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日清食品がコミック形式の社史
海外にネットで発信

日清食品がコミック形式の社史海外にネットで発信

 日清食品ホールディングス(HD)は2018年に創業60周年を迎えるのを機にコミック形式の社史を作成する。創業者の安藤百福氏が袋麺「チキンラーメン」やカップ麺「カップヌードル」を開発するに至った経緯などを漫画で振り返る内容で、ネットで積極的に配信していく。海外でも人気の日本のコミックで、世界市場での日清のブランド認知度を高める。

日清食品はコミック形式の社史を作成する。(左)は創業者の安藤百福氏、(右)は現日清食品HDの安藤宏基社長をイメージしたキャラクター

 「普通ではつまらない。紙だけの社史では、誰も読んでくれない」。発案者の安藤徳隆日清食品社長は話す。「コミック形式の社史とすることによって、日清について幅広く関心を持ってもらう機会にしたい」と狙いについて強調する。

 安藤社長は50周年の社史の編さんにも携わり、そのときも、社史を同社主力商品の「チキンラーメン」の袋を模した巨大な袋に入れて提供するなど、人々の興味を引くような工夫を凝らした。10年たった今回は漫画とデジタルがキーワードだ。

 そもそもコミック形式の社史は世界でも珍しい。社史は、英語や中国語など4カ国語に翻訳する予定で、海外における日清食品の認知度向上に役立てる考えだ。ウェブ上にも載せ、世界中の人が見られるようにする。

 社史といっても、コミック形式にするため、一部、脚色する部分も出てくる模様だ。ハードボイルドタッチの作品だ。

 もととなるのは、同社が横浜市で運営する施設「安藤百福発明記念館(カップヌードルミュージアム)」やホームぺージ上で流している漫画家・岡崎能士氏によるアニメーション。同アニメでは、百福氏がサムライに扮(ふん)して、チキンラーメンなどの製造をひらめく場面などが描かれている。

 制作後は電子コンテンツにしてサイトなどに掲載しながら、世界に向けて積極的に発信する考えだ。細かい配信方法について、現在社内で協議している段階だ。「いろんな人の関心をひき付けるような様々なギミック(仕掛け)を検討している」(安藤社長)という。

 安藤社長がとりわけ重きを置くのは、「デジタルコミックの力で世界に日清を発信したい」という点だ。世界中から、誰でもアクセスできるようにする。背景には、日清食品が「カップヌードル」をコカ・コーラなどのようなグローバルブランドの商品に育てたいとする考えがある。

 カップヌードルは1971年に登場し、現在は世界の80以上の国と地域に進出している。ただ各地の食文化に対応するため、これまでは味付けを現地化した商品を販売しており「コカ・コーラのような全世界共通の商品がなかった」と、徳隆氏の父、日清食品HDの安藤宏基社長は指摘する。

 同社は海鮮味の「カップヌードル シーフードヌードル」を全世界展開商品と昨年、位置づけた。米国や中国などで、生産・販売を始めており、20年度までに世界展開の完了を目指している。

 世界展開の施策は商品や社史にとどまらない。ブランドCMも世界共通のものを作成し、現在、海外での放送を順次進めている。動画には、外国人から人気のある「サムライ」が登場。英語など特定の言語のセリフはあえて入れず、映像だけでブランドイメージを訴えるつくりにしている。

 国内でほぼ1強となっている日清食品も、海外市場ではブランド認知度がまだまだ低いのが実情だ。袋麺の需要が依然高い新興国でも、中間層の拡大で、日清が強みを持つカップ麺への需要の移行が起こりつつある。ハード・ソフト面での世界展開施策を整備し、世界カップ麺市場の需要を取り込む。
(黒瀬泰斗)[日経MJ2017年9月27日付、日経電子版から転載]

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