終赤字

 日経新聞では9月19日付の夕刊1面で初報が、翌20日付の朝刊企業総合面で解説記事が掲載されました。

米トイザラス破産法申請 日本事業「直接影響ない」(9月19日)
専門店の強み、ネットが侵食 米トイザラス破産申請(9月20日)

9月19日夕刊

 米国のトイザラスは9月18日に日本の民事再生法に相当する連邦破産法11条(いわゆる「チャプターイレブン」)の適用を申請しました。同社は2017年1月期の最終損益が3600万ドルの赤字となり、4期連続の最終赤字。売上高もピーク時より17%少ない115億ドルにまで落ち込んでいました。

 不採算店舗を閉めたり、オンライン分野に積極投資したり、最近ではニューヨークの繁華街タイムズスクエアに期間限定の店舗を設けたりなど、様々な手を打ったようですが、18年に返済期限を迎える4億ドルの負債返済の見込みが立たなかったようです。ちなみに日本国内の店舗については「直接の影響がない」(日本トイザらス)として変わらず営業を続けるとのことなので、ご安心を。

 米トイザラスが破産申請に追い込まれた最大の理由は、アマゾン・ドット・コムをはじめとするインターネット通販にお客を奪われたからです。本来ならば、秋から年末にかけて玩具業界は書き入れ時で、10月のハロウィーンから12月のクリスマスまでの3カ月間で年間売上高の7割を稼ぐといわれています。そんな時期を前に破産申請したのですから、よほど追い込まれていたのでしょう。一説には、玩具以外にトイザラスの売り上げの相当部分を占めていた紙おむつの需要をアマゾンに取られたのが痛かったといわれています。かさばる紙おむつこそ、ネット通販にぴったりの商品ですからね。

アマゾン・エフェクトを恐れる米大手小売りチェーン

 アマゾンに「食われている」大手小売業はトイザラスに限りません。米国ではアマゾンがリアルの競合企業をなぎ倒す様を「アマゾン・エフェクト」と呼んでいるそうですが、そんな業績悪化が見込まれる株式市場での小売り銘柄を集めた「デス・バイ・アマゾン」(アマゾン恐怖銘柄指数)という株価指数まであるようです。

タイムズスクエアの期間限定店舗の店内ではマスコットのジェフリーが歓迎

 そこには百貨店のJCペニーやメーシーズ、スポーツ用品のフットロッカー、生鮮スーパーのクローガーなど有名企業が並び、株価の年初来の下落率が30%から50%という恐ろしい落ち込みぶりを示しています。書籍から始まり、生鮮品から衣料品、玩具、さらにはコンテンツ産業まで扱い分野を広げてきたアマゾンの影響力が分かるでしょう。

 もちろん、日本でも同様の動きが広がっています。例えば日本のトイザラスは1991年に日本に進出し、低価格と大型店舗で売り上げを急速に伸ばしましたが、ここ数年はネット通販に押されて店舗数は横ばい、業績も2017年1月期は減収減益になっています。経済産業省の調査では「生活家電・パソコン」、「書籍、映像・音楽ソフト」などで2~3割がすでにネット経由の購入です。

 リアルの小売りチェーンが売り物にしてきた大規模な店舗、大量仕入れと低コスト運営による低価格販売は、アマゾンのようなネット販売が主流になってきた今では、もはや意味が薄れつつあります。小売業はかつてない転換期を迎えたといえます。
(研修・解説委員 若林宏)

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