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トビタった!私たち(10)マルチRINOのメキシコ奮闘記(3)
4カ月で5000人と交流

トビタった!私たち(10) マルチRINOのメキシコ奮闘記(3)4カ月で5000人と交流
書道のレクチャー
authored by トビタテ!留学JAPAN

 早稲田大学大学院修士2年の丸田理乃(まるた・りの)です。前回は学生団体「日本メキシコ学生会議 Japan and Mexico Youth Change(通称JaM)」の設立や、1回目のメキシコ留学でのスペイン語習得などの話を紹介しました。今回はその1回目の留学から帰国してからの話になります。

「トビタテ!留学 JAPAN日本代表プログラム」に応募

 メキシコから帰国して数日で大学院生活が始まりました。大学院は留学生が80%くらいを占めているので、どこでも英語が飛び交っています。そんな中、英語よりスペイン語が飛び出てきてしまう私は、教授からも友人達からも大学院生活1年目を終えるまで、メキシコ人(メキシコからの帰国子女)だと思われていました(笑)。

きものショー

 大学院で研究の傍ら、2020年東京オリンピックに向けて196カ国をきものと帯で表現するプロジェクトに関わっていました。日本文化の素晴らしさに触れることにワクワクしていました。日本の民族衣装であるきものや日本の文化をもっと世界に向けて発信していこうと強く思いました。

 大学院生活が半分を過ぎたころ、私は、「トビタテ!留学 JAPAN日本代表プログラム」への応募を考えます。大学院で国際関係学を学び、その研究の関係で、帰国後も長期休みにはメキシコへ短期留学をしていました。夏の短期留学の際、前回の留学でご縁をいただいた方々のお手伝いをした時、計算をすることがありました。私の暗算が電卓より速く正確だったことに、メキシコの方々がたいそう驚きました。私はこの時これだ!と思ったのです。メキシコでそろばん塾を起業できるのではないかと。そこで「トビタテ!留学 JAPAN日本代表プログラム」に応募しました。

メキシコ留学4回目 日本文化発信のチャンス

 「トビタテ!留学 JAPAN日本代表プログラム」では、日本なんでも屋さんの活動、そろばん塾の起業や幅広い日本文化の発信というテーマで留学しました。留学期間は、4カ月です。私は幼いころより日本文化を習う機会があり、なかでも算盤は5段を持っています。スペイン語をつかえて、算盤が有段者の私なら、メキシコで最短で起業できる! そして、日本文化発信のチャンスになると考えました。私は、「日本とメキシコをつなげる架け橋になる」という大きな目標を持って日本を飛び立ちました。

フランツマイヤー美術館での講演会

 メキシコに着くとすぐに、受け入れ先である日本メキシコ学院で日本文化コーディネーターに任命していただきました。順調な出足!と思った矢先、アクシデントの発生です。パチパチと音がする算盤は好評で、メキシコ人に算盤の足し算は分かってもらえました。しかしメキシコには引き算が一般的ではないのです。そのため算盤が浸透していかないのです。起業なんてもってのほか。悩む日々が続きました。

 答えが見つからない中、私がしていたことは今までお世話になり、ご縁をいただいた方々に会うことでした。その方々から私に、茶道や書道など日本文化発信のボランティアの依頼がきました。

 私の「トビタテ!留学」には「幅広い日本文化を発信して、日本とメキシコを繋ぐ、懸け橋になる!」という想いがあったはずなのに、起業挫折で薄れていました。そこで、私の挑戦は再び始まりました。

 日本の歌謡曲コンサート、日本文化の講演会、書道の教室、大学でのポップカルチャーについての講義、着物イベント、茶道など。チャンスがあればどこへでも行き、日本文化を知ってもらおうと自分のできることをなんでもやりました。名前も、まるたりのから、マルチりのへ(笑)。幼い頃より学んできた日本文化が、算盤以外にも役に立ちました。

日本の曲でコンサートを開催

大学でのポップカルチャーについての講演会

 日系団体の春祭りでは来場者が4000人以上あり、その中で私が浴衣姿でコンサートを行うと、ステージ終了後には私と握手や写真を撮りたいメキシコ人が2時間待ちの長い列を作りました。メキシコシティ中心部にあるフランツマイヤー美術館にてスペイン語で1時間の講演会をしましたが、会場に入りきれない人が出て入場制限がかけられました。私の様々な活動に対する参加者アンケートでは、高い満足度をいただきました。

榎本移民120周年記念式典での茶道の様子

 在メキシコ日本大使をはじめ、来賓の方々の前で茶道をしている様子が地元新聞にも掲載されました。在メキシコ日本大使から、「りのさんメキシコ中で大活躍ですね」とお言葉をいただきました。

 ここから何より強く感じたことは、メキシコ人は日本が大好き! であるということです。私はこの「トビタテ!留学」期間4カ月の間に、イベント・後援会・ステージを通して、5000人以上の人と交流しました。

プロフィール
丸田理乃(まるた・りの) 早稲田大学大学院修士2年。メキシコ国立自治大学(UnivercidadNacional Autonoma de Mexico)研究生。メキシコに魅せられて留学すること5回。やりたいこと、見たいもの全てに熱意を持って働きかける。茶道、書道などの日本文化からメキシコ舞踊まで人並みはずれたバイタリティーでマルチにこなしている。