日本経済新聞 関連サイト

OK
career-働き方

チェック!今週の日経(39)スポーツチーム10兆円市場に
スマホで広がり、新ビジネスも

チェック!今週の日経(39) スポーツチーム10兆円市場に スマホで広がり、新ビジネスも
authored by 日経カレッジカフェ 

 日経の研修・解説委員や日経カレッジカフェの編集スタッフが、この1週間の日経電子版や日本経済新聞から企業ニュースを中心にピックアップし、解説する「チェック!今週の日経」。今回は拡大するスポーツビジネスについて取り上げてみましょう。

スポーツチームが世界で10兆円市場に

紙面
12月8日朝刊

 12月8日朝刊の14ページ、企業1面に掲載された囲み記事のテーマはスポーツビジネスでした。

放映権収入、スマホ視聴で伸び スポーツチーム10兆円市場 ライブ再評価、世界で拡大(12月8日)

 世界のスポーツチームの収入合計が2017年は10兆円を超す見通しになったことを伝える記事で、なぜ高い成長をしているのか、主に北米市場に注目しながらその背景を分析しています。背景とは、ずばり見出しでうたっているように、放映権収入の高い伸びです。米調査会社スタティスタによると、北米のスポーツ放映権の総額は20年には約213億ドルとなり、10年の2.3倍になる見通しということです。野球のメジャーリーグ、アメリカンフットボールなど米国で人気のスポーツ全体の数字ですが、スポーツ中継のコンテンツとしての価値が飛躍的に上がってきて、これが成長を支えています。

DAZN
DAZN(ダ・ゾーン)の番組表画面

 なぜコンテンツとしての価値が上がったのか。その背景はスマートフォンの普及です。大学生の皆さんにとっては、スポーツのライブをスマホで見るのはもう当たり前のことでしょう。「米国人を対象に、スポーツを何で見るかを調べたところ、過去1年でテレビがやや減ったのに対し、スマホやタブレットは45%増えた。特に18~24歳の若者に限れば、これらのモバイル端末による視聴時間が初めてテレビを上回った」という調査会社ニールセンの調査結果をこの記事では伝えています。

 米国での急速な成長に比べると、日本はまだそこまでの規模に成長しているわけではありません。野球に限った場合、メジャーの平均的な年棒が日本のプロ野球のトップクラスの年棒。ただ、変化の兆しは出てきています。これを象徴するのが、英パフォームグループのスポーツ中継サイト「DAZN(ダ・ゾーン)」がサッカーのJリーグが結んだ10年で2100億円の放映契約です。それまでの7倍の放映料収入がJリーグにもたらされることになりました。「DAZN」を通じて日本のスポーツコンテンツの海外展開が進めば、欧州のサッカーリーグや米メジャーリーグのように、さらに巨額の放映料収入を手にする可能性もあります。

広がるビジネス、放映権以外でも

 コンテンツとしての魅力が増していけば、ライブ配信市場以外にも新たなビジネスチャンスが広がっていく期待も高まります。少し前ですが、今年日本シリーズに進出して話題を振りまいた横浜DeNAベイスターズの新しい事業に関するニュースを見てみましょう。

欧米に続け スポーツ産業創出に挑むベイスターズ(11月27日、日経電子版)

 ベンチャー企業と連携したスポーツ産業育成事業「ベイスターズ・スポーツアクセラレータ」を始めるというのがこのニュースの核です。ベンチャーキャピタルのiSGSインベストメントワークス(東京・港)と共同で出資し、ベンチャー企業を対象に広くアイデアを募り有望な企業に投資する育成事業です。対象事業分野は6つ。(1)新しい観戦体験(2)ファン層の拡大と満足度向上(3)スポンサー企業への提供価値(4)物販・飲食サービス(5)スポーツパフォーマンス(6)新たなスポーツ分野(eスポーツ、VR利用スポーツなど)――ということです。

 欧米では、MLBのドジャース、サッカースペインリーグのFCバルセロナ、英プレミアリーグのアーセナルなどが同様の事業を立ち上げています。新しい観戦体験でいえば、仮想現実(VR)を活用した遠隔型ライブ観戦といった事業など、テクノロジーを活用した各種のサービスが考えられるでしょう。スポンサー企業への提供価値でいえば、スタジアムの広告看板空間をデジタルサイネージで満たし、まったく新しい広告表現の舞台にするといったことも事業化できるかもしれません。

 こうした新ビジネスを事業化スピードの速いベンチャー企業、スタートアップの力を借りて高速で生み出していこうというのベイスターズの狙いです。そのためにベイスターズは資金だけでなく、球団の持つ各種のデータや主催試合での実証実験など、様々な資産を提供して事業化の加速に協力します。

試されるスタートアップの経営力

横浜スタジアム
横浜スタジアムは屋上テラス席の設置など、新たな観戦体験を提供する(写真は完成予想図)

 ベイスターズのオーナー会社はネットビジネスを展開するディー・エヌ・エー(DeNA)。自らもスタートアップとして急速に自社ビジネスを拡大してきた実績があります。球団経営でもベイスターズが横浜スタジアムを買収、球団と球場を一体運営して収益を最大化する戦略を進めています。スタジアムの改修や増築を段階的に進め、周辺の横浜公園やJR関内駅周辺の再開発とも連動させ、集客効果の高いエンターテインメント空間をつくり出す「ボールパーク構想」が徐々に形になり、チームの躍進とともに17年は観客動員も過去最高に伸ばしました。

 プロスポーツの生み出すコンテンツとしての価値はかつてライブの興行収入がすべてでした。テレビの放映権によって第二段階の成長を遂げたその価値は、スマホの登場によってもう一段大きな大きな市場を手にしました。今度はその次を目指す段階にきたということでしょう。DeNAや楽天といった新興有力企業が経営に参画するようになって10年余り、そのテクノロジーに強い経営力やスピード感が、さらなる市場拡大に向けて試される時代を迎えているようです。

(企画委員 水柿武志)

記事のリンクは日経電子版に飛びます。ログインしてお読みください。いずれも有料会員限定記事ですが、無料会員(日経カレッジカフェ会員を含む)でも、月間10本までは限定記事を無料で読むことができます。就活のために新聞を購読している方は、その日付の新聞を開いて読んでみましょう。