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働く女性に新たな足の「痛み」
格安オーダー靴店登場

働く女性に新たな足の「痛み」格安オーダー靴店登場

 働く女性の間で新たな足の「痛み」が広がっている。かつてのように歩かなくなったことで足の形が変わり、既製の婦人靴が合わない人が続出している。そんな悩みを抱える女性を狙い、街中には1万円台からでもオーダーメードの婦人靴が買えるショップが相次ぎ登場。仕事帰りの女性らで連日にぎわっている。

「8割はサイズの合わない靴をはいている」

キビラのオーダーメード専門店では、客はまず医療用3D計測器で足型をはかる

 平日の午後7時すぎ、小田急百貨店新宿店(東京・新宿)にあるオーダーメードの婦人靴専門店「KiBERA(キビラ)」は、仕事帰りの女性客らでにぎわっていた。初めての客はまず、医療用の3次元(3D)計測器で足型をはかる。その後、22種類あるデザイン、素材、色、サイズを決めて注文。製造は国内工場で、3~4週間で自宅に商品が届く。価格はパターンオーダーで税別9900円から、左右異なるサイズは同1万4900円からだ。

 この日、注文した30代の女性会社員は「立ち仕事が多く、既製品の靴では足が痛くなるので、ぴったりの靴が欲しかった」と話す。キビラ(東京・中央)の福谷智之社長は「日本人女性の約8割はサイズの合わない靴を履いており、潜在的な需要は大きい」と話す。約10店の婦人靴店を運営する同社では8月末に初めてオーダーメード専門店を出店。新宿にあった従来の店舗に比べて広さは7分の1だが、売り上げは上回る。

 全国30店以上の直営店を展開する婦人靴卸のアマガサも8月、バレエシューズの主力ブランド「ジェリービーンズ」でオーダーメードを始めた。靴の形は4種類、素材も10種類から選べる。価格は税別9000円。既製の婦人靴の販売は振るわないが、「オーダーメードの出足は好調。自分だけの1足を楽しんで選びたい女性が増えている」(永井英樹取締役)。三越伊勢丹も伊勢丹新宿本店など一部店舗で9月、靴のプライベートブランド「ナンバートゥエンティワン」でイージーオーダーを始めた。価格は同2万円からだ。

「足の甲が薄い女性増えている」

自分の足に合った靴のニーズは高まっている

 オーダー婦人靴の人気が出てきたのは、働く女性の間で靴にまつわる悩みが増えてきたことが関係している。従来は靴の横幅が狭く、足に合わない例が多かったが、最近は「長時間座る仕事をして歩かなくなったことで、甲の部分が薄く、既製品の木型に合わない女性が増えている」(そごう・西武)。甲の高さが合わないと、前につんのめるようになり、外反母趾(ぼし)の悪化につながる可能性があるという。

 婦人靴のオーダーメードの主流はこれまで高級ブランド。英ジミーチュウの場合、約10万円からとなっており、普通の消費者には手に届きにくい。足の悩みを抱える女性が増えてきたことで、既製品より少し高い程度の価格でも提供できるようになってきた。

 衣服ほどではないが、最近の消費者は靴への支出を抑える傾向にある。家計調査では2人以上の世帯の婦人靴への支出額は2016年度、7097円と00年比1100円減った。矢野経済研究所(東京・中野)によると17年度の婦人靴の小売市場は16年度比6%減の3000億円と5年連続でマイナスになる見込みだ。

 働く女性にとってフットワークよく仕事をこなすには足にぴったりの靴は欠かせない。既製品に比べて多少高くても、フィットする靴を求める動きはさらに広がりそうだ。
(企業報道部 原欣宏)[日経電子版2017年11月20日付]

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