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[ career-働き方 ]

お悩み解決!就活探偵団2018御社の誠実度、見えましたよ
内定者座談会

authored by 就活探偵団'18
お悩み解決!就活探偵団2018 御社の誠実度、見えましたよ内定者座談会

 人手不足を背景に例年以上に学生優位となった今年の新卒採用。人材確保には、学生に真摯に向き合わなければならない。採用コンサルティングのパフ(東京・中央)の協力を得て、内定者たちに座談会で思いの丈を語ってもらった。(参加者は仮名)

あの会社の製品、もう使わない

 ――就職活動をしてきた中で好きになった会社はありますか。

 小西さん 「大手情報・人材サービス会社はリラックスした雰囲気で社員と懇談する場を設けていた。学生が私服で参加できるようにしていて、会場ではお菓子も用意されていた。働くことや就活の進め方について社員から助言をもらえた」

 真田さん 「スポーツ系のWeb媒体を運営している会社は、1次面接を通過した学生に2次面接に臨むときのアドバイスをしてくれた。学生が自分の良さを面接で表現できるようにするためだと思う」

 黒田さん 「あるベンチャー企業の社長は2時間半もかけて私と話をしてくれた。私がどのような人間なのかを見きわめようとしていたのだと思う。学生を多面的にみようとする姿勢には好感を持った。その会社には入社しないが、いつか転職するかもしれない」

 ――逆に好感度が下がってしまった会社はありましたか。

 加藤さん 「大手文具メーカーの面接でいやな思いをした。学生3人に面接官1人だったが、その面接官はある学生に対してだけ関心を示し、私の話はまったく聞いていなかった。メモを取ろうとすらしなかったのには、腹が立った。あの会社のノートはもう2度と使わない」

 福島さん 「面接官が自分の言いたいことだけ言い放って、学生の意見を聞こうともしなかった企業があった。面接も短時間で切り上げようとしていた」

 小西さん 「物流会社の面接では、面接官が居眠りをしていた。疲れているのはわかるけれど、学生にとって就活は一生の問題なので、真剣な気持ちで臨んでほしい」

 黒田さん 「会社説明会で、前年度の内定者がつくった映像を流していた会社があった。見るべき内容に乏しく、内定者が浮かれている様子を映しているだけだった。それをみてエントリーする気持ちがなくなった」

グループディスカッション意味ない

 ――企業にこれはやめてほしいと思うことはありますか。

 黒田さん 「グループディスカッションはやめた方がよい。『ラッシュ緩和』など、解決策を出すのが難しい問題に型通りに取り組み、それなりに筋の通った答えを出すことが良しとされているようで、あまり意義を感じなかった。『我々の目につくようにハキハキと話せばいい』と言っていた人事の人もいたと聞いている」

 福島さん 「企業は、学生が自分の意見を面接官に伝えやすくする雰囲気をつくってほしい。グループディスカッションでは、それは難しいと思う」

 ――企業は、大学で何を学んだのかを学生にもっと聞くべきだと思いませんか。

 黒田さん 「学業について質問してきた会社はあった。どのような問題意識を持って学生生活を送ってきたのかを知りたかったのだと思う」

 福島さん 「理工系の勉強をしてきたが、入社する企業では、学んできたことを直接生かせるわけではない。それでも面接官は私が大学で学んできた姿勢を評価してくれた」

 小西さん 「専攻分野ではなかったが、私は語学力に磨きをかけてきた。留学もした。日本国内だけでなく、海外でも仕事をしたいと思っていたからだ。入社する会社は海外事業を強化していることもあり、私のそうした努力を高く評価してくれた」

 ――「英語能力試験のTOEICで730点以上」とか「数学に関する科目を履修」といったように、エントリーするための条件を企業が設けることについてはどう思いますか。

 真田さん 「基準を明示してくれれば、学生もやる気になって勉強するのではないか。ただ、学業という一部の側面しかみなくなってしまう懸念がある」

 小西さん 「どの科目を履修するのかを決めるのはかなり早い時期なので、行きたい会社が見つかったときに、該当科目を履修していなかったためにエントリーできないという問題が起きる」

 ――「採用選考は6月1日解禁」というのが経団連加盟企業のルールでしたが、実際にはそれより前に水面下で採用選考する企業が多かったようです。

 真田さん 「学生にとって就活は情報戦だと思う。3年生の11月や12月の時点で会社説明会が開かれていることは、一部の学生しか知らなかったし、そうした学生は就活も順調だった」

 加藤さん 「私はそうした事情を知らず、就活では苦労をした。エントリーしてみたら、春のインターンシップで優秀とみなされた学生で枠がほぼ埋まっているという企業もあった。私が内定をもらう会社は、本音と建前を使い分けるようなことはしなかった。後輩には周りに左右されず『私は私』という考え方を持ってほしい」

採用にも説明責任がある
 座談会で学生たちの発言を聞いているうちに思い浮かんだ言葉がある。説明責任だ。
 学校を卒業して最初に入る会社を選ぶことは人生の一大事だ。それにもかかわらず、多くの企業は「人柄やコミュニケーション能力を重視する」と称して、採用における客観的な基準を明示していない。
 座談会では、面接にじっくりと時間をかけている企業を高く評価する声があった。これから面接に臨む学生に社員がアドバイスしている企業も好意的に受け止められていた。それは、学生にとって採用プロセスがブラックボックスになっているからだ。「自分の能力が正当に評価されないのではないか」との不安もあっただろう。
 全国の採用コンサルティング会社24社で構成する履修履歴活用コンソーシアム(東京・中央)の調査によると、今年就職活動をした大学生・院生1456人の61.4%の学生が「学業を重視した採用を行っている企業は1社もなかった」と回答している。
 学業は学生の能力を評価する要素のすべてではない。だが、現状は学業が採用の現場であまりにも軽視されすぎているように思う。そして、人柄やコミュニケーション能力という、とらえどころのない概念だけを重視するのであれば、面接に多大な人員と時間をかけ続ける覚悟が求められる。
 何を学んできた学生が欲しいのかを示す。このことは採用における説明責任を果たす第一歩であり、費用対効果という概念を定着させることにもつながる。(長島芳明)

[日経電子版2017年9月28日付]

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