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就活で試される「共通言語」としての新聞

ホンネの就活ツッコミ論(32)

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英語を勉強する学生はいくらでもいます。理由を聞くと「就活で有利になるから」「就活以降も使う機会が多そうだから」。確かにその通りです。では、英語以外、国内外ともに必須とされる共通言語はどうでしょうか。残念ながら、必要であることに気づく学生が極端に減ってしまいます。

TOEICを主催する国際ビジネスコミュニケーション協会によると、TOEICの受検者数は約250万人。このうち、大学生の受検者数は約100万人と推定されます(公開テスト42万人、IPテストの学校参加64.1万人)。就活シーズンでも、それ以外でも、大学を取材していると、TOEICを勉強中との学生にかなりの確率で遭遇します。

一方、新聞を読む学生はどれくらいいるでしょうか。各大学の就活セミナー・ガイダンスなどで登壇する際、話を聞いても、新聞を読んでいる学生は数人いるかどうかです。なお、大学の偏差値の高低や立地はほぼ影響ありません。

それもそのはず、NHK放送文化研究所の国民生活時間調査2015によると、新聞を読む率(同調査では「行為者率」)は平日で10代が男性3.7%・女性3.2%、20代男性8.0%・女性3.0%しかいません。なお、この行為者率ですが購読率ではありません。大学図書館に置いてある、家族が購読していたのを読んだ、というものも行為者率は含みます。それでも、20代男性で8%、20代女性と10代男性・女性は3%台。これでは、新聞を読まない学生が多いのも無理ないところです。

NHK放送文化研究所以外の調査でも同様のデータが出ています。公益財団法人新聞通信調査会「第9回メディアに関する全国世論調査」(2016年)によると、「毎日」読んでいる人(朝刊・男女計)は、「18-19歳」で7.1%、20代で7.8%しかいません。

共通言語であることに気づくのは就活の後半

新聞を読まずに済むのは、ネットメディアの普及も大きいでしょう。「第9回メディアに関する全国世論調査」によると、新聞を読まない理由としては、「テレビやインターネットなど他の情報で十分だから」(74.5%)がトップ。「新聞を取っていないから」(41.5%)、「新聞は高いから(お金が掛かるから)」(29.2%)など2位以下を大きく引き離しています。

確かにインターネットを見ていれば、必要最小限のニュースは入手することができます。それに、新聞を読んでいても、同年代の学生との会話が弾むわけではありません。何しろ圧倒的多数は読んでいないのですから。そこで大半の学生は安心しきって、新聞を読まなくなります。

この落差に気づくのは、就活中、それから就活後の社会人生活です。その理由は、他でもない、新聞が社会の共通言語であるからです。共通言語とはどういう意味か、それは最終選考で明らかとなります。

選考の序盤が、学生の能力や人間性を重視するのに対して、最終選考では入社意欲、企業とのマッチングなどが重視されます。それから、序盤~中盤では、面接は若手社員ないし中堅幹部(部課長クラス)が担当します。一方、最終選考は役員、社長など幹部クラスが勢ぞろいします。最終選考については12回で書いたので、詳しくはそちらをどうぞ。

さて、社長・役員クラスと言えば、その大半が50代か60代です。ここで、NHK放送文化研究所と新聞通信調査会のデータを示します。NHK放送文化研究所データでは新聞の行為者率について、50代は男性38.3%・女性39.5%、60代は男性53.1%・女性56.2%と跳ね上がります。これは新聞通信調査会データでも同じで、朝刊を毎日読む割合は50代56.3%、60代71.8%となっています(朝刊のみ・男女計)。全職業を合計して半数以上が読んでいるわけで、企業経営にシビアな経営者・幹部であれば、ほぼ全員読んでいると推定されます。

ざっくりまとめると、学生からすれば新聞は「読んでいなくて当たり前」。それが最終選考を担当する社長・役員クラスでは新聞を「読んでいて当たり前」。この落差が最終選考で炸裂します。連載12回では「わが社が地方創生を事業として展開する場合、何ができるか」というお題をご紹介しましたが、それだけではありません。次のようなお題も考えられます。

「昨日の円ドルの為替レートは?」

「ユーロ高はわが社にとって得か損か」

「アベノミクスを変えるとしたらどんな政策がいい?」

「外国人観光客の増加はわが社にどんな影響がある?」

ちなみに、最後の質問は観光・流通・運輸などではなく、全く無関係のメーカーで出ました。なぜ、こうした質問が最終選考で出るのでしょうか。それは、社長・役員クラスであれば、新聞を読んでいる人が大半を占めます。しかも最終選考ですから、能力や人間性などはチェック済み。しかも次の選考はありません。そのため、社長・役員クラスは、時事問題などを知っているかどうか、気軽に質問できるのです。仮に答えられなければ、時事問題一つ分からないで社員としてやっていけるのか、と大きく評価を引き下げてしまうことになります。

新聞が役立つのは社会に出てからも同じ

新聞が共通言語として効力を発揮するのは最終選考だけではありません。内定を得て社会に出てからも同じです。どこかの企業に入社したとして、取引相手はその大半が新入社員よりも年齢は上。企業によっては、50代、60代の社長が取引相手となることだって十分あり得ます。

その際、20代の営業担当が話す内容として、自分の趣味・嗜好であるアニメや好きな食べ物ばかりなのか、あるいは取引相手に直結する時事問題や業界情報などか、どちらを大事と思うでしょうか。前者はあまりにも狭い世界を押し付けているだけです。その点、後者の営業担当は取引相手に合わせて情報を知り、必要な情報を提供しています。取引相手の大半は後者の営業担当を重視するに違いありません。

異なるニュースから新たなビジネスを考える力も大事

このように新聞は就活中も就活後も、社会の共通言語として必要なものです。もちろん、共通言語どころか古臭いメディアとして批判もあります。30代のビジネスマンの中には、「新聞に出ている情報をありがたがる時点で営業マンとして終わっている。それくらいの情報はキーマンに直接聞くなど自分で押さえておくのが当たり前」とします。

新聞に出ている情報の中には、すでに決着がついた話が掲載されることもあります。例えば、「××電機の▽工場閉鎖」というニュースがあるとしましょう。事情を知らない人は、そのニュースを新聞で初めて知るわけですが、××電機とその取引相手はニュースで出る前から、その情報を押さえています。どの工場に移転するのか、取引内容がどう変更されるのか、すべて交渉済みです。そのうえで工場閉鎖が公表されるわけですから、なるほど、新聞に出ている時点でその情報を知るのは遅い、とも言えます。ですが、それをもって社会の共通言語としての有用性を否定するまでには至りません。

確かに同じ業界のニュースであれば、新聞に出るより前に知ることができるでしょう。しかし、すべての業界のすべての事情を事前に知ることなどできるでしょうか。まず無理です。違う業界のニュースでも知ることができる、その手段の一つが新聞です。さらに言えば、直接関係ないニュースでも役立つことがあります。

台風で農家が被害を受けたとしましょう。単なる時事ニュースを他人事とみる企業が大半だった中で、とある流通企業は即座に動き、木から落ちたリンゴなどの農作物を安く購入。セールで使い、大きな利益を上げました。今なら当たり前となっている話ですが、最初はだれも思いついていなかったのです。

違う業界の無関係なニュースであっても、関心を持っていれば自分に関連したビジネスにつながるかもしれません。アンテナの広さがわが身を救うことだってあります。こうした事情を考えれば、私は社会人になった後も新聞を読むことはビジネスマンとして十分に必要、つまり、社会での共通言語として有効と考えます。

そこで学生諸君にもう一度、お伺いします。英語がグローバル時代の共通言語なら、新聞はグローバル企業でもそれ以外の企業でも社会における共通言語です。なぜ、英語は一生懸命、勉強して、新聞を読もうとしないのでしょうか。

英語を話せなければグローバル企業では相手にされないのと同様、社会での共通言語たる新聞を読んでいない学生は大半の企業では軽視されます。

英語と同様に新聞は「就活で有利になる」ことは明らかですし、「就活以降も使う機会が多そう」ではなく、確実に多くなります。その割に読んでいる学生はごく少数でしかありません。

学生の皆さんは「このニュースは自分には関係ない」「面白くない」と切り捨てていく方が大半です。ところが、役に立たない、と切り捨てていくと、皆さんの方こそ、「共通言語を知らない役立たず」と切り捨てられることになりかねません。そういえば、英語を勉強し始めても使えるようになるまでにはそれなりの時間がかかります。新聞も同様です。さて、皆さんは大丈夫でしょうか?

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
 1975年札幌市生まれ。東洋大学社会学部卒。2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。当初は大学・教育関連の書籍・記事だけだったが、出入りしていた週刊誌編集部から「就活もやれ」と言われて、それが10年以上続くのだから人生わからない。著書に『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)、『女子学生はなぜ就活で騙されるのか』(朝日新書)など多数。

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