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日本経済新聞「未来面」
学生からヤマトHD社長への提案
「配達と高齢者見守りをAIで」

日本経済新聞「未来面」学生からヤマトHD社長への提案「配達と高齢者見守りをAIで」

 日本経済新聞の未来面は、読者や企業トップの皆さんと課題を議論し、ともに作っていく紙面です。共通テーマは「革新力」です。今回はヤマトホールディングス社長・山内雅喜さんからの「2020年の宅急便に求められる機能は何ですか」という課題について、学生の皆さんから多数のご投稿をいただきました。

 ここで紹介したのはほんの一部です。掲載できなかったアイデアを日経電子版の未来面サイトで紹介しています。

【課題編】「2020年の宅急便に求められる機能は何ですか」

山内雅喜・ヤマトホールディングス社長

 世の中が変化するスピードは、想定していた以上のものでした。ネット通販などデジタル社会の進展で宅急便の取扱数量が急増し、また労働需給の逼迫が急速に進んだことで、社員に負担をかけてしまいました。こうした反省と教訓を踏まえて「働き方改革」を主眼とする中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」(2017~19年)を策定しました。IT(情報技術)投資も積極的に行うことで、働きやすい、働きがいのある会社にします。19年はヤマトグループ創業100周年にあたります。中計は次の100年に向けて、持続的な成長をするための改革と位置付けています。

山内雅喜・ヤマトホールディングス社長

 世の中が変化するスピードは、想定していた以上のものでした。ネット通販などデジタル社会の進展で宅急便の取扱数量が急増し、また労働需給の逼迫が急速に進んだことで、社員に負担をかけてしまいました。こうした反省と教訓を踏まえて「働き方改革」を主眼とする中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」(2017~19年)を策定しました。IT(情報技術)投資も積極的に行うことで、働きやすい、働きがいのある会社にします。19年はヤマトグループ創業100周年にあたります。中計は次の100年に向けて、持続的な成長をするための改革と位置付けています。

 さて、老若男女の読者の皆さんにお願いがあります。次の100年の最初の年となる20年に、ヤマトグループがどのようなサービスや機能を持つ会社になっていてほしいかを考えていただきたいのです。この年は東京五輪・パラリンピックが開かれ、世界中から日本に関心が集まる年でもあります。

 当社の最大の財産はラストワンマイル(届け先までの最後の区間)を手掛けていることです。宅急便を直接、お客様に手渡しするフェース・ツー・フェースのサービスが持ち味で、お客様の声から誕生したサービスもあります。例えば、一人暮らし宅への見回りも兼ねた「まごころ宅急便」です。自治体などと組み、高齢者の手足となって買い物代行や地域情報のお知らせの配達などもしています。

 これからも当社グループがモノを運ぶ会社であることに変わりはありません。約5万台のトラックが日本列島を昼夜走っています。1日に約200万キロ、地球を50周も回る計算になります。そして約7万6000人の社員がお届けに向かっています。この人と人との接点はお客様に安心感、喜びをお届けするもので、今まで以上に価値を持つと思っています。デジタル・イノベーションへの投資を積極化します。人工知能(AI)やIOT(インターネットで色々なものとつなぐこと)によって今までできなかった事業は可能になります。

 世界のどこよりも速く進む少子高齢社会。ただ、国や自治体は苦しい財政事情もあり、住民サービスや地域産業支援が限界に来ているのも事実です。色々な関係者と知恵を出し合うことで新たな事業も生まれるはずです。規制によって実現を阻まれているものもあります。皆さんのアイデアや声が壁を突き崩し、新たな風景が見えてくるかもしれません。豊かな生活を支えるためにヤマトグループの経営資源を生かすアイデアをお寄せいただけたら幸いです。
(日本経済新聞2017年11月6日付)

◇    ◇

【アイデア編】

アイデア001 高齢者見守り、AIで進化
森 果穂(愛媛大学法文学部3年、21歳)

 私の祖母はひとり暮らしのいわゆる「買い物難民」だ。私はいま、祖母とは離れて暮らし、頻繁には会いに行けない。車を運転できない祖母に代わり、父が買い物をして届けている。高齢化社会の、特に地方には祖母のような高齢者が少なくないはずだ。そこで宅配会社がひとり暮らしの高齢者や高齢夫婦の世帯に特化した配達員の枠を設け、買い物に行けない高齢者に定期的に配達する。また、配達員の胸ポケットなどに小型のAIを装着し、配達先の高齢者の表情や、体温などを読み取り、体調を判断できるようにしたらどうだろう。体調の異変があれば主治医にメールで知らせる。持ち味のフェース・トゥ・フェースのサービスと最新技術を融合させ、高齢化社会の問題解決に少しでも役立てられないか。「人と人とのつながり×IoT社会×宅急便」という新サービスで、離れて暮らす家族も、何より高齢者自身も安心してすごせるようにしたい。

アイデア002 車にセンサー、街の情報収集
劉 河魯川(上智大学経済学部4年、26歳)

 ヤマトホールディングスの車が日本中を走ることを利用して、"遊び"の方法を変えられると思う。今、道路で多くの宅急便の車が走っているから、車は情報収集の入り口として車体にカメラを設置できるだろう。宅急便の車に設置したカメラで、人々は携帯電話、パソコンを利用して、車の周囲の景色を見られたり、周囲の天気をチェックしたりすることができるようになるだろう。また、見たいところがあれば、全地球測位システム(GPS)などの技術により、指定する場所の近くに宅急便の車があれば、見たい場所の車を指定すれば、本人の代わりに景色を撮影したり、情報を確認できたりするというのはどうだろう。カメラを利用して、いろいろな可能性が広がる。携帯電話を利用して、生放送のアプリケーションが出てきた。車に設置したカメラは生放送のようなサービスも提供できるはずだ。

アイデア003 宅配ロッカーをシェア
須藤 貞明(流通経済大学大学院物流情報学研究科1年、23歳)

 2020年の宅急便には、消費者が好ましい時間や場所で荷物を受け取れる機能が必要だ。物流各社やネット通販会社は現在、宅配ロッカーの設置やコンビニでの受け取りサービスなどを提供している。ただ、大半のサービスは各社が独自に展開している。それぞれでルールが異なり、消費者にとっては不便なことが多い。その問題を解決するのが協調だ。物流各社やネット通販会社は共同で、どの事業者も利用できるオープン型の宅配ロッカーを設置。コンビニや郵便局、各社どの事業拠点でも荷物を受け取れるようにもする。コンビニや郵便局を窓口として組み込めば利便性は格段に向上し、消費者はニーズにあう時間や場所を選びやすくなる。会社ごとの垣根を超えることができれば、消費者は荷物を受け取りやすくなり、物流各社の負担になっている再配達の件数も減るだろう。

【講評】山内雅喜・ヤマトホールディングス社長

 「2020年の宅急便に求められる機能は何ですか」について、老若男女問わず幅広い読者の皆さんから多数のアイデアをお寄せいただき誠にありがとうございます。宅急便が皆さんの生活に身近な存在としてご利用いただいていることが改めてよく分かったと同時に、今後も宅急便を通じてライフスタイルを豊かにするためのサービス開発を続けていく必要があることを再認識しました。

 近い将来のアイデアということもあって、読者の皆さんの課題意識も明確だったように思われます。

 さて、デジタル・イノベーションは私たちの仕事や皆さんのライフスタイルを大きく変える可能性を秘めています。「宅配と体調管理を同時に」は、ヤマト運輸の強みであるお客様に直接手渡しするフェース・ツー・フェースの接点と人工知能(AI)を組み合わせることで、現在行っている「見守りサービス」をさらに進化させ、新たな価値を生み出してくれそうです。高齢者がいつまでも住み慣れた地域で自分らしい生活を送れる地域包括ケアにもつながる、是非検討したい提案です。

 「走り続けるタイヤ」は全国を日々走り回っている集配トラックがセンサーになるというものです。日常業務の中で地域の情報を収集し、行政機関などに利活用してもらうことで新しいサービスが生まれるチャンスが広がります。

 「いつでも、どこでも受け取れる」はオープン化、シェアリング、エコシステムを意識したアイデアで、今後に向けた大変いいヒントになりました。

 当社の有する経営資源が、これからも社会的な課題を解決する一助になれる可能性を秘めていることを改めて確信することができ、これからも全社員一丸となって取り組んでいこうと決意する機会になりました。
(日本経済新聞2017年11月27日付)

【「未来面」からの課題】
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