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チェック!今週の日経(35)住宅会社、相次ぎゼネコンを傘下に

authored by 日経カレッジカフェ 
チェック!今週の日経(35) 住宅会社、相次ぎゼネコンを傘下に

 日経の研修・解説委員や日経カレッジカフェの編集スタッフが、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」。この1週間はトランプ大統領の訪日に始まり、米国のアジア外交のニュースが紙面を賑わせていました。一方、企業の動きもちょうど半期の決算発表が重なる時期で、話題に事欠きませんでした。そんな中、今回は住宅・建設業界のニュースを取り上げてみましょう。

住友林業が熊谷組と資本提携

記事
11月10日朝刊

 11月10日朝刊1面に次のようなニュースが掲載されました。

住友林業、熊谷組と資本提携 共同で海外開拓(11月10日)

 木造注文住宅大手の住友林業と準大手ゼネコンの熊谷組が資本・業務提携を締結するというニュースです。両社は28日に第三者割当増資などを実施し、住友林業が約346億円で熊谷組の発行済み株式の20%を取得。熊谷組は約100億円で住友林業の同2.85%を持つ株主となります。この資本提携をテコに海外事業や木造・緑化関連の建設事業を開拓するというのが今回の提携の狙いです。

 ハウスメーカーと建設会社の組み合わせといえば、似たもの同士が手を握るという感じであまり意外感はないかもしれませんが、2つの業界は規模も違えば、顧客も異なります。個人顧客が中心のハウスメーカーに対して、法人や公共団体から仕事を受注することが多いのがゼネコンという構図です。これまでは、この二つの業界は住み分けられていました。ところが、2010年代に入ると、このままでは今後の成長が見込めないという状況が目の前に迫ってきました。

会見写真
資本提携を発表する住友林業の市川晃社長(右)と熊谷組の樋口靖社長(9日午後、東京都中央区)

 背景の一つは、住宅市場の低迷です。人口減少社会になった日本は住宅市場の拡大は望めません。2008年を最後に100万戸を割った年間住宅着工件数は80万~90万戸台で推移、2030年には54万戸になるとの予測もあります。住宅メーカーとしては市場の先細りへの対応策が求められています。戸建て住宅からマンション・介護施設などの中・大規模の建物へ手を広げていく必要がありますが、そうなると、大きな建物を支える土木技術が不可欠です。ここを補ってくれる存在がゼネコンということになります。

 一方、ゼネコンは今は人手不足が大きな課題になるほど、足元の受注は好調です。ですが、2020年の東京五輪が終わると、需要が冷え込むという予測もあります。そこで住宅メーカーの営業力と企画力を取り込んで、より幅広い建設需要にこたえていこうというわけです。ゼネコンが比較的強い海外の大型開発などの事業でも、住宅メーカーの技術力や企画力と組み合わせることで、よりきめ細かく需要を拾える体制がつくれるでしょう。

パナソニックも中堅建設買収

 住宅メーカーと建設会社の提携は、この2社に限ったことではありません。最近のニュースをもうひとつ紹介しておきましょう。

パナソニック、中堅建設買収 100億円、高層マンション参入(11月2日)

 パナソニックは総合家電メーカーですが、住宅・住宅設備関連事業は全体の2割を占める主要事業の一つで、パナホームという住宅メーカーを中核子会社として持っています。ですから、このニュースは、パナソニックで住宅事業を手がける社内カンパニーが中堅建設会社を買収し、高層マンション事業に進出するというニュースなのです。

 住宅メーカーと中堅ゼネコンとの資本提携の先鞭をつけたのは、最大手の大和ハウス工業です。経営不振に陥っていた中堅ゼネコンのフジタを買収したのは13年のこと。同社は準大手ゼネコンのフジタを全額出資子会社とすることで、部材の共通化で建築コストを下げたり、海外のホテル開発を共同で手がけたり、すでに大きな買収効果を生み出し始めています。他にも15年には、業界2位の積水ハウスが鴻池組の親会社に出資して傘下に収め、16年には旭化成ホームズが森組に30%出資して筆頭株主になるといった動きが続いています。

海外事業、さらに加速も

米国での住宅事業
今年1月に住友林業が買収した米エッジホームズ(ユタ州)が手掛ける住宅

 住友林業の場合、これまで地道に市場を広げてきた海外事業でも、ゼネコンの力をフル活用できそうです。住友林業は国内では第4位ですが、海外での住宅販売では1位。国内の完工棟数は17年3月期の8098棟から18年3月期は7700棟と減少する見込みですが、その穴を埋めるのが米国やオーストラリアでの販売になります。今期の海外住宅販売棟数は前期比22%増の8800棟を見込み、初めて海外が国内の販売棟数を上回ることになりそうです。

 米国、オーストラリアについで着手したのが東南アジアの市場開拓。この秋もタイで400戸の高級分譲マンションの開発を発表したほか、インドネシアで戸建て分譲住宅の販売に乗り出すなど、動きが急です。内需型産業の典型だった住宅業界もグローバル市場で成長を模索する時代になり、海外志向のある学生の皆さんも、この業界から目を離さないでいた方がよさそうです。

(企画委員 水柿武志)

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