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「講義」のない大学  考える力をつけるカリキュラム

ミネルバのふくろう(4) 日原翔

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NIKKEI STYLE

こんにちは、日原翔です。ミネルバ大学へは世界中から生徒達が学びに来ています。では一体、何を魅力に感じて世界中の生徒たちはミネルバにやってくるのでしょう。オンライン授業や低い合格率といった派手な要素が注目されがちなミネルバですが、ここにいる学生たちはそれよりもカリキュラムの説得力に引かれて来ているように感じます。今回は、そんなふくろうたちを引きつけるカリキュラムについて掘り下げてみたいと思います。

一年生は専攻を決めない

ミネルバ大学では、生徒は2年次より専攻に進みます。では、一年目は一体何を学ぶのかというと、「HC(Habits of Mind and Foundational Concepts = 思考習慣と基礎概念)」というものの習得に費やします。一年生達は100を超えるHCを4つのCornerstone Courses (礎石科目) を通じて学びます。

・Formal Analyses (分析) - 統計手法、論理、意思決定判断、シミュレーション等

・Complex Systems (複雑系) - 問題の構成要素が互いにどのように関係・影響し合うか

・Empirical Analyses (実証分析) - 適切な問いの立て方、仮説、調査、実証

・Multimodal Communications (修辞学) - 多様で効果的なコミュニケーション方法の探求

ミネルバの生徒らは皆HCを身につけることで、それを二年目以降の学びの土台とします。(参照:https://www.minerva.kgi.edu/academics/four-year-curriculum/)

「しかしいきなりHCとか言われても、何のことやら全くわからん」。サンフランシスコにやって来た時の私の心の声です。

HCとは知識を習得する以前に、まずは効果的な学び方や考え方を身につけようというものです。このミネルバ特有のカリキュラム設計を担当したのが学長のStephen Kosslyn教授です。前ハーバード大学社会科学学部長のKosslynは脳科学と認知科学の分野で30年を超える研究実績を持ち、「人の学習における思考プロセス」を 体系化しました。HCはこの学びの科学に基づいたカリキュラムなのです。

例えば世界的食糧難という大きな社会問題を解決したいとしましょう。HCを学ぶ前の私であれば、いきなり解決案のブレインストーミングをしてこの無謀な問題に取り組んでいたと思います。しかしそれではまるで効果的にこの問題に取り組めていません。

「困っているのは誰なのか」「他の誰でもない私がこの問題に取り組む理由とは」「どの地域の話をしているのか」「表面に見える問題は実は他の問題から派生するものではないのか」「どのような制約があるのか」等々、解決案を考える前に考慮しなければならないものは沢山存在します。この例で言えば、「問題に取り組む前に、その問題と背景や基礎知識を深く多面的に理解する」というHCを活用することを求められます。

HCを学ぶことで、ミネルバ生はどのような状況にも応用の効く効果的思考を学びます。HCは、「世の中をより鮮明に見えるようにする眼鏡」のようなものだと私は思っています。

主体的に学ぶためのテクノロジーと「反転授業」

ミネルバの授業は全てALF (Active Learning Forum) というプラットフォームを通じて行われます。このプラットフォームはミネルバ大学が開発したもので、学びをより効果的にするための様々な機能が含まれています。

数百人で大講堂に押し寄せ、後ろに座っている自分は教授の声すら聞こえない...。ミネルバの授業にそういったことはありません。ミネルバの授業が最先端と呼ばれる所以は、講義を捨て、さらにそれをALFのテクノロジーと組み合わせた効果的なセミナー授業を提供している点にあります(授業の様子については次回詳しく紹介したいと思います)。

ちょうど先週、入学して初の課題を提出したのですが、この時私はALFの多大な恩恵を感じました。

課題に取り組んでいる際、授業で学んだ内容を復習したいところがいくつかあったのですが、ALF上に全ての授業が録画されていたので、気になる部分をすぐに確認できました。また、その授業で用いられたドキュメントも全て生徒のドライブに自動的に共有されていたので、 より効果的な復習ができたのです。

まるで同じ授業をもう一度受講しているかのようでした。ALFのおかげで、より質の高い課題を提出することができましたし、これまで通ってきた学校とは比較にならないほどに濃密な学習をしていると実感しています。

ミネルバ大学でもう一つ特徴的なのは、「反転授業」です。普通は授業というと教師による講義を学生が聞くというインプットの場ですが、反転授業はその逆に、学生たちが討論や対話を行うアウトプットの場なのです。

ミネルバの授業は事前に膨大な量の読書と課題が課されます。授業で取り扱われる内容は全て事前に生徒の頭に入っている、という前提で話が進められます。ミネルバでは、一人でできることは一人でやり、授業では一人ではできない討論や対話を通じて考えを発展させてゆく、という方針をとっています。

今を生きる我々は、幸運なことにインターネットという膨大な知的資源に簡単にアクセスできます。したがって、情報の量に困ることはありません。動画を見たり本を読んだりすることで講義を受けるのと同様に知識が得られます。もっというと、動画や本は分からない箇所を繰り返せますが、一回限りの講義ではそういうことはできません。

ミネルバの反転授業はそういった無駄を省き、限りある授業時間でより深い次元での学びを可能としているのです。当然生徒の負担は大きいです。私は日々一コマ90分の授業の準備の為だけにおよそ2-3時間費やしています。しかしここに来ている生徒は皆学びに来ているという自覚が伴っているので、このような深みのある授業を受けられることがとても楽しく、幸せです。

これらに加えて、第一弾で紹介した世界を渡り歩くカリキュラムは、生徒を最大限多様な文化と価値観にさらします。加速度的に多様化する世の中に生きて行く上で、自分とは根本から異なる考えや価値観との関わりは避けられません。そういった環境に身を投じ、共存を学ぶことには大きな意味があるのではないでしょうか。

次回は実際にミネルバの授業がどんなふうに行われているか、詳しく紹介します。それではまた。

日原翔(ひはら・しょう)
 1998年埼玉県生まれ。聖光学院高等学校を中退し、経団連の奨学金制度でカナダのPearson College UWCに2年間留学。2017年9月よりミネルバ大学に進学。身体を動かすことが好きで、現在はダンスに熱中している。科学や政治経済にも関心を持っており、自身の将来像は未だに悩みあぐねている。座右の銘は「二兎を追う者のみが、二兎をも得る」。

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