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価値観違う人と同じテーブルに よりよい解決策は多様性から

目指せ!世界変える「変人」(5)

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NIKKEI STYLE

大学1年の春休み、私はシドニー大学大学院平和紛争研究センター(CPACS)に多文化共生社会に関する研究生として通った。近年のオーストラリアの政治状況は目まぐるしく、移民受け入れや多文化主義に対して賛成・反対の政権が入れ替わる状況が続いている。CPACSにも支持政党や国家観などに関してさまざまな考え方のスタッフが在籍しており、当初はなぜ喧嘩にならずに一緒にいられるのか困惑した。

ある時、CPACSの所長にインタビューをする機会があり、一緒に短期の研究生として中央大学から派遣された先輩と共に話を伺った。その際に、先輩が所長にした質問の答えは今でも忘れられない。先輩は「なぜ、このセンターの名前には一見矛盾するような平和と紛争の二文字が含まれているのですか?」と質問をした。

同じ目標を共有

「平和(Peace)と紛争(Conflict)は一見矛盾するようだが、実はそうではない。平和とは争いのない状態だと考えがちだが、それは独裁国家の平和だ。人間は複数人集まるとかならず意見の相違が生まれる。その違いを対話によって乗り越えること、その過程こそが平和をつくるのだ。だから紛争は平和に必要不可欠であり、紛争を乗り越える過程を繰り返すことが平和という状態をつくる。紛争を乗り越える時、ここで大切なことは共通の大きな目標を共有していることだ。このセンターには様々な考えのスタッフがいるが、みなオーストラリアをよくしたいという同じ目標を共有している。だから、価値観や主張の違いがあっても、どんなに言い争いをしても、私たちは共に働くことができる」

この時以来、価値観や考えの異なる人を避けるのではなく、まずは話を聞き、対話することを心掛けてきた。ボランティア活動を通して、そしてゼミでの研究や海外留学の中でも。そして今度は、変人学部を通して、価値観や考え方の異なる人たちが同じテーブルにつき、対話する機会をつくること挑戦したいと考えたのだった。

さて、中央大学でいま最もホットで、関係者の意見を二分する話題が「中央大学移転問題」だ。移転賛成・反対を巡って、論理的な議論以上に感情的な対立を引き起こしている部分は否めない。今年の10月、この問題に変人学部は挑んだ。

移転巡りディスカッション

移転賛成・反対両派の広く様々な分野の学生に加え、ここのところメディアに再三取り上げられている「中大多摩キャンパスを都心に近づける会」のメンバーをゲストに迎えて、パネルディスカッションを行った。当日は50人以上の学生が来場し、中央大学OBや地域住民も参加するなど注目が集まった。中央大学移転問題を含めた政治や社会に関わる意見の分かれるテーマについて議論した。

移転賛成派の意見は、「就活やインターンなど、都心へのアクセスで不便」という学生生活に直結したものから、「志願者数や偏差値の低下は立地が原因」「情報や人などが集まる都心にこそ大学は立地するべき」という大学のあるべき姿について、そして「イノシシやマムシが出没し、命の危険がある」といったおもしろ意見まで様々。

一方移転反対派の意見は、「多摩地域の可能性を生かしきれてない」「地方創生やまちづくりに関心のある学生にはむしろ好立地」という地域論や、「欧米主要大学は郊外に立地している。大学の魅力と立地を結びつけるのは経営努力不足を別問題にすり替えている」といった大学経営に関するものなど。両派とも譲らない展開であった。

移転の是非について結論は出なかったが、今回のイベントには大きな意義があったと考えている。それは、時には感情的な対立をも生みかねない課題を、賛成反対両派が参加して議論することができたことだ。それはきっと、賛成反対両派とも、「中央大学をもっとよくしたい」という共通の思いを持っていたからこそだと思う。アプローチ方法は違えど、同じ大きな目標を共有しているのだ。

多様な価値観のぶつかり合いを通して、同じ移転問題でもまちづくりや音楽、都市論など様々な視点があることが分かる。善か悪かというように単純には判断できないことを知る。そのうえで互いに自分とは異なる考えの人に意見を説明し、納得させられるように話すことを通して、よりよい解決策を探る土壌が作られる。これらは、多様な価値観を持つ人々が同じテーブルにつき、それぞれの意見を尊重し、よりよい解決策を議論によって探すという、民主主義の基本中の基本でもある。

世界とつながるきっかけに

居心地がいいから、楽だから、ついつい同じ考え方や価値観の人とかたまりがちだ。とりわけ大学生は学校やサークルといった狭い世界で日頃の生活が完結してしまう人が多いので、その傾向が強まる。もちろん常日頃から違う価値観の中に身を置き続ける必要はない。そんなことをすると、精神が崩壊したり、アイデンティティーを失ったりしてしまう。だが、全く違う価値観に触れない生活は危険だ。思い込みや傲慢さにつながり、井の中の蛙となってしまう。たしかにめんどうだし、労力を使う。でも、異なる価値観の人たちと対話をすることは、自分の考えに客観性や多様性を与えてくれる。そして私たちに、断絶ではなく世界とつながるきっかけを与えてくれる。

谷村一成(たにむら・かずなり)
中央大学法学部4年。香川県高松市出身。学生有志のコミュニティ「中央大学変人学部」を立ち上げた。NPO法人greenbirdアンバサダー兼多摩支部長として講演や執筆等を通してグリーンバードの理念を広めるとともに、東京・多摩地域でのごみ拾いを通したまちづくりに取り組む。アイヌ民族の伝統舞踊のパフォーマンスで各地のイベントにも出没。

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