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[ career-働き方 ]

歌う看護師(10)“自信のない自分”を乗り越えるには

瀬川あやか authored by 瀬川あやか看護師、シンガーソングライター
歌う看護師(10) “自信のない自分”を乗り越えるには

 はい、瀬川あやかです。歌う看護師も今回で連載10回目を迎えました。現役で看護師をしながらシンガーソングライターとして活動しているというキャラクターに興味を持っていただき始まった本連載。これまで、"2足のわらじを履いた社会人"としての目線からいろいろなお話をさせていただいてきましたが、「連載読んでます」と直接声をかけていただくこともしばしばあり、嬉しい反面、未熟者が書く拙い文章でも誰かの何かお役に立てていればいいなと疑心暗鬼になりながら今回も筆を進めています(本当はすべてパソコンでカタカタやっておりますが...)。いつも目と親指を運んでくださり、ありがとうございます。節目ではありますが今回も節目に囚われず、疑心暗鬼になっているとは思えぬほど自由に私らしく書かせていただければと思いますので、どうか温かい気持ちで最後までお付き合いくださいませ。

「自由に私らしく書いています」

 夏の思い出を振り返るよりも、すっかり年末に向けての話し合いが多くなった今日この頃。1年ってこんなに短かったっけ。1日の短さの方がもっとえげつない気もするけれど、2度と戻らないあの頃を思うたびに「ああ、私、今を生きているんだな」と痛感させられます。

あることに悩むように......

 シンガーソングライターとしての活動の場が広がるにつれて、そこで出会うアーティストさんの幅も広がってきました。それぞれいろんな考えを持ったアーティストさんとお話させていただくうちに、私はあることに悩むようになっていきます。

 それは人の目や人の心を探りすぎるということ。昔から他人の目が気になり、周りにどう思われているのか、周りが求めている正解は何なのかを考え、身動きが取れなくなってしまうことがありました。「歌手になりたい」と周りに言えなかったのもこの性格が影響しています。予想した周りの期待に応えられなかった時は最悪で、自己嫌悪の襲撃をくらい、大きな傷跡だけが残ることはしょっちゅうでした。

 それに比べて、大小は様々でもみんなには明確な自分像があり、そこに軸を置いたまま「誰に何を言われようと私は私」と貫き通した精神があるように見えたのです。私には「みんなにとって必要な私って何?」という自信のない自分しかいない気がして「全然クリエイティブじゃない」と劣等感にまみれてしまったのです。

もっとクリエイティブでなければ......

 「もっとクリエイティブでなければシンガーソングライターは務まらない」と思った私は、以前はただ言われた通りにしかできていなかったものを、「こうしてみたらどうか」と意見を言うようにしていきました。しかし今度は嫌と言えるのが大人なのか、嫌と言わないのが大人なのかを考えてしまうようになっていったのです。

 昔の私なら受け身でいることに美学を持っていたので、後者の方が大人であるときっぱり言っていたのだと思いますが、自分を変えたいと思い始めた今、クリエイティブでありたいけど一体どこからがわがままなのか? クリエイティブでありたいけど力を貸してほしい。それじゃあ一体どこからが無責任なのか? と揺れることが多くなってしまったのでした。

 もちろん、歌う看護師としてチャリティーライブを企画したり、医療の現場にもっと癒しの音楽を届けたいという目標やビジョンはあります。ただ、この性格は本当に直したいんです。みんなには偉そうに「自分を信じて」と言っているくせに、自分が一番自分への不信感を強く持ってしまうときがある。だからこそ、これは自分へのメッセージの意味を込めてのもの。自分を一番に信じてあげられたらと常々思います。

人との出会いや環境の変化にヒント

 いろんな経験をして、出会いの中でいろんな想いや考えを持っていくうちに素直になれなかったり、余計なものが邪魔して前に進めなかったりするのだけど、こんなふうに自分を改めて見つめ直すことって一人ではできないことなのだと思います。自分を見つめたいからと、一人になろうとする人もたくさんいるけれど、私的には本当の自分こそ外にいるのだと思うのです。こんなふうに今を生きているとイエスかノーかでは判断できないようなことがたくさん出てきてしまいますが、そんな人との出会いや環境の変化には新しい発見といくつもの選択肢が隠れているのです。

 今回は少し頼りないお話をさせていただきましたが、私も毎日、疑心暗鬼になったり、自問自答を繰り返しています。たまには褒めたりもしますが基本のメインディッシュは自己嫌悪。それでも同じ場所でずっと燻っているのは嫌なので、これからも自分を見失わないよう、見失ってもちゃんと見つけてあげられるようもっともっと自分を知っていきたいな。憧れたあの人の代わりにはなれなくても自分が少しずつ変われていたりするかもしれません。だって今を生きているのは、私だから。