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仲良くなれる、信頼される
雑談力&質問力の鍛え方

仲良くなれる、信頼される雑談力&質問力の鍛え方
撮影協力:神田外語大学

 面白いことを話せる「楽しい人」が、誰とでも仲良くなれる、感じがいい人だと思っていませんか?ところが実際は「話を上手に聞ける人」が、いい関係を築ける人だったのです。人間関係を広げ、深めるために必要な「雑談力」と「質問力」の鍛え方を専門家に聞きました。

【人間関係を広げる!雑談力の鍛え方】

 「一緒に仕事したい、また会いたいと思わせる人には『感じのよさの余韻』があります。そこで力を発揮するのが『超一流の雑談力』です」と話すのは安田正さん。

 雑談というと、気まずい沈黙を埋めたり、なんとなく場を和ませたりするものと思われがちだが「今どきの雑談は、共通点がゼロの場所に手掛かりをつくるもの。雑談の目的を常に頭に置いて話しましょう。すると、お互いにいい時間を過ごせたという印象を残し、また話したいと思ってもらえますよ」(安田さん)。


相手ともっと仲良くなるための雑談4Step

 「雑談の醍醐味は、気になる人と仲良くなって、どんどん人脈を広げられること。『仲良くなりたい』というのも、雑談のいい目的です」。一見、接点がないと思われる相手とも、共通点をつくっていきましょう。

[Step1]「仲良くなる」という目的を頭に置く

 仲良くなるというゴールを常に頭に置くと、お互いの共通点など、きっかけとなるワードに敏感になる。「盛り上がらない話でズルズル会話せず、軌道修正もできます」

[Step2]自分の得意ネタより、相手の興味を盛り上げる

 雑談の鉄則は、相手の話を「聞く」こと。例えば、「週末は何をしているんですか?」といった質問で、相手の趣味や興味を引き出したら、質問を重ねて、その話題を盛り上げる。

[Step3]「MYエピソード」で親密感をアップ

 軽い失敗談などでこちらから「自己開示」すると、相手は心を開いていると安心して、話がより深くなる。「コツはありますか?」などアドバイスを求めるのもいい。

[Step4]会話の終わりは「ぜひまた次も」で締める

 「雑談で生まれた『いい雰囲気』は蓄積しますから、そこで終わらせたらもったいない!またお話させてください、今度ご一緒させてくださいと、次につなげる約束をしましょう」

仲良くなるための情報収集:「雑談ネタ帳」をつけよう

 親しくなりたい相手がいたら、ノートにその人専用のページを作ってみて。「雑談のたびに内容を書き留めておくと、盛り上がる話題をストックできます」(安田さん)

【人間関係を深める!質問力の鍛え方】

 「いい質問は、会話を弾ませ、相手との距離を縮め、『話すと楽しい』『信頼できる』と感じさせます」と言うのは、弁護士の谷原誠さん。

 質問力を磨くためにまず必要なのは、相手をよく観察することだ。「話したそうな話題には、質問を重ねて掘り下げます。話し掛ける前に相手を見て、余裕がある、いいタイミングかどうかも考えましょう」。質問は、ポジティブな言葉で答えられるように意識して。「この人と話すと前向きになれるという印象を残せますよ」(谷原さん)


相手に信頼される質問のKeyword3

[Keyword1 観察]

 会話中は相手の表情や態度をしっかりとチェック。退屈そうなら話題を変える、身を乗り出してくる話題は掘り下げるなど、緩急をつけるのもポイントだ。

1.スピードや声のトーンで「話したいポイント」を察知

 「人は関心のある話題や語りたいテーマになると、声のトーンが高くなり、早口になります。その『ティッピングポイント(沸騰点)』を見逃さず、『もっと詳しく伺えますか?』と質問すると、話が弾みます」(谷原さん)

2.相手に聞かれたことは聞き返す

 「週末どう過ごすの?」と聞かれたときは、相手が「その話をしたい」というサイン。自分の返答は簡潔に切り上げ、「○○さんは?」と同じ質問を返して、自分の話をさせてあげて。

 例) 相手の質問 「この夏はどこかに旅行するの?」
 × 「パリかNYかで迷っています。美術が好きなので美術館巡りをするのが目的で、どちらの街も~(以下略)」
  「まだ迷っています。○○さんは旅行されるんですか」

3.質問は相手が話し終わって2秒たってから

 相手が話しているときは、腰を折らないように注意を。「じっくり考えてから言葉を発するタイプの人も。話し終わったように見えても、少し待つようにしましょう」。せっかちな人は、心でゆっくり2秒数えて。

[Keyword2 前向き]

 相手のポジティブな言葉を引き出す質問は、お互いに前向きな気持ちになる。「煮詰まったときに使うと、みんなの士気が上がり、雰囲気がよくなります」(谷原さん)

1.ポジティブに答えられるように聞く

 例えば「難しい」を「やりがいがある」など、質問を前向きに言い換えて。最後に「~ですね」など、同意を求める一言を加える。

 × 「この仕事、あなたにはちょっと難しい?」「はい、できません」
  「この仕事、やりがいがあると思わない?きっと力を発揮できるね」「はい、頑張ってみます」

2.自分の希望は「いかがでしょうか?」で

 人は自分で選択したことを「いい」と思う傾向がある。気難しい上司には「いかがでしょうか?」と一言付け加え、最終決断を委ねる格好に。

 × 「未経験ですが、○○の資格があり、お役に立てると思います。この仕事をさせてください」
  「未経験ですが、○○の資格があり、この仕事でお役に立てると思うのですが、いかがでしょうか?」

3.原因を探るより「解決」に導くように聞く

 質問で「できない理由」を羅列させると、後味が悪くなる。「『どうしたらできる?』と聞き、解決方法を口にさせると、有意義な会話になります」(谷原さん)

 × 「どうしてこんなミスをしたの?」
  「今後、どうしたら同じミスをしないようにできると思う?」

[Keyword3 具体化]

 相手から具体的な答えを引き出せるような質問の内容を、工夫してみよう。ポイントが漠然としていると、相手も何を答えていいか分からず、会話が続かない。

1.答えの範囲を狭めて聞く

 答えの範囲が広すぎる、漠然とした質問だと、答えも漠然としがち。「いくつかの選択肢から選べるように聞くなど、範囲を狭めるといいですね」。

 × 「夏休みはどうするの?」
  「夏休みはいつ取る?何日くらい取る予定?」

2.仕事の質問なら事前準備を

 質問する前の準備も大切。仕事上の判断を仰ぐ質問を忙しい上司にする場合は、時間がありそうなときに切り出して。「必要な資料やデータを用意しておき、相手からの『逆質問』にしっかり答えられると、信頼感が増します」

この人たちに聞きました

安田正さん
 早稲田大学グローバルエディケーションセンター客員教授。ビジネスコミュニケーションで、講師、コンサルタントとして活躍。著書『超一流の雑談力』シリーズ(文響社)は累計62万部を超えるヒット。
谷原誠さん
 弁護士。1991年に司法試験に合格し、企業法務、事業再生など、数多くの案件を解決に導く。著書に『「いい質問」が人を動かす』(文響社)などがある。

(ライター 三浦香代子) [日経ウーマン 2017年7月号の記事を再構成、NIKKEI STYLEから転載]

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