「恋愛」「結婚」を考える5つのヒント
これからの女子キャリと生き方(25)
こんにちは。manmaの新居日南恵(におり・ひなえ)です。manmaが運営する家族留学も、始まってからそろそろ3年が経とうとしています。大学生を中心とした若者が、30代、40代前後の子育て中のご家庭に1日体験訪問をさせていただくこの取り組み。3年で全国に広がり、毎月多くの方が参加してくださっています。
子育てだけでなく、自分の人生について、さまざまなモデルとの出会いを通して考える機会になったという声をたくさんいただいています。これからの時代、男性も女性も仕事だけに生きるのではなく、家族も仕事も大切に、自分の人生を生きて行く道がひらかれているように感じます。自分はどんな家族をつくるのだろうか、どんな家族でいられたら幸せだろうかと考える人も多いのではないでしょうか。
私は慶應大学法学部をこの春卒業し、いまは慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科に通っています。家族が幸せであるためには、どんな要素が必要なのかという疑問を解き明かしたいなと思っています。もともとは、高校時代からの「どうしたら、家族って幸せでいられるんだろう?」という思いが出発点でした。manmaを始めて多くの人に「家族はチームだよ」と教えられる機会がありました。きっと、チームとしてうまく機能している家族は幸せなんじゃないか、という仮説に基づき調査を進めています。その中で、いくつか面白い本や論文に出会いました。今日はいくつかに絞って、ご紹介をさせていただきます。
「結婚」を考える本
・「産む」と「働く」の教科書(齊藤英和、白河桃子)
少子化ジャーナリストとして、多数の本を出版されている白河さんの著書です。少しでも、結婚や子育てをしたいと思う人であれば、基礎知識として読むべき一冊です。私たちの両親世代と、いまの社会背景の違いから、女性も男性も経済的に自立し、仕事も家事も共に取り組む必要性がとてもよく理解できます。
・どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた(吉田尚記、石川善樹)
様々な観点から「幸せ」を読み解く一冊です。その中で、結婚に関する議論をされている部分があります。なんで結婚するのかなとか、結婚して幸せになれるのかなとか、ちょっと冷めた目線から結婚について、疑問に対して思うことのある方にオススメです。結婚相手を選ぶ時、どこまでいっても「この人!」と決めきれないから、「この人でいい。」と思ってもらうところがポイント、というのもなかなか納得度が高くて面白いです。
「愛着」「恋愛」を考える論文
・「青年期の愛着スタイルが親密な異性関係に及ぼす影響」(金政祐司・大坊郁夫)
安定型・アンビバレント型・回避型のそれぞれの愛着スタイルによる、親密な異性関係(彼氏・彼女など)における関係性の違いについて書いて有ります。安定型・アンビバレント型の愛着スタイルの人は、恋愛を「大切・必要」だと思っているほど、親密に感じ、情熱が低いほど関係に満足するみたいです。
・「青年・成人期の愛着スタイルの世代間伝達」(金政祐司)
子どもと親の愛着スタイルはある程度類似しており、すなわち愛着の世代間伝達があると言えるのでは、ということが書いてあります。
・「青年期の愛着スタイルと社会的適応性」(金政祐司・大坊郁夫)
愛着スタイルが、社会における生きやすさとどう関係があるのかをかいているものです。安定型愛着スタイルの人は、ストレスやネガティブな感情を経験しづらい。一方で、関係不安が高いほど、最も親密な異性との関係で自信がないと評価するといったような、ことがかいてあります。
私の研究テーマは、もちろん「家族」なんですが、もっと深い興味は「愛着」のところにあります。安定した愛着スタイルを持っていることは、人生を楽しむとっても大事な基盤になるんじゃないかと思うからです。
論文を読んでいても、安定した愛着スタイルを持つことで、相手の表情をよりポジティブに捉えたり、恋愛関係においても親密な関係を築きやすいと書いてあったりします。一方で、愛着はこれだけ人生の見え方を左右するにもかかわらず、世代間で親から子へ伝達されるところも大きく、本人ではどうしようもできないところがあります。
生まれた時から愛着のスタイルがある程度きまっていて、それが安定していなかった場合、親密な関係をうまく築けないってなんだか不平等だなあと思っています。
どうしたら、みんなが安定した愛着スタイルを持って、未来に前向きに生きていけるのかを常々考えていて、そのポイントがきっと家族にあるのではないか、家族を変えれば、もっと一人一人の人生を幸せにできるんじゃないかと信じ、日々研究と事業に励んでいます。
ぜひ、参考にしていただけたら嬉しいです。
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