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liberal arts-大学生の常識

米国も「求むリケジョ」、
10代女子がアプリ開発競う

米国も「求むリケジョ」、10代女子がアプリ開発競う

 米国でも技術者として働く女性はまだまだ少ない。大学で理系の学位を取得する女性が少ないことが原因の一つと指摘されるが、理工系に関心を持つ女子を増やそうという取り組みは確実に広がっている。

開発コンテスト 100カ国以上から参加

テクノベーションの決勝大会には世界中から12チームが集まった

 10代女子対象のアプリ開発コンテスト「テクノベーション・チャレンジ」もその1つ。2010年に始まった同コンテストは、教育系の米非営利団体イリデセントが主催する。これまでに100カ国以上から1万5000人が参加している。

 今年8月、テクノベーションの決勝大会がシリコンバレーで開かれ、世界中から予選を勝ち抜いた12チームが集まった。決勝で優勝すると起業資金として最大1万5000ドル(約170万円)の賞金も贈られる。

 テクノベーションはプログラミング技術を学ぶことが主目的ではない。「単にプログラミング言語を学んでもすぐに忘れてしまうかもしれない。学んだ技術がどんな変化をもたらすことができるか、そこに気付くことができるようになるのが重要」。コンテストを統括するシニア・ディレクターのマダビ・バセインさんは、そう強調する。

 17年大会で参加者に与えられた課題は、「教育」「環境」「男女平等」「健康」「平和」「貧困」の6つの分野において、地元コミュニティーが抱える問題を解決するようなアプリとビジネスモデルを考えること。解決するのは大きな社会問題からごく身近な問題でも構わない。問題を洗い出してその解決法を考え、どんなアプリを作るか、どのように製品の重要性を訴えるかなど、起業するときのようなプロセスを経験する。

 17年の決勝大会では、シニア部門(15歳以上)で位置情報を全地球測位システム(GPS)で追跡するアプリや腕時計型トラッカーを提案したカザフスタンのチーム、ジュニア部門(14歳以下)で認知症患者向けアプリを提案した香港のチームが、それぞれ優勝した。今大会には全世界1100チームから起業アイデアとアプリが提出されたが、残念ながら日本からの提出はゼロだった。

 授賞イベントは米グーグルの敷地内で開催され、参加チームはそれぞれの起業アイデアやアプリを披露した。発表はすべて英語。英語が母国語ではない参加者も、自分たちが考えた起業アイデアやアプリを目を輝かせながら懸命に説明する姿が印象に残った。

「女子が技術のクリエーターとなる楽しさを発見した」

 「このコンテストを通じて多くの女子が技術のクリエーターとなる楽しさを発見した。日本でも多くの人に挑戦してほしい」とバセインさんは話す。18年大会に向けた申し込みは10月18日に始まった。

 参加するには、一緒にアプリ開発やビジネスを企画する2~5人のチームメートと、「メンター(指導役)」となる人が必要。3~4カ月をかけてアプリのプロトタイプと事業計画書、短いプレゼンビデオを作成し、提出する。参加者にはアプリ開発や事業計画書の作成の仕方が学べる無料のオンライン講座が提供される。プログラム初心者でも、簡単にアプリのプロトタイプを作成できるツールが用意されている。

 グーグルで開催された授賞イベントには同社のスンダル・ピチャイ最高経営責任者(CEO)も姿を見せた。グーグルは第1回大会からテクノベーションに協賛している。

テクノベーションの授賞イベントでスピーチする米グーグルのスンダル・ピチャイCEO

 折しも、授賞イベントが開催されたのは、女性に対する差別的な文書を公表した男性エンジニアを解雇した問題に関し、社内集会の開催が予定されていた日。社員からの事前の質問が外部に漏れ、社員の安全性が確保できないとして集会は中止されたが、ピチャイ氏の発言には関心が集まった。

 「エンジニアや起業家になりたいガールズの皆さん、聞いて欲しいことがあります。テクノロジー業界にはあなたたちの居場所があります。グーグルにもあります。これと反対のことを言う人がいるかもしれませんが、気にしないで。あなたたちは必要とされているのです」

 壇上からのピチャイ氏の力強いメッセージに、会場から大きな拍手と歓声があがっていた。
(シリコンバレー支局 藤田満美子)[日経電子版2017年10月13日付]

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