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ボランティアの架け橋(4)“信頼関係”が何よりの武器になる

authored by 青山学院大学ボランティアセンター
ボランティアの架け橋(4) “信頼関係”が何よりの武器になる

 青山学院大学4年の今野友彰です。毎回読んでくださっている皆さんありがとうございます。これまでの3本の連載で僕自身のことやこの団体のこと、僕が担当していたプロジェクトについての内容を執筆してきました。

 今回ですが、活動やその企画運営を進めていく中で絶対的に必要になってくる「信頼関係」について書いていこうかと思います。これは活動場所である宮城県塩竃市を始め大学、活動に参加してくれる学生たちなど様々なステークホルダーに対して絶対的に必要なものだと考えています。信頼関係を構築していくのは簡単なことではありませんが、僕自身の考えや実体験を踏まえながら皆さんにご紹介していければと思います。

活動は報告までしっかりと

 前回の記事で各活動ごとの詳しい内容をご紹介しました。長い期間の準備段階や数々の調整を経て本番の活動を行うことができ、無事に終えられた瞬間は本当に肩の荷が下りる思いがするのですが、活動をやって終わりという訳ではありません。大切なのはその"報告"までしっかりとすること。この場合、活動場所の塩竃市、バックについてくだっている大学、活動に参加してくれた学生それぞれ報告するようにしています。

その他、外部助成をいただいている団体への報告の様子です

 まず塩竃市に対してですが、前提として私たちはボランティアを"させてもらっている"という意識でいるので、活動に理解と協力をしてくださる市民の皆さんへの報告はしっかりと行います。具体的な方法は「報告書の作成」と「報告会の実施」の2
つです。

 報告書は毎夏活動が終わった後にすぐ作成に取り掛かります。そして活動終了後に帰京して作成した報告書を塩竃市で開く報告会で配布します。この報告会ではリーダーの挨拶の後、各活動ごとにプレゼンし、成果や感想、今後の課題などを発表しています。市長を始め市役所や教育委員会の方々、議員の方々に足を運んでいただいており、こういった報告を皆さんの前で行うことによって、毎年信頼を積み上げていくことができているのではないでしょうか。

 大学への報告も報告書を作成しプレゼンします。大学関係者には活動前から企画内容を入念にチェック・ダメ出ししてもらい、活動中は日報を入れています。報告書ではより客観的に活動の結果がイメージできるよう意識して書いています。参加してくれた学生へも報告会の開催を連絡したり、活動先からいただいたプレゼントなどを共有するようにしています。こういった事後報告こそは相手からしても気がかりで重要なことだと思いますし、信頼を獲得する上で大切なことなのではないかと思います。

2015年夏、塩竃市での報告会にて。市長や大学関係者と共に

塩竃市の方々との関係性

 "信頼"というテーマのもと、塩竃市の方々との関係性を話すと本当に胸が熱くなります。今でこそ様々な活動内容を企画し、関係者と協議・実行できる環境がありますが、やはり当初はここまでの関係性をいかに構築するかが重要でした。震災発生翌年の2012年当初は、全国から多くの支援団体やボランティアが東北に行っていました。その中でまだ何の縁もない東京の大学生たちがいきなり来てボランティアをさせてほしいと言っても、「どうせ1年や2年でいなくなる」と思われても仕方がありません。そこを先輩方が一つひとつの活動や行動、現地の方々との接し方で本気度を示し相思相愛の関係を築き上げてきたのだと、常に考えながらリーダーを務めていました。

 2014年2月には青山学院大学と塩竃市間で「連携協力に関する協定」を締結し、ボランティアに留まらない相互協力関係を推進しています。このような過去があり、今はニーズに応えるだけでない今後の発展や将来を担う子どもたちへベクトルを向けた内容を企画できていますが、当時は忠実にニーズを汲み取り活動として反映させてきました。その積み重ねで今があると本当に思っています。そういう意味でも先輩方には本当に敬意を払いたいと思います。

箱根駅伝で初優勝した際には市内にこんなものまで

 私たちは青いシャツを着て活動をしているのですが、今では市内を歩けば声をかけていただくことも多いですし、学童保育などの現場では「青いお兄さんたちが来た!」と子どもたちが認識してくれます。また、私たちが宿泊拠点としている浦戸諸島は高齢化が進んでいる地域なのですが、大学生が行くだけでまるで我が子のように可愛がってくれ、歓迎してくれます。こんな関係にまでなれたのは改めて先輩方の活動の成果であり、今でも毎年継続して活動や報告を行っているからこそのものであると感じています。

 この章の最後に、ご紹介したいエピソードがあります。昨年の4月のことです。熊本県で大きな地震がありました(私たちも団体として早期に学内募金活動や夏には実際に現地に赴いてコミュニティ支援などの活動をし、現在も支援活動を続けています)。これは後にお世話になっている議員さんから聞いた話ですが、浦戸諸島で暮らしているあるおばあちゃんが、熊本地震をきっかけに東日本大震災当時の経験や様子がフラッシュバックしパニック症候群を起こしてしまったそうです。そんな時、傍にいた方々が「青いシャツを着たお兄さんお姉さんが応援してるよ」と声をかけたところ、ハッと我に返るように治ったというのです。たとえ地理的には離れていたとしても、忘れずに毎年現地を訪れることで少しは心の支えになれているのかなと感じた瞬間でした。

浦戸諸島の夕焼け

信用時代に生きる者として

 現在では「信用経済」や「評価経済」が叫ばれ、お金を持っているということよりもその人にどれだけの信用度合いや評価があるかが重要になってきています。それはインターネットの発達やクラウドファンディングなどが浸透してきたという時代の動きから来ているものですが、この来るべき「信用時代」に通ずる重要なことを僕はこのプロジェクト企画運営という経験から学んだと思っています。約束や相手に対して忠実に実行していくことで信頼を徐々に得ることができ、それが自分にとって何よりの武器になるということです。実際、僕もこのプロジェクトを動かしていく中で、全てが円滑に進んだ訳ではありませんでしたが、そんなときに周囲の人々に助けてもらい、理解してもらえる関係を築けていたことで救われた経験がありました。これからもいざというときのために普段から信用を貯めていきたいと思います。今回はこのへんで!