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モーレツ金融マンの働き方も改善
シティの採用戦略
シティグループ・ジャパンの
ジョエル・ファステンバーグ氏

モーレツ金融マンの働き方も改善シティの採用戦略シティグループ・ジャパンのジョエル・ファステンバーグ氏

 ニューヨークに本社を置く世界有数の金融大手シティグループ。日本のローカル採用でも、米本社など海外に派遣される機会が増えており、エリート金融マンへの道も開かれている。新たな働き方改革も実施しているシティ。どんな人材を求め、どう評価するのか。シティグループ・ジャパンの人事責任者、ジョエル・ファステンバーグ氏に新卒採用や若手の研修・育成方法の変化について聞いた。

日本の学生と留学生、別の採用スケジュールで

 ――2018年度の入社予定数は。

 「3月に卒業し、4月に入社する学生17人に内定を出しました。秋に入社する海外留学生には、これから内定を出す予定で、18年度はあわせて25人が入社する予定です。これは投資銀行部門のシティグループ証券、シティバンクなどをあわせた人数です」

 ――17年夏現在の採用活動は、その次に入社する学生向けですか。

シティグループ・ジャパン 人事責任者のジョエル・ファステンバーグ氏

 「そうです。シティの採用には2つの過程があります。1つが日本の大学を卒業する学生向けで、春入社の採用です。この場合、卒業の2年前の春から夏にかけて採用の告知をはじめ、夏休みの時期に数日間かけて『サマージョブ』をします。これは、当社の業務を知ってもらうための取り組みです。学生からの応募を受け付けるのが秋から冬、内定は冬から春にかけて出します」

 「2つめは留学している日本人や海外在住で日本語を話す学生向けで、秋入社の採用です。こちらは毎年秋に『ボストンキャリアフォーラム』を実施し、夏の『サマーインターン』の参加者を集めます。インターンは3年から4年の間の夏休みに6~10週間かけて実施し、結果がよければ、採用につながります。ただし、サマージョブもサマーインターンも必ず受けなければいけないものではありません。参加せずに入社する社員も大勢います」

 ――サマーインターンはどんな内容ですか。

 「現場で実際の仕事を学んでもらうほか、シティグループの全体像を知ってもらうための研修などをします。人事担当者や現場のシニアマネジャーとオフィスの内外で過ごしてもらう機会があります。今年は4部門で学生10人が参加しました。また今年から、当社がかかわっているボランティア活動に参加してもらうようにしました。初めてプログラムに取り入れたのですが、非常に評判がよかったです」

ミレニアル世代を意識した採用・育成

 ――ボランティア活動を取り入れたのはなぜですか。

 「理由は2つあります。1つは当社が積極的にボランティア活動に取り組んでいて、入社したらそういう機会があると知ってもらうためです。今回は難病を抱え、治療のために地方から東京にきている子どもの親が滞在するファミリーハウスを運営するNPOにいき、そこの清掃活動に参加してもらいました。2つめの理由は、80年以降生まれのミレニアル世代が『自分が社会の役に立つ活動』への参加に意欲的だからです」

 ――「ミレニアル世代」に向け、研修を変えたりしているのですか。

 「ミレニアル世代の若者は、それ以前の人たちよりも『今の自分のキャリアが社会にとって意味があるのか』という意識が強いです。ワークライフバランスにも関心が高く、自分のキャリアを自らコントロールしたいという気持ちも強いのです。そこで近年の初期研修は、彼らを意識したプログラムにしています。入社後すぐに3週間ほどの研修がありますが、そこでボランティアに参加したり、幹部社員から直接チームのつくり方を学んだりできるようにしています」

ファステンバーグ氏は「働き方改革の一環で、評価の方法も変えている」と話す

 「研修は昔からありますが、ボランティアを追加したのは最近です。今の学生は、こういった活動で仕事へのモチベーションも上がるようです。会社の部署とは違うチームも生まれ、会社との『絆』が強くなると実感しています」

評価は「What」から...

 ――投資銀行には高収入だが、昼夜かまわず働く「モーレツ社員」が多いイメージがあります。働き方は変わっていますか。

 「世界全体で『ネクストジェン』と呼ぶ働き方改革をしています。特に投資銀行部門や法人向け銀行部門の改革に力を入れています。才能ある多くの若者になんとかシティに入ってもらい、長く働いてほしいので、若手のバンカーに向けた改革を実施しました。これにはワークライフバランスの改善も含みます」

 ――評価の方法は変えていますか。

 「今年、新たに『パフォーマンス・マネジメント・システム』をつくりました。今まではその人の『What(何をしたか)』で評価していました。年初に目標を設定し、1年の真ん中と終わりに成果を評価するやり方です。今年からは『What』と同じ重さで『How(どうやって達成したか)』を評価する仕組みに変えました。目標を達成する過程で、どれだけチームワークを意識し、リーダーシップを持って行動できたかなども評価に加えています」

 ――なぜ今年だったのですか。

 「業界全体、特に外資系の競合他社が、こうした評価方法に変えてきているのが1つの理由です。もう1つは、全般的に今のプロセスというのがもう古くさくなっているからです。何か変える必要があると思っていました」

米国本社への道も

 ――日本法人で採用された社員に海外勤務の機会はありますか。

 「最近、若い日本人社員を米国本社やシンガポールに派遣する機会が増えています。外資系金融機関では、本社から派遣された『エックスパット』と呼ばれる駐在員が日本のマネジャーになるケースが多かったのですが。米国で証券関係の仕事をするには特定の資格が必要ですが、渡米してから資格を取ってもかまいません」

 「新卒の場合、約1カ月の間ニューヨークの本社で研修を行います。まずローカルの研修を3週間受け、その後ニューヨークで過ごしてもらいます。海外で活躍する機会がある、というのは当社を志望する日本の若者の一つの動機になっていると思います。それを提供できるのは、世界160カ国以上でビジネスをしてきた組織だからこそだと自負しています」
(松本千恵)[NIKKEI STYLE 2017年9月13日付]

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