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トビタった!私たち(7)フィンランドで教育実習(上)
理想の教育を求めて留学したが

authored by トビタテ!留学JAPAN
トビタった!私たち(7) フィンランドで教育実習(上)理想の教育を求めて留学したが

浅原由奈さん

 はじめまして、文教大学国際学部4年生の浅原由奈(あさはら・ゆきな)です。2016年8月から2017年3月まで、国家プロジェクト「トビタテ!留学JAPAN」を活用して、イギリス(1カ月間)での教員研修後、フィンランド(6カ月間)の幼小中一貫校にて教育実習インターンをしました。この連載では、主に、留学前、留学中、留学後の全3回に分けて、自分自身の経験談をお話しながら、少しでも留学を通じて学んだことを皆さんに共有していけたらと思っていますので、よろしくお願いします。

留学前のわたし

 小中高とスポーツが大好きだった私。バスケットボール部で部長を務める中、人と一緒に成長すること・誰かの成長を応援することの楽しさを感じていました。大学は国立大学教育学部を目指していたものの敗北し、私立大学の中で最も教員採用率の高い文教大学に進学を決意。入学時にはまだ教育学部に英語専修がなかったため、国際学部に進学をしました。

大学3年時の模擬授業の写真

 もともと勉強することが好きだったため、教師になるため日々"真面目に"勉強しながら、大学3年間が過ぎました。大学のカリキュラムは実践的な活動が多く、自信を持って教員採用試験を受けることができると思っていました。

 しかし、ゼミの仲間たちが教員採用試験対策を始めた大学3年生の夏休み頃、ふと自分の中で疑問が生まれます。「教員採用試験に受かったとしても、本当に自分がなりたい魅力的な教師になれるのかな?」。私は、周りの目を気にしすぎてしまう性格から人前に立つことがものすごく苦手でした。「私にとっての『自分らしさ』ってなんだろう。もっと自信を持って教壇に立ちたい!」。そんな想いから、教育大国と呼ばれるフィンランドへの留学を決めました。

憧れの地、ロンドン

自然豊かな国、フィンランド

フィンランドの教育とは

 留学に行くことを決意した私ですが、その1番の目的は「子どもたちの知的好奇心を揺さぶることができるオリジナルの教育方法を編み出すこと」でした。教師としての『自分らしさ』を見出すとしたら、やっぱり「勉強が好き」というその「学ぶ楽しさを子どもたちに伝えること」が最適な方法だと思ったからです。だけど、フィンランドの教育方法を日本にそのまま取り入れることは文化や環境の違いから難しい。それならば、フィンランドと日本の教育の良さを融合させちゃえばいいのではないか。

 書籍やインターネットを探って出てきた「フィンランドの学校」とは、私立がないとか、宿題がないとかいじめがないとか、教師の勤務時間が短いとか、子どもの英語力が高いとか、IT教育が盛んだとか、私たち日本が目指す理想の教育像がたくさん書いてありました。そして、その中でも私は「子どもたちの主体性を重視した教育」という考え方こそ、今の日本に必要な要素だと考え、目を付けました。また、フィンランドでは新教育課程が2016年9月よりスタートし、主体性を基盤として「学ぶ楽しさ」を重視しているとのことで、興味をもちました。そこで、フィンランドの「主体性」を重視した教育と日本の「社会性」を育む教育の融合を目指し、トビタッタのです。

トビタテ2次審査のプレゼンテーションで実際に用いたもの(留学の目的)

(留学計画)

理想と現実のギャップで苦しむ

 イギリスの教員研修後、私はついに世界一の教育ともいわれるフィンランドの学校で生活することができるのだと心躍らせていました。しかし、実際に私がフィンランド初日、学校の授業を目の前にしたときの感想は、実は「夢に見ていた理想の授業のはずなのに、日本とあまり変わらない」という絶望でした。

 それから、実際、フィンランドでは私立は普通に存在していたり、宿題も出ていたり、いじめも日常茶飯事であったり......、書籍に描かれていたことは間違っていることが多々あり、はじめは戸惑いを感じる日々でした(自分の目で見て確認する大切さを強く感じたのは言うまでもありません)。

教育実習インターン先の教室

玄関ではきちんと全員靴を脱ぎます

 とはいえ、フィンランドの教育レベルが低いわけでは全くありません。書籍に描かれていた理想像への自身の憧れが強すぎたあまり、現実と理想のギャップに苦しむことになったのです。

フィンランド教育の魅力

 フィンランドの学校では、6カ月間の間に小学5年生の7科目を担当していました。その中で、日本の「社会性を育む教育」を発信するべく、地元長野県の「無言清掃」を現地で行ったり、日本語クラブを開設したり、様々な活動を行いました。

 はじめの数週間はフィンランドの突出した教育の素晴らしさをなかなか見つけられなかった私ですが、実は、半年間の生活を通じてたくさんの発見があり、最終的にフィンランドの授業スタイルが大好きになりました。私が身をもって体験したフィンランド教育の中でも、皆さんにぜひ共有したいのは、以下の3つです。

1.「違い」を認め合う異文化間教育
2.「生きる」ための教科横断授業
3.社会と結びついたキャリア教育

 次回は、留学中の出来事を用いて、私が魅力に感じている3つのフィンランド教育の詳細についてお書きします。それでは、また。

プロフィール
浅原由奈(あさはら・ゆきな)1994年長野県出身。教師を志し、文教大学に進学。学部4年時に1年間休学し、国家プロジェクト「トビタテ!留学JAPAN」5期生として、教育大国フィンランドの小中一貫校にて国際教育実習インターンを実施。『自分らしさ』を認識し、『違い』を認め合える学校環境づくりを目指し、「テーマ型教科横断授業」を発案・実践。現在は、Beyond School運営本部として、高校生の「したい」に出会える場を提供すべく全国の高校に現役大学生・社会人を派遣しワークショップを開催中。