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大学生観光まちづくりコンテスト2017多摩川ステージ
川空間とまち空間をマッチさせよう

authored by 日経カレッジカフェ 
大学生観光まちづくりコンテスト2017 多摩川ステージ 川空間とまち空間をマッチさせよう
観光庁長官賞を獲得した桜美林大学「渡辺ゼミ」

 大学生が考えた地域観光振興のアイデアを競う「大学生観光まちづくりコンテスト」(観光庁、文部科学省など後援)。2017年は全国4会場で開催され、全体では92大学、チーム数では過去最高の241チームが参加しました。今回は9月12日に成果発表会が行われた「多摩川ステージ」の模様を報告します。

新設ステージに54チームがエントリー

 「多摩川ステージ」は今年新設されたステージで、対象地域を東京都西部を流れる多摩川沿いの自治体としています。テーマは「かわまちづくりを意識した『観光まちづくりプラン』」。「かわまちづくり」とは河川空間とまち空間を融合させた良好な空間形成を目指す取組みだそうです。都西部に住む住民や川崎市民などには身近な川ですが、地味な印象も否めない多摩川とその流域を素材に、参加チームはどんなまちづくりプランを作り上げたのでしょうか。

 成果発表会の会場になったのは、多摩川からもほど近い川崎市高津区の高津市民会館大ホールです。多摩川ステージのエントリー数は33大学、54チームで、この中から書類による予備審査を通過した11チームが本選に臨みました。川崎市内など地元のチームが目立つ中、山梨県や埼玉県のチームも本選に残りました。

 口火を切ったのは亜細亜大学の「Egret」で、やや緊張した面持ちでプレゼンが始まりました。「川崎ウォーターフロントΔ(デルタ)」と題したプランは、多摩川河口に近い名刹の川崎大師と、川崎市の再開発エリア「キングスカイフロント」、そして多摩川を結んだ三角形のエリアを「イノベーション、伝統文化、自然と癒しの融合」と位置づけ、3ヵ所を連携させたイベントなどで盛り上げるというものです。

 二番手として登場した桜美林大学「渡辺ゼミ」は、留学生を含む元気な女子学生4人組。「川辺で過ごす新しいプレミアムweekend」として、多摩川の中でも流れが緩やかな東急多摩川駅に近い川辺を使い、水上マーケットの開催や映画の野外上映、ハンモックなどを置いたゆったり広場の開設など、意欲的なプランで川辺の活用を訴えました。

亜細亜大学「Egret」

桜美林大学「渡辺ゼミ」


水上マーケットやカラフルイベント開催

明治大学「歌代ゼミteam多摩川」

 続くのは、コンテストの常連チームである明治大学歌代ゼミの「team多摩川」。外国人観光客向けのゲストハウスとして、建物より設置基準がゆるいトレーラーハウスを河川敷に置き、バーやイベント会場も設置するというものです。地元の文化団体などが参加して日本文化の紹介をするなどで、ここを日本人との交流の場とするというコンセプトでした。金髪の外国人観光客に扮した学生が会場を沸かせていました。

 艶(あで)やかな浴衣姿で登壇した成蹊大学「井出ゼミナール」は、多摩川全域をカラフルに彩るイベントを開催する「たまふる」というアイデアを発表しました。上流では光るボールを川に流す「灯篭流し×イルミネーション」、中流は川原の原っぱをフィールドにインク入りカラーボールを投げあうイベント、下流では雑草を刈ってミステリーサークルをつくり、ドローンで上空から撮影する試みなどをそれぞれ実施する計画です。

 前半の最後は、東洋大学「島川ゼミ」が川崎市側の多摩川に親子のための川の駅を作ろうとプランを発表しました。川辺を憩いの場とし、親子がスポーツや音楽、職業体験などを通じて、お互いの関係を深めようという狙いです。市内の川崎駅、武蔵小杉駅、登戸駅に近い3ヵ所の多摩川沿いに駅を設置し、それぞれをつなぐ船も就航させようと、夢は広がります。

成蹊大学「井出ゼミ」

東洋大学「島川ゼミ」


川原の雑草対策にアイデア相次ぐ

 昼食休憩を挟んで、後半戦が始まりました。武蔵大学「山崎ゼミB」は「#TamArtStreet」と題して、多摩川周辺に多い芸術系大学の学生同士が連携したアートイベントを開催するアイデアをプレゼンしました。作品を制作しても発表の場が少ない芸術系の学生に発表の機会を与えると共に、気に入れば購入もできるようにするとのこと。芸術系以外の学生はイベント運営で参加する仕組みです。

 専修大学「じんぎすかん」はヤギを使った多摩川の活性化というユニークなプラン。川原に茂る大量の雑草に目を付け、ヤギを放牧して雑草を食べてもらうと共に、休日はアニマルセラピー効果を期待してヤギとのふれあいイベントを開催する計画です。ヤギは1週間で1ヘクタールもの草を食べるというデータにも裏付けられていました。

武蔵大学「山崎ゼミB」

専修大学「じんぎすかん」


 「家族でよくばりグランピング」という題で、多摩川での親子のための週末グランピング(豪華なキャンプ)を提案したのが明治大学「木寺ゼミ」。都心に近いという地の利を生かし、月曜日に直接、出勤できるというのがミソです。手書きの模式図を使い、パフォーマンスを交えてプレゼンしてくれました。

 多摩川の源流に近い山梨県から参加した山梨英和大学「YEC3」は、サイクリストの楽園としての多摩川の素晴らしさを訴えました。上流から河口まで、延べ130キロもあるサイクリングロードを地域資源として外国人などを呼び込み、多摩川周辺を観光してもらうプランです。上流に多くある湧き水などを生かし、5キロごとに給水ポイントをつくるというサイクリストのニーズに応える内容でした。

明治大学「木寺ゼミ」

山梨英和大学「YEC3」


 寸劇を交えたプレゼンで会場を沸かせたのが東京国際大学「Seventy-Nine」。多摩川べりに生い茂る雑草からつくった固形燃料ペレットを川崎市の再開発地域「キングスカイフロント」で利用するという循環型システムの提案でした。主婦役の男子学生の素朴な疑問にプレゼンターの女子学生が答えるという進行は、とても分かりやすかったようです。

 最後に登場した、これも常連校の跡見学園女子大学「村上ゼミ」も、多摩川の雑草を素材にしました。こちらの切り口は草刈りをスポーツにした名付けて「草リンピック」。一定の時間にどれくらいの面積の草が刈れたかを競うものだそうです。雑草問題の解決につなげると共に、大学生を中心とした交流を場を生むことが狙いです。除草後の川原に京都でみるような「川床」を設置するというプランも、実現性が高そうに感じられました。

東洋国際大学「Seventy-Nine」

跡見学園女子大学「村上ゼミ」


 全11チームの発表後は、別会場で惜しくも本選に出場できなかったチームによるポスターセッションが行われ、発表7分、質疑応答3分を使い、本選参加チームにも負けない発表を行いました。

栄冠は桜美林大学「渡辺ゼミ」チームに

ポスターセッション優秀賞を獲得した跡見学園女子大学チーム

 発表会もいよいよ、各賞の発表に移ります。まずはポスターセッションを対象にした会場の参加者による投票の結果、ポスターセッション優秀賞が跡見学園女子大学チームに決まりました。次いで、観光庁や国土交通省京浜河川事務所、川崎市など多摩川流域自治体などからの審査員による審査の結果、「観光庁長官賞」には、桜美林大学の「渡辺ゼミ」が選ばれました。同チームは他に、かわまちづくり賞、アソビュー賞も受賞し、3冠となりました。

 桜美林大学のチームリーダー、渡辺くるみさん(ビジネスマネジメント学群3年)は信じられないという表情で、「とにかくびっくり。新規性をどこに出すか悩みましたが、チームワークの良さで乗り切りました。水上マーケットが可能なところを多摩川の7ヵ所を回ってやっと見つけました。ぜひこのプランを実現させたい」と話してくれました。

 多摩川ステージの本選出場チーム(大学名50音順)と審査結果は以下の通りです。他の地域のコンテスト本選の様子も順次、日経カレッジカフェで紹介します。

・亜細亜大学/Egret「川崎ウォーターフロントΔ(デルタ)」
・跡見学園女子大学/村上ゼミ2年「つながる『輪』かんじる『和』」(JTBクリエイティブ賞)
・桜美林大学/渡辺ゼミ「TAMAGAWA TWILIGHT TIME」(観光庁長官賞、かわまちづくり賞、アソビュー賞)
・成蹊大学/井出ゼミ「たまふる~みんながつながるたまのがわ~」
・専修大学/じんぎすかん「ヤギと多摩川と私」
・東京国際大学/Seventy-Nine「多摩川循環型デルタシステム」(ミズベリング賞)
・東洋大学/島川ゼミ「TAMAGAWA輪でKA和SAKI」
・武蔵大学/山崎ゼミB「#TamArtStreet」
・明治大学/歌代ゼミteam多摩川「YOUと私でおもてなし~タマパク~」
・明治大学/木寺ゼミ「家族でよくばりグランピング」(パフォーマンス賞)
・山梨英和大学/YEC3「サイクリストの楽園『多摩サイ』」

観光庁長官賞を獲得した桜美林大学チームを中心に記念撮影

(取材は若林宏)

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