「就活に必要なスキル」よりも重要なこと
人事部長のひとりごと(23)
学生の皆さん、こんにちは。株式会社HDE高橋実です。HDEは企業向けクラウドサービスの自社開発、販売をしており、7,000社以上の企業の導入実績があるトップシェア企業です。
先日、とあるイベントで、「企業がどんな人材を欲しがっているのか」というテーマで、お話をする機会がありました。参加した皆さんは、もしかしたら「就活に必要なスキルは何か」ということを聞きたかったのかもしれません。でも、僕はあえてその話ではなく、「ポータブルスキル(portable skill)」のお話をしました。ポータブルスキルとは「持ち運び可能なスキル」「職場や企業が変わっても通用するスキル」のことです(もっと詳しく知りたい人はぜひネットで調べてみてください)。
就活はゴールではない
なぜ僕が就活にすぐ必要なスキルの話をしなかったのか。そのスキルは「企業に入社するために必要なスキル」であって、これからの人生の長いキャリアにおいては、「スタートラインに立つために必要なスキル」でしかないからです。皆さんに、就活をキャリアのゴールにしてほしくなかったので、あえてこれから未来のキャリアに必要な「ポータブルスキル」のお話をさせていただきました。
これからの日本は、少子化により、世界的にも未曾有の労働人口減に陥ります(総務省『情報通信白書』平成28年版)。すでに、サービス業などを中心に、深刻な雇用不足に陥り、「人手不足倒産」も顕在化してきています。将来の事業継続に深刻な打撃を与えかねない状況が今後の日本を待っています。日経新聞でも報道されていましたが、メガバンクがAI導入や効率化により業務(人員)削減を行うといった動きは、少ない人数で事業を最大化する、これからの時代に合わせた対応で、様々な企業で一層加速していくと思います。
未来のキャリアをひらく「ポータブルスキル」
そんな世の中だからこそ、自分のキャリアは自分で築く、新卒で内定をもらうことをゴールにするのではなく、そこから先の働き方、生き方を考え、「ポータブルスキルをつけること」、これがとても重要になるのです。新卒が「超売り手市場」の今だからこそ、未来の自分のキャリアを真剣に考え、向き合い、どんな環境変化があっても生きていけるだけの力をつけるチャンスです。
これだけ変化の激しい世の中では、就職しても、その企業が将来を約束してくれるとは限りません。事業環境もマーケットも、そして雇用環境も大幅に変わっていく。自らで望まなくともずっと新卒で入った会社にいられなくなる可能性もあるのです。
企業も変わらなければいけません。今までにない多様な働き方も必ず広がります。少ないリソースを最大限活用するために、個のキャリアを真摯に考え、多様化するキャリアに対応していく社内の制度を整える企業が増えています。
自らの可能性と選択肢を広げるためにポータブルスキルをつける。目先の就活のため、企業に求められるからそれに必要な力をつけるだけでは、その先のキャリアで困ってしまうかもしれません。未来のキャリアに目を向けて、切磋琢磨する。繰り返して力をつけていけば、どんな世の中が変化しても対応できるだけのキャリアが身につくはずです。
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