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仮想通貨、普及するの? 相場の乱高下がネック

仮想通貨、普及するの? 相場の乱高下がネック

 最近、仮想通貨の話題をよく耳にするわね。そもそも仮想通貨とはどんな仕組みで、普通の通貨とどう違うの? 少し取っつきにくいイメージもあるけど、いずれどこでも使えるほど普及するの?

 仮想通貨の将来性について、佐藤大和編集委員に話を聞いた。

――仮想通貨の特徴を教えてください。

仮想通貨の取引は取引参加者全員が監視する技術「ブロックチェーン」に支えられている

 仮想通貨とはインターネット上で流通するお金です。世界では1000種類ぐらいあると言われていますが、存在感が大きいのが最初の仮想通貨でもあるビットコインです。その時価総額は13兆円を超え、仮想通貨全体の約6割を占めます。

 特徴として4つ挙げられます。第1にすべてデジタル情報で取引されるということです。第2に改ざんやハッキングが難しく、高い安定性に定評があります。第3に世界中で取引できる国際通貨であることです。第4に普通の通貨は中央銀行という発行元があるのに対し、仮想通貨は発行元がない分散型通貨であるという点です。

 発行元がないということは、誰も責任を持たないので心配なように思えます。しかしビットコインは、取引参加者全員が取引を監視する仕組みで、通貨の安定性を確保しており、これまで改ざんなどは確認されていません。この技術のことを「ブロックチェーン」と呼びます。2008年にサトシ・ナカモトを名乗る人物(またはグループ)が開発した革新的な技術です。

――どうすれば仮想通貨を入手できるのですか。

 仮想通貨取引所に口座を開設して日本円と交換します。2017年11月1日時点で日本には金融庁が認めた登録取引所が11カ所あります。スマートフォン(スマホ)を使って身分証明書を送って本人確認が済めば、最短1日で口座を開設できます。その後は原則365日24時間いつでも仮想通貨を売買することができます。

 例えば足元で1ビットコイン(単位BTC)は80万円台ですが、0.001BTCといったように小数点以下の取引もできます。一部の家電量販店などビットコインで支払いができる小売店も増えてきました。

――便利なように思いますが、注意点はありますか。

 何と言っても値動きが激しいことです。1日で5%も相場が動くことはざらです。つまりある日、1万円分のビットコインを購入したとしても、翌日には500円分目減りする可能性もあるわけです。この1年間でビットコイン相場は10倍に高騰してきたわけですが、裏付けとなる資産や国の信用力がなく適正価格というものが存在しない以上、いつ下落に転じても不思議ではありません。

 実はビットコイン取引の99%は投資目的です。さらに今世界で最も取引が活発なのは日本市場で、全世界の取引量の半分以上を占めるとの推計もあります。以前からFX取引を手掛けていたデイトレーダーも参入しています。

――仮想通貨は将来、普通の通貨のように使われるようになるのですか。

 やはり相場の安定性が鍵を握ると思います。確かに仮想通貨には、世界中で使えるとか、海外送金時の費用が通常の銀行経由に比べて大幅に安いという利点はあります。とはいえ、これほど相場が変動するようでは「普段づかい」には不向きでしょう。

 制度面の整備もまだ途上です。日本は仮想通貨の広がりを踏まえて17年4月に改正資金決済法を施行して、取引所の監督や本人確認を徹底するなど対応を進めています。それでも脱税の問題は完全には解決していませんし、海外ではマネーロンダリング(資金洗浄)や犯罪に関わる取引も多いと指摘されています。

 こうした中で大手銀行では、先ほど挙げた「ブロックチェーン技術」を援用して、価格変動を制限するデジタル通貨を開発しようとの動きもあります。例えば三菱UFJフィナンシャル・グループが検討する「MUFGコイン」は1コイン=1円で固定することを想定しています。仮想通貨の利点を維持したまま、投機目的をはなれて一般生活の利便性を高められるか、注目される試みです。

■ちょっとウンチク
ウォール街でも評価二分
 高騰する仮想通貨の将来性をめぐり、米ウォール街首脳の評価も割れている。ゴールドマン・サックスのロイド・ブランクファイン最高経営責任者(CEO)は「支持も不支持もまだ決めていない」と、ビットコイン取引業務への参入も含め検討し始めた。一方、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは「(17世紀オランダの)チューリップバブルの球根よりたちが悪い」と酷評。同取引を手掛ける自社トレーダーがいれば「即刻クビにする」。

 リーマン危機から数々の金融の修羅場を、ただ2人乗り切ってきた両バンカーの見解がこれだけ分かれるのは異例だ。18年は危機から10年。ビットコインが「あだ花」で終わるか、節目の1年になりそうだ。

(編集委員 佐藤大和)[日本経済新聞夕刊 2017年11月13日付、NIKKEI STYLEから転載]

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