さあ内定式「感謝のリスト」で社会人への不安乗り越えよう
やる気スイッチを入れよう(31)
この時期は、多くの企業で、採用予定者の内定式が行われます。正式な内定書が発行され、これを受け取る人は、学生から社会人へ、という人生の大きな転機を実感することになります。
こうした岐路でやっておくべきことは何でしょうか。
不安やイライラは当然のこと
めでたく卒業、めでたく就職、という明るい転機であっても、転機は「危機」の要素をはらんでいます。
自分が、川のほとりに立っていると想像してください。向こう岸には、見たことのない世界が広がっています。転機とは、言わば、向こう岸にジャンプして渡ることです。着地で転んだり、川に落ちたりするかもしれません。うまくいった場合でも、ジャンプや着地の衝撃があります。
内定が決まってホッとしている人であっても、今の時点では、心がざわざわし、不安になったりイライラしたりすることがあると思います。当然のことです。転機に際し、川を渡ることの危険を感じ取り、対処法を考えている証拠です。
感謝で転機を捉え直す
不安を静め、適切な行動を取るために、内定式のタイミングで、ぜひやってほしいことがあります。それは、感謝の気持ちを持つことです。
「内定式に出られたことへの10の感謝」をリストにしてみましょう。
時間通りに会場に到着した、という小さなことから、内定したこと自体という、大きなことまで、すべてを「感謝する」という気持ちで捉え直してみましょう。感謝するできごとが起こった理由までさかのぼって、感謝しましょう。時間通りに到着できたのは、天変地異がなかったから、電車が時間通りに運行しているからです。そういう日本の状況にも感謝しましょう。
感謝は幸福感を高める
感謝の気持ちは、幸福感を高めます。不安な気持ちがあったとしても、一方で幸福感も生まれ、バランスを取ることができます。
また、幸福感の高い人ほど高い成果を出すという研究があります。幸福感が高いと、次の行動を起こしやすいのです。3月までの学生生活や4月からの社会人生活で成果を出すためにも、感謝から幸福感をはぐくむことは、大きな意味があります。
そして、こうして感謝の気持ちを言語化すると、感謝のアンテナが高くなり、いろいろなできごとに感謝ポイントを見つけられるようになります。感謝する習慣が身につき、幸福感と成果を手に入れる確率が高まるのです。
感謝の気持ちで転機の不安を乗り越えましょう。次の一歩を踏み出す、やる気スイッチが入ります。
明星大学経済学部特任教授、JTBモチベーションズ ワーク・モチベーション研究所長。筑波大学の博士課程で、組織におけるモチベーションの伝染について研究中。大学ではキャリアや就職支援の講義を担当、企業とのコラボレーションによる講義も実施。JTBモチベーションズでは企業で働く人への研修やコーチング、経営層へのコンサルティングを行う。著書は「やる気が出なくて仕事が嫌になった時読む本」「職場でモテる社会学」「できる人の口ぐせ」等多数。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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