日本経済新聞 関連サイト

OK
[ career-働き方 ]

チェック!今週の日経(31)ファッションビジネスの覇者は
アマゾン?ユニクロ?

authored by 日経カレッジカフェ 
チェック!今週の日経(31) ファッションビジネスの覇者はアマゾン?ユニクロ?
アマゾンジャパンがスポンサーになって開かれた「アマゾン ファッション ウィーク東京(東コレ)」

 日経の研修・解説委員や日経カレッジカフェの編集スタッフが、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」。総選挙が公示された先週は選挙戦をめぐる報道が目立ちました。そんな中でも、注目しておきたい企業関連の記事をピックアップしてみましょう。今回はアパレル産業の業界動向をとらえた囲み記事を取り上げます。

新興勢力が次々台頭

紙面
10月11日付朝刊

 10月11日朝刊の17ページ、企業2面のトップ記事は、業界動向をまとめた次の記事でした。

アパレル大混戦(上)ネットが変える供給網 店舗や在庫持たない 高品質で値ごろ感(10月11日)

 衣料品を扱うアパレル産業の動向をまとめた記事で、翌12日掲載の(下)と合わせて、アパレル産業の現況を俯瞰しています。見出しで「大混戦」とうたっているように、これまでのアパレルメーカーに加えて、新たな企業が台頭、業界が大きな変革の時を迎えているというのが記事が伝えている内容です。(上)では新興勢力の動きが、(下)では、アパレル大手の苦境がリポートされていきます。

 記事によれば、今のアパレル産業のプレーヤーは4つの勢力に分類できるといいます。ひとつが昔からのアパレル企業。オンワードホールディングス、三陽商会、ワールドなどの企業が大手です。第2勢力が「ユニクロ」で知られるファーストリテイリングを代表とするファストファッションの企業。海外工場に生産委託する製造小売り(SPA)という手法で流通コストを大きく下げ、1990年代に急拡大した勢力です。「アース・ミュージック・アンド・エコロジー」のストライプ・インターナショナルなどもこの勢力に入ります。

ネバーセイネバー
ネバーセイネバーは圧縮した流通費を品質に振り向ける

 今回の記事が取り上げたのは、これに続く第3、第4の勢力。第3の勢力はネット専業のSPAというグループで、「スタイルデリ」というブランドを展開するネバーセイネバー(東京・渋谷)や、日本製のオーダーシャツを日米でインターネット販売する米ベンチャー、オリジナルという企業に焦点を当てています。店舗や在庫を持たない新しいサプライチェーン(供給網)で浮いた流通費を製造費に上積みし、ファストファッションより高品質のものを作るのが特徴です。

ファッションもアマゾン?

 第4の勢力はアマゾンに代表されるネット通販企業。ネット通販企業はアパレルのサプライチェーンの中で最も川下の小売りを担う存在でしたが、ファッション分野では、より川上に位置する商品そのものを作る企画・製造に踏み込み始めたのです。そうしたアマゾンの動きを端的に示しているのが次のニュースです。

アマゾン、ファッション本格投資 写真スタジオ開設 企画・演出に活用(10月4日)

アマゾン東コレ
「アマゾン ファッション ウィーク東京」のランウェイ

 本格投資の内容は撮影用スタジオの開設とファッション専用の物流拠点の開設。撮影拠点は東京・品川に総面積は7500平方メートル以上と、既に展開する米国や英国、インドよりも大きい世界最大のものをつくり、商品を通販サイトで紹介する写真や動画を専門的な設備や機材をそろえて撮影します。ここを拠点にファッション業界との結びつきを深め、川上の商品企画も手がけていく構想です。

 その方策のひとつが16日に開幕したファッションショー「アマゾン ファッション ウィーク東京(東コレ)」です。東京・渋谷の複合施設、渋谷ヒカリエなどで22日まで開かれるこのショーは、アマゾンジャパンがスポンサーになって3年目を迎えました。今年参加した55ブランドのうち初参加は21ブランド。新興ブランドや若手デザイナーの参加が多く、これを足がかりに新しいブランドやデザイナーを育てていくのが、大きな狙いになります。

取扱高は大手に匹敵、先行するゾゾタウン

 アマゾンに先行して川下から川上へ展開する企業もあります。ファッション通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイです。ゾゾのサイトで購入された額を示す「年間取扱額」はすでに2120億円。ワールドなど、アパレル大手1社の年間売上高に匹敵します。物流センター内に通販の画像を撮影するスタジオを持ち、2018年3月期中にはプライベートブランド(PB=自主企画)商品を発表する計画を進めています。国内市場ではアマゾンに一歩先んじていると見ていいでしょう。

ユニクロ有明
ファーストリテイリングの有明物流センターは新戦略の司令塔になる

 ファッションビジネスへの参入は、ネット通販企業に留まりません。フィットネスジム運営のRIZAPはジーンズメイトや着物卸を子会社化。婦人靴業界では家電量販のラオックスが今では大手の一角を占めるようになっています。かつてファッション市場の主役だったアパレル企業に巻き返しの道はあるのでしょうか。「アパレル大混戦」の記事では、「財務の安定性が高いが故に百貨店頼みの旧来型ビジネスから抜け出せない」と、アパレル大手の苦境を指摘していますが、同時に旧来型ビジネスからの脱却をめざす動きも紹介しています。いまのファッションビジネスの主役といっていい第2勢力も、「ユニクロ」のファーストリテイリングが今年2月に東京・有明に物流センターを新設、「有明プロジェクト」と題し、企画から生産、物流までの情報をITで一元化する改革を始めるなど、ネット通販に対抗する動きを進めています。目指すところは「情報製造小売業」。入り口は違っても、新たなファッションのビジネスモデルはここに集約されていきそうです。

 ファッション業界で働くならアパレル企業という常識は、いまや大きく崩れているのが実態なのは間違いありません。アパレル企業のビジネスモデル転換に関わっていくのか、それとも外からファッションビジネスを転換する一員として関わっていくのか。一口にファッション業界といっても、多様な選択肢が生まれているようです。

(企画委員 水柿武志)

記事のリンクは日経電子版に飛びます。ログインしてお読みください。いずれも有料会員限定記事ですが、無料会員(日経カレッジカフェ会員を含む)でも、月間10本までは限定記事を無料で読むことができます。就活のために新聞を購読している方は、その日付の新聞を開いて読んでみましょう。