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アロマ用オイル、
同じ香りで価格差数百倍のワケ

アロマ用オイル、同じ香りで価格差数百倍のワケ

 花のラベンダーやかんきつ系のベルガモット、爽快感のあるペパーミント――。様々な香りを楽しむアロマテラピーは広く知られるが、特に初心者にとってわかりにくいのがオイルの価格差だ。100円ショップやネット通販で安く売られているものと同じ名前のオイルが専門店では数万円もする例があり、しかも最近は高級品を中心に値上がりが相次いでいる。同じ香りなら安い方がお得に思えるが、実際は原料も用途も違う別の製品というカラクリがある。


天然原料の精油は値上がりが相次いでいる(生活の木のサンダルウッド)

  アロマ関連製品の専門店が扱うのは主に「エッセンシャルオイル(精油)」で、植物の花や葉、果実などから天然の香り成分を抽出したもの。欧州やアフリカなどからの輸入品が多く、価格は原料によって千差万別だ。グレープフルーツなど大量生産されているものは10ミリリットル入りで1000~2000円程度だが、バラの花から抽出するローズオットーは手摘みした花50本から1滴しか採れないという貴重な精油で、10ミリリットル入りの販売価格は3万~4万円前後だ。

 一方、100円ショップなどの店頭に「ローズ」として並んでいるのは界面活性剤やアルコール、香料から作られた合成オイルで、精油に似た香りを再現したものだ。消費者にとってややこしいのは、こちらが「アロマオイル」の名称で販売されていること。「エッセンシャルオイルよりもアロマオイルという呼び名の方が一般に浸透している」(日本アロマ環境協会=東京・中央)ため、中身の違いに気付かず購入してしまうケースもあるようだ。

 いわば工業製品の合成オイルに対して精油は農産物に近く、産地の生産状況や需要の増減によって価格も変動する。1985年から精油を販売している生活の木(東京・渋谷)は、香木のビャクダンから抽出するサンダルウッドを9月1日から約4~6割値上げし、10ミリリットル入りで5800円(税抜き)とした。産地のオーストラリアで資源保護のために規制が強化され、供給が減ったためだ。同社は「天然原料なので価格変動が激しい。生産者との直接契約などで調達コストを抑えてきたが、今後も値下がりの見込みがないので製品価格に転嫁せざるを得ない」と話す。

 ローズオットーも値上がり傾向にある。中国をはじめとする新興国の富裕層の間で人気が高まっているためだ。ブルガリア産の精油を輸入販売するハーベストシーズン(大津市)は10月から2.5ミリリットル入りで1万3800円(税抜き)と約3割値上げする。愛好者にとっては手痛い値上げとなりそうだ。

サンダルウッドは豪州やインド産のビャクダンの心材を水蒸気蒸留して抽出する(生活の木提供)

 精油を浴槽に数滴入れたり、ディフューザー(拡散器)などを使って部屋に香りを漂わせたりして成分を吸入することで、心身の健康増進を図るのが本来のアロマテラピーの目的だ。生活の木によると、ラベンダーにはリラックス効果、ローズオットーには女性ホルモンの調整作用、ペパーミントには殺菌作用もあるとされる。合成オイルにはこうした効用は期待できず、風呂に入れると肌荒れを起こす危険性もある。

違いを理解して使い分け

 最近は「注意書きが不十分な製品や、わざと精油と混同するような説明をして売る悪質な業者もいる」(販売業者)。実際、サイトで合成オイルを浴槽に入れて使うことを推奨しているネット販売業者もいるという。

 日本アロマ環境協会の企画部長でアロマテラピーインストラクターの青江智子さんは「香りをかぐだけで癒やされるという方もいる。合成香料自体を否定する必要はない」と話す。好きな香りをリーズナブルに楽しむなら合成オイル、効用も期待してより本格的に取り入れるなら精油と、それぞれの違いを理解した上で上手に使い分けることが大切だ。
(商品部 本池英人)[日経電子版2017年9月14日付]

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