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大学生観光まちづくりコンテスト2017大分ステージ~おんせん県の魅力は
温泉だけじゃない

authored by 日経カレッジカフェ 
大学生観光まちづくりコンテスト2017 大分ステージ~おんせん県の魅力は温泉だけじゃない

 「大学生観光まちづくりコンテスト」(観光庁、文部科学省など後援)の対象地域に大分ステージが加わって3年目を迎えました。学生目線で大分県の魅力をどう引き出し、同年代の若者や訪日外国人客をどう呼び込むのか――。今年の大分ステージには17大学35チームが参加し、地元の立命館大学アジア太平洋大学(APU)のチームが最優秀賞にあたる「観光庁長官賞」を射止めました。

 9月19日の成果発表会はJR大分駅(大分市)に近接する複合文化交流施設「ホルトホール大分」で開かれ、予備審査で選ばれた10大学10チームが本選の舞台に立ちました。審査員との質疑応答を含めた各チームの持ち時間は15分。趣向を凝らしたプレゼンテーションで場内を盛り上げました。

インスタ映えの豊後大野、別府の竹ツアー

 アソビュー賞から始まり、JTBクリエイティブ賞、ツーリズムおおいた会長賞、大分県知事賞の4つの優秀賞を順に発表。その4チームの中から観光庁長官賞を決めたのですが、県知事賞のAPUと最優秀の座を争ったのは、大分市の2つの大学と東京の跡見学園女子大学の3チームでした。

 日本文理大学のチームは「みんなで作るフォトコンテスト」を提案し、JTBクリエイティブ賞を獲得しました。コンテストの舞台は大分県南部の豊後大野市。おんせん県の大分にあって温泉が1つもない町です。

日本文理大学/今西ゼミ1

 風景やアート、おいしいスイーツ......。題材は何でもかまいません。いろいろな人に写真や動画をSNSで投稿してもらい、「インスタ映えのする豊後大野に行きたくなった」という若者を増やす観光プランです。投稿作品のランキング制を採用。作品がグッズ化されたら、売上げの一部を投稿者に還元するなど、SNS世代の若者の遊び心をくすぐる趣向で、参加・体験型のコト消費のツボを押さえたアイデアが随所に光りました。

 チームの試算によると、期待される経済波及効果は「年間168億円」。審査員から「言ったもの勝ちでしたね」と言葉を掛けられ、チームのメンバーは「言ってみて良かったです」と照れ笑い。審査発表での軽妙な掛け合いが、場内の笑いを誘いました。

 ツーリズムおおいた会長賞を手にしたのは、大分県立芸術文化短期大学のチームです。「欧米人の観光客」と「別府の竹細工」。マッチングの妙が冴えるインバウンド向けの観光プランでした。「見て・食べて・作る竹ツアー!!」と銘打ち、別府の工房見学や竹づくしのランチ、竹で作ったフィラメントで夜の温泉街を彩るアートの企画などを提案。「大分の竹細工産業の活性化にもつなげたい」とアピールしました。

 

大分県立芸術文化短期大学/こでなみん
跡見学園女子大学/村上ゼミ 大分withびぃー

 跡見学園女子大学のチームに贈られたアソビュー賞は、日本最大級のレジャー総合情報サイトを運営するアソビュー(東京・渋谷)の社名にちなみます。授賞の理由は「すごくワクワクするプラン」。大分市に隣接する臼杵市の湾内に浮かぶ黒島の大胆なイメージチェンジでした。

臼杵の島のオランダ化、留学生が「おもてなし」

一周3kmの島の海岸線を3つのエリアに分け、マリンスポーツの拠点や貸し切りビーチ、グランピング施設などを整備。「インスタ映え」のするオランダ風の街並みを作り、SNS世代の若者を呼び込もうというわけです。400年以上前、ウィリアム・アダムス(日本名・三浦按針)らを乗せたオランダ船のリーフデ号が黒島に漂着した史実を素材に選び、「リーフデランド」と名付けた観光プランを練り上げました。

 チームのメンバーはフィールドワークで計3回、臼杵に足を運んで地元の人たちと対話を積み重ねたそうです。臼杵の町なかの空き家を、交流拠点のゲストハウスに活用するアイデアなどに、対話の成果が見て取れました。プレゼンテーションでも息の合ったチームプレーを見せ、会場の一般投票で決めるパフォーマンス賞も獲得しました。

立命館アジア太平洋大学/チーム♨べっぷ

 県知事賞と観光庁長官賞に輝いたAPUのチームは、留学生の力を生かす観光まちづくりを提案しました。大分県内の留学生の数は約3500人。このうち8割近くが別府市のAPUで学んでいます。

 産官学でまちづくりの運営団体を立ち上げ、インターンシップや就職・起業支援の制度を導入。「おおいた観光PR特派員」として母国への情報発信を、ゲストハウスや旅館、観光案内施設のマネージャーとして訪日外国人の「おもてなし」を担う多様な人材の育成が狙いです。世界各国で活躍する卒業生の情報発信のネットワークを活用するアイデアも盛り込みました。グローバルな視点を併せ持つ地方創生のプランが審査員の心をつかんだようです。

産業能率大学/JBM
九州産業大学/有機ガールズ


大阪観光大学/百武ゼミチーム虹橋
大分大学/ぷりんせすlab

アートが紡ぐ国東物語、豊後水道でコト消費

 チームの3人を代表して、韓国からの留学生、宋太男(ソン・テナム)さんは「APUの特色や強みを、まちづくりで発揮したい」と、受賞の喜びを語ってくれました。宋さんは学生起業家で、別府の町なかで交流施設「ことばハウス」を運営。スタッフ仲間の先輩、後輩の女性2人とまちづくりのプランを練り上げました。4年生の池上沙綾さんは2年前の大分ステージにも出場。留学生の視点を生かす若者向けの宿泊施設を提案し、観光庁長官賞に輝きました。APUの学生たちの思いは、池上さんから宋さんへ、そして後輩たちへと受け継がれているのです。

広島大学/鈴木ゼミ
安田女子大学/5羽のめじろん

惜しくも賞に届かなかった他のチームの提案も個性豊かでした。産業能率大学は豊後水道の3つの小さな島のリゾートプランを、九州産業大学は有機野菜やグリーンツーリズムを生かした臼杵の体験ツアーを発表。大阪観光大学のチームは、留学生ならではの視点で歴史豊かな国東半島に訪日外国人を呼び込むプランをまとめました。国東地方の特産品の1つが「シチトウイ」。畳の材料に使われる栽培植物です。大分大学は芸術家志望の若者を公募し、シチトウイのアート作品を全国に売り込むアイデアを披露しました。

ポスターセッションも盛況でした

 昨年の大分ステージでは、広島県の大学が観光庁長官賞を手にしました。今年の広島勢の本選出場は2チーム。広島大学は「食」をテーマに、安田女子大学は「アート」をテーマに据えた観光プランを発表しました。「せっかく良いものがあるのに埋もれている」。よそ者の視点で大分の魅力を引き出すアイデアを、「関アジ・関サバの猟師体験」「別府テーマパーク化計画」といったコト消費の企画に詰め込みました。また、本選出場を逃したチームによるポスターセッションでは、大阪観光大学のチーム「大分すきやねん」が優秀賞に選ばれました。

 大分ステージの本選に出場した10チームと審査結果は以下の通りです。

大分ステージ 本選出場チームとタイトル(発表順) 太字は獲得した賞
(1)産業能率大学/JBM 「島と島を繋ぐ旅 大分リゾートホッピング」
(2)九州産業大学/有機ガールズ 「USUKIの魅力を世界に発信!!」
(3)大分大学/ぷりんせすlab 「国東×文化 ~アーットいう間にシチトウイ~」
(4)大阪観光大学/百武ゼミチーム虹橋 「インバウンド観光客どんとこい!六郷満山、国東おせったい」
(5)広島大学/鈴木ゼミ 「味わいの街、大分」
(6)大分県立芸術文化短期大学/こでなみん 「It Is possible to "take".」 ツーリズムおおいた会長賞
(7)日本文理大学/今西ゼミ1 「豊後DEN説 2nd G~みんなで作るフォトコンテストプログラムin豊後大野」 JTBクリエイティブ賞
(8)跡見学園女子大学/村上ゼミ 大分withびぃー 「濃い来い臼杵~人と海と出逢える町~」 アソビュー賞、パフォーマンス賞
(9)安田女子大学/5羽のめじろん 「ひととまちが育みあい、アートと温泉が爆発する近未来アップデート都市 別府」
(10)立命館アジア太平洋大学/チーム♨べっぷ 「おもてなし大学 in Beppu」 観光庁長官賞、大分県知事賞