2018年は「コミュニケーションサイクル」に乗ろう
やる気スイッチを入れよう(33)
2017年も残りわずかです。振り返りの時期ですね。先週、2017年のコミュニケーションに対する満足度の調査結果が発表されました。調査結果をもとに、私たちも自分自身のコミュニケーションを振り返ってみましょう。
大学生の66%が「全体に楽しかった」と回答
コミュニケーション総合調査<第1報> 「2017年の満足度と2018年への期待」(株式会社JTBコミュニケーションデザイン)によると、大学生の66%が「2017年は、全体的に楽しくコミュニケーションが取れた」と回答しています。これは、会社員、主婦、リタイア層と比べると高い数値です。大学生は、その他の層と比べて、楽しくコミュニケーションが取れているようです。あなたはどちらでしょうか。
楽しくコミュニケーションが取れた人の特徴を見てみると、「メールやSNSでのコミュニケーションよりも、電話や実際に会って話すほうが多かった」、「知り合い・友人の数が増えた」、「今まで面識がなかった人とコミュニケーションを取ることが多かった」と答える率が高い傾向がありました。逆に、楽しくなかったと答えた人は、「コミュニケーションの量が足りなかった」と回答する率が高い傾向にありました。
実際に会って話す「リアルコミュニケーション」や、知り合いを増やすこと、十分な量のコミュニケーションをとることが、楽しいコミュニケーションにつながる可能性がありそうです。自分のコミュニケーションがどうであったか、振り返ってみてください。
2018年は「表現する力を伸ばしたい」82%
2018年のコミュニケーションについてどのような希望(目標)があるか、調査結果を見てみましょう。
大学生は、「自分の意見や思いを表現する力を伸ばしたい」82%、「人の前で発表する力を伸ばしたい」82%といった、能力向上への意識が強いことがわかりました。就職活動等を通じて、コミュニケーションの力の大切さを切実に感じているのでしょう。
コミュニケーションサイクル
この調査結果を見て、思い当たることがありました。私は、学生への就職指導で、グループディスカッションやプレゼンテーションの実践演習を行っています。最初は、ほとんどの学生がうまくできません。「自分はコミュニケーションが苦手です」と、自信をなくす人もいます。
しかしそういう人も、練習を重ねると必ずうまくなります。3カ月もすると、ステージで堂々とプレゼンテーションをしていたりします。こうしてコミュニケーションの力が身につくと、初対面の人とも話がはずんだり、知り合いが増えたりして、いろいろな活動を活発にするようになります。自信がついて、表情が明るくなり、大学生活を楽しむようになります。
調査の結果でもキーワードとなった、楽しいコミュニケーションをとること、リアルなコミュニケーションを十分とり、知り合いを増やすこと、コミュニケーションの力を伸ばすことは、まさに大学生のコミュニケーションの実態を、端的に表しています。これらは図のように、サイクルを描いています。
サイクルの外側に描かれた、「失敗する」→「チャレンジする」というステップが重要です。これが、もし、「失敗する」→「あきらめる」という経路をたどると、コミュニケーションサイクルに戻れず、力は伸びませんし、楽しくなりません。
大事なのは、あきらめないことです。むしろ失敗する方が当たり前と考えましょう。授業では、できるだけ手を挙げ、立ち上がって発言しましょう。グルディスではリーダー役を買って出たり、積極的に発言したりしましょう。初めて会う人に、笑顔で話しかけましょう。
すると、ある時ふっと、「あれ、前より緊張せずに、うまくできた」と思う瞬間が、必ず訪れます。非常に単純な話ですが、これが、あなたのコミュニケーションを良いサイクルに乗せるコツです。
どんどん失敗しましょう。失敗しつつ、たくさんのコミュニケーションをとり、知り合いを増やすのです。すると、自然にコミュニケーションの力が伸び、あるとき、「あ、コミュニケーションが楽しい」と思っている自分に気づきます。
失敗からのスタートで、コミュニケーションサイクルに乗りましょう。学習に、クラブ活動に、就職活動に、やる気スイッチが入りますよ。
「2017年の満足度と2018年への期待」(株式会社JTBコミュニケーションデザイン)
https://www.jtbcom.co.jp/article/hr/217.html
明星大学経済学部特任教授、JTBモチベーションズ ワーク・モチベーション研究所長。筑波大学の博士課程で、組織におけるモチベーションの伝染について研究中。大学ではキャリアや就職支援の講義を担当、企業とのコラボレーションによる講義も実施。JTBモチベーションズでは企業で働く人への研修やコーチング、経営層へのコンサルティングを行う。著書は「やる気が出なくて仕事が嫌になった時読む本」「職場でモテる社会学」「できる人の口ぐせ」等多数。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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