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ドローン販売、上昇気流に 「飛ばす技術」もセットで

ドローン販売、上昇気流に 「飛ばす技術」もセットで

 セキド(東京都国立市、大下貴之社長)はドローン(小型無人機)世界最大手、中国DJIの製品を初めて国内販売した代理店だ。運営する2店舗のうち横浜ベイサイド店(横浜市)は入門機から業務用まで広く扱い、操縦士の育成も手掛ける。2016年10月の開店以降、送り出した操縦士は600人以上。販売業務の傍らその半数以上を指導したのが大岡聡さん(28)だ。

 「ドローンは誰でも簡単に飛ばせるのが魅力」。こう話す大岡さんだが「精密機器のため専門用語が多く、メーカーのウェブサイトを見ただけでは目的に合った商品がどれか分からない」と指摘する。製品の説明書も簡単で、扱いに不安を抱く人が多い。だから接客では専門用語を使わないよう心掛ける。「ホバリング」は空中で停止すること、「ジンバル」は機体が動いてもカメラがぶれないようにする機構、といった具合だ。

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 16年に入社した当初は専門用語を使っていたが、客に用語の意味を聞かれ返答に困ることもあった。分かりやすく説明できないのは製品を理解できていないからだと気づき、実際に製品を飛ばしながら接客で気になった点や用語の意味を確認し体験として把握するようになった。

 ドローン販売の面白さは「売り手の想像を超えた用途が次々と出てくる」ことだ。山岳ガイドが登山客の様子を空撮するサービスを始めたいと訪れるなど、活用範囲の広さを再認識させられることが多い。当初は10万円以上の製品が多かったが、6万円程度の機種も登場。「性能だけでなく持ち運びのしやすさなど、実際の使用場面を考えて提案するようになった」と話す。

 横浜ベイサイド店は東京駅から電車で1時間余りの横浜市金沢産業振興センター内にある。福利厚生用の体育館やグラウンドもあり、休日は市民らでにぎわう。

 店舗は高級ブランド品店のような落ち着いた雰囲気で、「ドローンサロン」としてじっくりと製品を選んでもらえるよう工夫している。来店客の目的は休日の趣味、動画制作、家屋の点検と様々。話題のドローンを一目見たいという客も増えた。6月の売上額は開店初月の3倍になった。

 収益を支えるのは製品販売と操縦技術を教えるセミナーの開催。5人で販売業務をこなし、うち2人がセミナーの講師も兼務する。ストアマネジャーの大岡さんは両方を兼務するうちの1人。販売では客と同じ目線に立つことを心掛ける。専門用語を易しく説明するのもその一つだ。

 前職は写真プリント大手のキタムラでカメラなどの機材を販売していた。写真が好きで、当時から趣味でドローンを使い、旅先で空撮を楽しんでいた。そのうち「ドローンを操縦する面白さやスリルにとどまらず、測量や宅配への活用にも広がる可能性を感じるようになった」。趣味が高じ、セキドに転職した。

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 経験に裏付けられた操縦技術は同店が開業時から開いているセミナーで発揮する。セミナーは同じ敷地内の体育館やグラウンドを使って閑散としていた平日に始めた。人気があるのは関連法令や操作法の座学と実技の1日コース。税別3万円と安くはないが、予約は2カ月先まで埋まる。

 プログラムも作る大岡さんは「法改正に伴う資料の更新や新しい機種の操作方法を取り入れた練習メニューの改善を日々している」。特に首都圏で飛ばす際の書類の申請手続きは変更も多く複雑だ。行き届いた対応が、主に映画撮影やインフラ点検など業務でドローンを利用する人たちに支持され、受講者数は累計600人を超えた。受講者からは、他社のセミナーに比べ最新の内容を学べるといった声が多く寄せられるという。

 セミナーは販売にも直結する。「店内の説明だけでなく、目の前で飛ばしながら使い方を紹介し製品に慣れてもらえば不安感も薄れる」からだ。誰でも操縦できる無料体験会も開いている。沖縄など遠方からの参加者もおり、1日100人集まることもある盛況ぶりだ。「今後は空撮した映像を編集するソフトなど、ドローンの活用の幅を広げる商品の提案にも力を入れたい」と意気込む。

おおおか・さとし
 2013年キタムラ入社。カメラ機材販売や印刷サービスといった店舗業務や営業を経験。16年セキド入社。17年6月からセキドDJI横浜ベイサイド店のストアマネジャー。神奈川県出身。

(池下祐磨)[日経産業新聞2017年11月16日付、NIKKEI STYLEから転載]

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