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[ career-働き方 ]

サステナブルな会社選び(9)クラウドファンディングで社会貢献するCAMPFIRE

authored by 「オルタナ」編集部
サステナブルな会社選び(9) クラウドファンディングで社会貢献するCAMPFIRE

 この連載では、ソーシャル・イノベーション・マガジン「オルタナ」編集部の記者が企業の規模や知名度を問わず、CSR(企業の社会的責任)で先進的な役割を果たし、社会的課題にも積極的に取り組む企業を紹介していきます。企業のCSRやサステナビリティ担当部署で働く若手社会人や社会起業家へインタビューし、「社会的課題を解決する働き方」を様々な角度からお伝えします。

「グッドモーニング」事業を立ち上げたCAMPFIREの東藤さん

 今回は、社会を良くする取組み「ソーシャルグッド」に特化したクラウドファンディングサービスを紹介します。その名は、「GoodMorning」(グッドモーニング、https://camp-fire.jp/goodmorning)。サービス立ち上げから7カ月で流通総額1億円を突破し、最近では継続的な支援が可能な「寄付型」クラウドファンディングも始めました。

業界平均の4分の1の手数料で活動を支援

 クラウドファンディングは不特定多数の個人や法人からお金を集めるサービスです。起案者はプロジェクトの概要と集めたい金額、支援してくれた人への返礼品などをサイト上に掲載し、定められた期間内にネットで支援を募ります。

 米国で生まれたサービスで、2011年に日本に上陸しました。3000円から支援ができるので、共感したプロジェクトを気軽に応援できるのが特徴です。16年度のクラウドファンディングの国内市場規模は前年度比96.9%増の745億5100万円(矢野経済研究所調べ)で、年々拡大しています。

CAMPFIREの入り口にはクラウドファンディングで資金を募り制作した雑貨などが並ぶ

 今回の「グッドモーニング」を運営する会社は、CAMPFIRE(キャンプファイヤー、東京・渋谷)。創業は2011年で、日本で最も早くクラウドファンディングサービスを立ち上げた1社です。

 当初は社名と同じ名称のクラウドファンディングサービスを運営してきましたが、16年8月にソーシャルグッドに特化した「グッドモーニング」を立ち上げました。社会貢献活動を支援するために設計されているため、手数料は5%(決済手数料別)と業界平均の4分の一で月額制の支援を受けることなどができます。主な利用者はNPOなどで、支援者は20~40代です。

支援プロジェクトの社会的インパクトを測る

 サービス開始から7カ月で流通総額1億円を突破し、順調に伸びています。支援者に返礼品を返す「購入型」が多いですが、利用者には「返礼品を返すコストが掛かってしまって活動に専念することができない」という声がありました。

 そこで、返礼品を返す必要のない「寄付型」を導入しました。支援者は税制上の優遇措置を受けることができますので、寄付しやすい環境です。

 「グッドモーニング」を立ち上げたソーシャルグッド事業部マネージャーの東藤泰宏さんは、「お金を集めるだけでなく、社会的インパクトにもこだわりたい」と話します。

「グッドモーニング」サイトのトップ画像

 高い利益率のある事業を生み出し、効率化を測るのはソーシャルグッドの手段であって、目的ではないというのです。お金を集めたプロジェクトが社会にどのようなインパクトを与えたのか第3者機関と協力して測る動きを進めています。

 今年10月には、渋谷区や公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン、NPO法人キズキなどと組み、「スタディクーポン・イニシアチブ」を立ち上げました。NPOや企業、自治体、市民からなるコンソーシアムで、「グッドモーニング」で支援金を募り、貧困世帯の子ども向けに学習塾で利用できる「クーポン」を配布しています。

 このプロジェクトは目標金額を1000万円に定めていますが、ただお金を集めるだけでなく、クーポンが有効活用されているかも調べます。将来的にはこの貧困家庭の子ども向けクーポン配布を、全国展開することを目指しています。

 通常、クラウドファンディングの目的は資金調達ですが、「グッドモーニング」では資金調達のその先まで追っていきます。売上には直結しませんが、インパクトの評価を行うことは、「クラウドファンディングの存在意義を世の中に伝え、業界全体を盛り上げていくために、誰かがやらないといけないこと」と東藤さんは強調します。

「小さな火を灯しつづける」がミッション

 「グッドモーニング」を運営する株式会社CAMPFIREは、「小さな火を灯しつづける」ことをミッションにして、資金集めの民主化を目指します。特定の少数が数十万円ずつお金を出すのではなく、不特定多数の個人が、「数百円単位でお金を出し合える社会にしていきたい」と話します。

「クラウドファンディングの社会的地位を向上させたい」と話す東藤さん

 東藤さんの前職はベンチャー企業の経営者でした。大学卒業後は携帯サイトの運営会社で働いていましたが、過労でうつになってしまいました。その時に職を失い社会の中で居場所を見つけられずに孤独感にさいなまれたと振り返ります。

 この経験をもとに、うつで孤独になっている人向けのコミュニティ型認知行動療法として「U2plus」という名称のウェブサービスを仲間とともに開発し、起業しました。サービスを開始して4年後に事業をIT企業へ譲渡して、キャンプファイヤーに転職してきました。起業したときから、「当事者目線」を大切に働いてきたそうです。

 東藤さんは将来、社会問題を解決する働き方をしたいと考えている大学生には、業種や職種に問わず、「その仕事がどう社会を良くしていくのか考えながら、働いてほしい」と伝えています。

 「どんなポジションにいても、社会問題を解決する意識を持って働いていけば、キャリアを重ねるごとに社会への影響力が高まる」と彼は言います。社会人としての力をつけたとき、「ぜひ一緒に社会を変えていきましょう」とエールを送っていました。
(「オルタナS」編集長・池田 真隆)

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