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IT駆使しムダな仕事省き
ホワイトカラー生産性向上

authored by 森川 亮C Channel社長
IT駆使しムダな仕事省きホワイトカラー生産性向上

 今回は政府が旗振り役となっている働き方改革について書きたいと思います。

 日本経済が抱えている課題の1つとして、かなり前からホワイトカラーの生産性の低さが指摘されてきました。政府がこのことを問題視したのはよいと思います。

 ただ、これに対する民間の対応が残業しないということにとどまってしまうのであれば、日本経済にとって、マイナスにしかならないと心配しています。これは私だけでなく、経済界全般の共通認識になっていると思います。

 生産性が低い理由はいくつかあると思います。まずあげられるのが、新しい価値を提供することよりも、既存の価値を磨くことに時間を使ってしまうことです。

 これでは労働時間あたりの価値の増加率が低くなってしまいます。つまり無駄なことに時間を費やしているということです。日本人特有の細部への必要以上のこだわりがこうした状況を招いています。

 これから日本企業がアジアで事業を積極的に進めていくのであれば、投資における費用対効果を意識する必要があると思います。製品やサービスの機能が上がったとしても、その分、価格も上げてしまうと事業の拡大が難しくなってしまうからです。

 上げるべき機能や性能を絞り込み、そこに手間と暇をかけるという「選択と集中」の考え方が求められます。

 次にあげられるのが「お付き合い残業」や残業代を目当てにした意味のない残業の横行です。

 上司がまだ職場にいるから先に帰りにくいという考え方はなくすべきです。残業をすればするほど給料が上がるという仕組みは、労働の成果で評価されるべきホワイトカラーにはそぐいません。

 労働時間の長さに給料が比例することをいいことに、昼間は適当に仕事をして、わざと残業するような人がいるのは大きな問題です。

 こうした問題を解決するには、評価制度を含めた全面的な業務の改革をする必要があります。それには、IT(情報技術)の活用による業務の効率化が求められます。

 メインフレームの古いシステムを使っていたり、クラウドソリューションを活用していなかったりするような企業は、様々なシステムの進化を学んで積極的に活用してほしいと思います。

 なかでもデータの活用は重要です。データは次世代の資源と呼ばれています。単に集めるだけでなく、それらを分析してマーケティングや売れる製品づくりに役立てるという発想がこれからの経営には欠かせません。

 データをうまく使えばムダな仕事をせずに済みますし、余計な人手をかけることも少なくなります。企業のコストに占める人件費とマーケティング費(販売促進費)の比率は高くなっています。ITを駆使した働き方改革を進めれば、業務が効率的になり、結果的にコストが下がり、収益も改善するのです。

 働き方改革の目的の1つに離職率の低下があります。特に中小企業では採用コストが収益を圧迫することが多く、人材の定着やつなぎ留めは重要な経営課題です。

 仕事の進め方を見直すのは当然ですが、職場内のコミュニケーションを活発にすることも離職率低下につながります。ここでもITを使ったサービスの出番があります。

 「チャットツール」や「トークツール」と呼ばれる社内SNS(交流サイト)のサービスを使えば従業員同士が情報をスムーズに交換できます。また、社内でやり取りされている情報の内容を分析すれば、今、どのような人材が不足しているのかもみえてきます。

 ITやデータの活用は働き方改革を通じて日本企業の競争力を高めることにつながると思います。

[日経産業新聞2017年8月24日付、日経電子版から転載]

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